福山潤さん5thシングル&冬アニメ『吸血鬼すぐ死ぬ2』OP曲「NEW DRAMA PARADISE」発売記念インタビュー|今回の2曲は、歌詞を理解した時の脱力感まで楽しんでほしい!?
「NEW DRAMA PARADISE」の題名は名作映画のオマージュ。「新横浜」を連想できるギミックを組み込んだ、作詞・松井さんの手腕に脱帽!
――第1期に続き、第2期でもOP曲を担当されていますが、ご自身から作家陣にオーダーされたり、逆にアニメの制作陣からのオーダーはありましたか?
福山:アニメのスタッフとのやり取りは前回同様ありました。第1期のOP曲「DIES IN NO TIME」は、サウンドは少しジャジーで、みんなで盛り上がっていける楽しい曲というイメージがあったので、歌詞を松井洋平さんと共作の形で作りました。
今回も神志那(弘志)監督から事前にイメージとなる曲をいただき、歌詞も「DIES IN NO TIME」ではドラルクとロナルドを主眼に置いていましたが、今回の「NEW DORAMA PARADISE」は「2期なので2人だけじゃなく、他にもいる多くの人たちが入れられるように」というオーダーがありました。
――「NEW DRAMA PARADISE」は、「DIES IN NO TIME」のようなおしゃれ感やゴージャス感に加え、ミュージカル感もあり、更に楽しさが増している気がします。
福山:ディスコソングのようなダンスナンバーが元にあったイメージで、曲の始まりから聴いていくと少しずつ人が増えていく曲になっています。
ミュージカル的な手法ではありますが、昔のミュージカルではなく、今のフラッシュモブ的なミュージカルっぽさが曲から感じ取れました。
ただ、音数もそれほど多くなく、言葉数も制限されるので、用意していた作詞のメモを元に、松井さんと相談させていただいて、松井さんの巧みなやり方で曲にマッチする歌詞をはめ込んでもらいました。
――タイトルを見た瞬間、イタリア映画の『ニュー・シネマ・パラダイス』を思い出しました。
福山:まさにそのオマージュです。ですが、これは映画の内容というよりも、タイトルの響きや、『吸血鬼すぐ死ぬ』の世界感にハマること、楽曲で登場人物が増えていく中で、その場所にもスポットを当てていく感じがマッチすると思ったので選びました。
また、「これから楽しいドラマが始まるんです。映画ではないですよ」という提示にもなっています。僕が歌う曲のタイトルは僕自身が決めることが多いんですが、この曲は松井さんのアイデアが素晴らしく、これ以上のものはないと思ったのでそのまま使わせていただきました。
――ドラマは、個々人の人生やシーンも連想させるところがいいですね。
福山:まさに監督が言っていたことにも通じていて、人はたくさん出してほしいけれど、誰が主役というわけではないという部分にも当てはまるかなと思います。
――「NEW DRAMA PARADISE」の歌詞から、チアソングや人生賛歌的なことも感じましたが、今回もつながっているような内容ですね。
福山:それはもちろんありますね。ただ最初は「作品の舞台である新横浜から連想されるイメージは?」ということから出発して、住んでいる人にフォーカスを当てるか、来た人にフォーカスをするかという部分の違いがありました。
「DIES IN NO TIME」にはドラルクとロナルドの出会いや、一緒にドタバタしていくイメージを感じていましたが、今回はみんな最初からいて、そこに新キャラがやって来るというところにフォーカスしてみようと思いました。元々住んでいた人ではないからこそいろいろな展開が生まれますし、「新横浜」とは明言しないまでも、サビで「SING!YOU!CALL」と入れることで連想できるようにというギミックを入れたり、ワードの一つ一つにも仕掛けがあったりします。
「新横浜」はさすがに入れられないだろうと思っていましたが、これを思い浮かべられる松井さんは素晴らしいです(笑)。
――新しい環境に入って「こんなはずじゃなかったな」と思っている人に、「意外と視野を広げてみると楽しいかもしれないよ」と言ってくれているような気もしました。そう思う人も多いかもしれません。
福山:そうなるといいですね。誰にでも新天地に行く機会は訪れるもので、アニメソングではありますが、たくさんの方に刺さる曲になったかなと思います。
――お気に入りのフレーズや聴きどころ、レコーディングの際に意識した点などお聞かせください。
福山:好きなのは1Bの「幸せってハンドクラップ 一人じゃつまんないさ ふざけあって手をはたくパチンと鳴って響いた」です。
僕は曲の打ち合わせの時、映像イメージでお伝えすることが多いんですが、ここは、この曲の打ち合わせで僕が話したイメージをまさにそのまま歌詞に落とし込んでいただいたものです。
「ふざけあって」以外は同じで、最初はもっと強い言葉でイメージしていましたが、そのままだとキツい印象に感じてしまうので、「ふざけあって」と少し弱めています。
ここは相談し合ったところでもあり、知らない人や予想外の人と仲良くなる瞬間を表そうと考えた時、握手でもハイタッチでもないよねという話になりました。2番の「手と手合わす音も容赦ない方が響いた」とあるように、ぶつかり合うコミュニケーションのほうが仲良くなれるきっかけかなということで、出てきた言葉です。曲にはめるところも合わせて、「松井さん、さすがだな」と思いました。
――クラップは片手では打てないから、そこでも人の交流の素晴らしさにもつながっていたりして。
福山:まさにそうでした。
「NEW DRAMA PARADISE」MVは劇団員の人も参加したミュージカル風の映像。ラストにも仕掛けが!?
――MVも撮影されていますが、MV自体がひとつのドラマやメイキング映像を見ているような感覚でした。
福山:また遊んでいます(笑)。MVは「僕を使って遊んでください」と監督にすべて委ねています。
「DIES IN NO TIME」のMVは、洋館で吸血鬼そのままのイメージで撮影しましたが、今回はミュージカル風にいきましょうと。今までは目張りを入れたり、派手なメイクはしていませんでしたが、今回は振り切ってやっています。
1つの舞台上ですべてを作る形で、劇団の方々にも協力していただいて、「何か物語がありそう」というものをあえてチープにしました(笑)。
――最後まで見るとわかる仕掛けもあって、驚きでした。
福山:監督のアイデアと、「DIES IN NO TIME」の時に砂になったので、今回も(笑)。最後のところは安全にできるように何度もリハーサルを重ねています。
――撮影時の裏話があればお聞かせください。
福山:劇団の皆さんとあまりコミュニケーションを取る時間がなかったんですが、さすがチームで、更に皆さん、ノリがいい方たちで「こういうのはどうでしょう?」と提案して、予定にない動きを入れてくださったりと、短い撮影の中で生まれたアイデアや変化がたくさんありました。