アニメ『陰の実力者になりたくて!』原作者 逢沢大介さんインタビュー|シドは自分の価値観を投影したキャラ、七陰を生み出したきっかけは?【連載04】
原作小説のイラスト担当、東西さんの魅力は素敵な色使いとキャラクターデザイン!
――原作小説では東西さんが描くイラストも魅力的ですが、東西さんにお願いしようと思ったきっかけは?
逢沢:最初に編集の清水さんから「東西さんへご依頼のご相談をしませんか?」を提案いただいて、僕からも「ぜひお願いしたいです」とお伝えしました。
清水:「先生の作品の世界観を、ビジュアルで一層広げていただけると思います」と提案しました。
逢沢:東西さんにぜひご依頼いただきたいと思った理由の1つは素敵な色使いです。これまで見てきたものとは違う色感で、あとでお聞きしてみたら元々、アニメーターのお仕事もされていたそうで、そういったご経験から今のイラストが生まれているんだなと、得心しました。
清水:今回、本作のビジュアル化にあたって、いくつか大事にしたいと考えていたことがありました。その中で最も重要だと考えていたのは、「キャラクターデザイン」です。東西さんは絵が大変美しいのは言わずもがな、一方でTwitterなどで二次創作だけでなく、オリジナルのキャラクターをデザインして、背景など込みで1枚の絵として多数発表されていらっしゃいました。『陰実』では先述のようにキャラクター設定を細かく詰めず、自由度や余白を残して作っていたので、そんな中で素敵な世界観やキャラクターを、東西さんであればオリジナルティ溢れるイラストでビジュアル化していただけるのではないか思い、提案させていただきました。
――いざ東西さんからOKが出た時はほぼお任せだったのでしょうか?
清水:キャラクターを作る上で必須の設定は決めて、あらかじめお伝えしました。髪の毛や目の色など、キャラクター固有の個性としてずらしてはいけないポイントみたいなものですね。
逢沢:清水さんから、身長や体重や衣装などの設定事項を記入するためのキャラクターシートのフォーマットを頂いて、「この資料の空白箇所を埋めて提出してください」と言われたんですけど、上述の通り、設定を決め切っていない余白を多く残していたので、全然埋められませんでした(笑)。
清水:あとは東西さんとは、魅力的なキャラクターが多い本作の中で、特に「七陰」については、我々にとっても読者にとっても「このキャラが好き!」というような「推しキャラ」が生まれるように、それぞれ異なる魅力を押し出したいですね、というようなお話を交わしたことがあります。
逢沢:その上で、東西さんに想像を膨らませていただきながら、オリジナルでビジュアルを作っていただいた感じです。
WEB小説時代から読んでいた中西監督。携わるべき人がアニメ制作に集結!
――アニメ化はどのように決まって、先生はどの段階で知ったのでしょうか?
逢沢:アニメ化のご提案を具体的にいただいたのは2020年の2月くらいだったと思います。
清水:編集目線では小説の1巻を出す時から、「この魅力的な物語とキャラクターを多くの人に楽しんでいただくためにも、TVアニメ化をしたい!」という気持ちが強かったです。なので、多くの人に「アニメでも観たい」「アニメにしたい」と思ってもらえる本にしたいなと思って、先生や東西さんと作ってきました。1巻が完成した時に本作のアニメのプロデューサーに本を手渡して、「アニメにしてください」と話した記憶があります。そして読んでもらって、水面下でアニメ化が進んでいきました。
――先生はアニメ化が決まった時、どう思われましたか?
逢沢:「おお……そうなんだ……」というような……(笑)。それくらい現実的に受け止められなかったんですけど、企画が進んでいく過程で徐々に現実感が増してきて、大変光栄で嬉しく思いました。
清水:確かに一番最初の先生の反応は、アレクシアと温泉に入った時のシドのような「どちらでもいい好きなもの」に対するリアクションみたいに感じました(笑)。
一同:(爆笑)
逢沢:いや、とっても嬉しかったんですよ!(笑) ただ、僕自身があまりアニメに詳しくなかったこともあって、作品がアニメになるという事実が受け止めきれなかったんです(笑)。時間が経過していく中で、どんどんワクワクしていきました。
――アニメ化の際に先生から制作サイドにオーダーされたことはあったのでしょうか?
逢沢:アニメのシナリオ等を確認させていただいて、監修の範囲でご提案させていただいた点などはありますが、「こうしてほしい」みたいなお願いは特にせず、基本的にはアニメの制作チームの皆様にお任せさせていただきました。
――中西和也監督と初めてお会いされた時はどんなお話をされたのでしょうか?
逢沢:最初はコロナ禍の環境でもあったのでリモートの形でご挨拶させていただいて、その後は具体的に1話のシナリオについてもお話ししました。
――この連載にご登場いただいた中西監督は、本作をWEB小説の連載5話くらいに読まれて、これはアニメになる作品と確信されたとおっしゃっていましたが、そのお話は直接お聞きされていますか?
逢沢:リモートでのご挨拶の後、実際にお会いした時にそのお話を聞きました。とても光栄で嬉しかったですね。この作品の当初から評価してくださった方に、監督としてアニメを作っていただけるというご縁に、運よく巡り会えて幸運でした。
――まさにこのアニメに携わるべくして携わったからこそ、作品愛やリスペクトが随所に感じられるアニメになっているんでしょうね。
逢沢:本当にありがたいです!
――ちなみにキャラクターたちを演じるキャスティングについて、先生はどんな印象を持たれていますか?
逢沢:キャスティングについても全面的にアニメ制作のチームにお任せさせていただいたのですが、とても豪華で実力派のキャストの方々に携わっていただき、キャラクターに命を吹き込んでいただけて、とても光栄に思っています。どのキャラクターも、声優さんの声やお芝居がイメージ通りを超えて想像以上で、嬉しかったです。