アニメ『陰の実力者になりたくて!』原作者 逢沢大介さんインタビュー|シドは自分の価値観を投影したキャラ、七陰を生み出したきっかけは?【連載04】
シド役を演じる山下さんはピッタリ! 先生のお気に入りのアニメエピソードとは?
――TVアニメをご覧になった感想は?
逢沢:とてもおもしろかったです! その上で、文字で考えていたキャラクターたちがアニメで動いているのを見ると、少し他人ごとのようにも感じられて、嬉しいけど、自分の手を離れて遠くにいってしまったような一抹の寂しさを感じたりもしましたが……(笑)。でも本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。
――1話から想像がつかない展開で、度肝を抜かれましたが、先生はどう感じられましたか?
逢沢:原作小説とは異なる構成で物語を描いていただいており、とてもおもしろいと思いました。一方で視聴者の方はどう受け止めてくれるのかなという若干の不安もありましたが、皆さんの反響が良かったみたいで安心しました。
――シド役の山下誠一郎さんの演技はいかがでしたか?
逢沢:とてもピッタリだと思います! 僕が文字の中で考えていた主人公の存在が、アニメでよりリアルに感じられて、とても良かったです。
――山下さん渾身の「アイ・アム・アトミック」のセリフは?
逢沢:すごく良かったですよね! アニメならではの表現と相まって、声優さんのお芝居ともうまくかみ合っていて、最高でした。シドとシャドウのセリフの使い分けなど、ご苦労も大変多いと思うのですが、山下さんにシドを演じていただけて本当に良かったです。
――13話までの中でお気に入りのシーンやエピソードを挙げていただけますか?
逢沢:やっぱり「アトミック回(第5話)」はすごく印象に残っているし、大好きな回です。
清水:8話冒頭で学園にテロリストが現れて、刺されそうになったローズ先輩をシドがかばったシーンがありましたが、その前の7話ラストの同じシーンではシドのモノローグがまったくなかったのに、8話冒頭の同じシーンではシドのモノローグが入っていて。「最初に殺されるのはモブの役目なんだ」と嬉しそうに言っていて、同じシーンと絵だけど違う表現になっているところは、アニメならではの表現でとても楽しく視聴しました。
逢沢:そこも良かったですね! あと7話でのシェリーとアレクシアのやり取りも、文章では出せない感じがあって、アニメだからこそおもしろさが際立った気がして良かったし、お気に入りです!
――あのシーンでは写真立ての裏にアレクシアとシドの写真が隠されていたのもアニメならではの演出でしたね。
逢沢:こだわっていただけて、すごく嬉しかったです!
先生のお気に入りの七陰はデルタ! 斜め上を行くその理由とは?
――ちなみにお気に入りのキャラクターはいますか?
逢沢:やっぱり主人公のシド、そして(七陰の)デルタですね。2人共、僕が歩んできた人生がモチーフになっているキャラクターであり、僕は昔、犬を飼っていたので。
清水:そんな斜め上の理由ですか!?(笑) アニメではまだまだその本領を発揮していないデルタですが、原作小説ではデルタが多く登場するエピソードもあって、愛くるしくて、かわいらしいキャラですよね。
逢沢:眺めていて楽しいキャラクターですよね(笑)。
――以前、この連載にアルファ役の瀬戸麻沙美さんにご登場いただいた時、アルファの正妻感がすごいという話題になったんですけど、そこは意識されて?
逢沢:最初の七陰のキャラクターでもあるので、減点がないようにしようとは意識していました。結果、「完璧超人」というキャラクターになっていきましたね。
――キャラクターといえば、ミドガル学園でのシドの友達、ヒョロ・ガリやジャガ・イモなど、名前を見ただけで扱いがすぐにわかるのがいいですね。シンプルで個性的なネーミングはどう付けているんですか?
逢沢:僕はネーミングセンスがあまりないので(笑)、割とキャラクター性そのままの名前を付けることが多いですね。ジミナ・セーネンとかもそうですよね(笑)。今執筆している新しいエピソードでは、ゲーテ・モーノっていうキャラクターも登場しますのでぜひお楽しみに!(笑)
――ここでこの連載の共通質問を。シドが適当な設定を作ったことが物語のきっかけとも言えますが、子供の頃や少年期にご自身で謎設定を考えたり、こんな自分になれたらと妄想されたことはありますか?
逢沢:ありました。小学生の時はかけっこで足が速くなったらいいなとか、中高生になると『FF(ファイナルファンタジー)VII』の「セフィロス、カッコいい!」とか!
――OxTのオーイシさんは必殺技ごっこしたり、高いところから人を見降ろしたり、Tom-H@ckさんは操縦ごっこなどされていたそうですが……。
逢沢:僕は実際に行動に移したりとかはあまりなかったのですが、でも想像はしますよね。僕はゲームが好きで、子供の頃にプレーしたゲームの影響をすごく受けていて、特に『FF VII』から『FF IX』は。すごくセフィロスへの憧れがあって……セフィロスは陰の実力者ではないですけど、シドにもそれ系の空気感がありますよね。振り返ってみると意識はしてないですけど、影響は確実にあると思っています。
今後のアニメは増していくスケール感と相変わらずのシドとのギャップをお楽しみに。12月28日発売の原作の新刊ではゼータやイータも登場!
――アニメの今後の見どころを挙げるとすれば?
逢沢:お話が進むごとにスケール感がどんどん大きくなっていきますが、シドは相変わらず、というギャップが楽しいと思いますので、そんなところも楽しんでいただけたら嬉しいです。そして今後も主人公のシドの活躍(?)にご期待いただけましたら!(笑)
――12月28日には待望の最新5巻が発売されます。見どころや注目ポイントのご紹介をお願いします。
逢沢:わかりやすいトピックスでいえば、原作でもアニメでもまだあまり出ていなかったゼータやイータが登場します。もちろん他の七陰やアレクシアたちも活躍します。シドや七陰のシャドウガーデン側、アレクシアたちミドガル学園側という組織それぞれに動きが見えてきて、物語は深まっていく一方で、シド自身はやりたい放題、一人楽しんでいるのは相変わらずです(笑)。原作ファンの方やコミックス・アニメ・ゲームの『陰実』ファンの方にも楽しんでいただけるのでは? と思っています。
5巻はアニメのストーリーと比較すると少し先のお話ではありますが、原作はエピソードごとに焦点が当たるキャラクターが変わっていて、アニメではあまりフィーチャーされていないキャラも描かれています。アニメを見てから原作やコミックスを読むことでわかることもたくさんあると思いますので、気になった方はぜひ原作小説やコミックスも読んでいただき、更に『陰実』を楽しんでいただけたら幸いです。
――皆さんへメッセージをお願いします。
逢沢:まず小説を読んでくださっている皆さん、いつも応援ありがとうございます。皆さんのおかげでここまで来られたと思っているので本当に感謝しかありません。コミックスやアニメ、ゲームをご覧になってくださっている皆さんも本当にありがとうございます。これからシリーズ全体でもますますおもしろくなっていきますので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。そしてまだ作品に触れたことがない方は……ここまでインタビューを読んでいただいて、小説やコミックスを読みたい、ゲームやアニメを楽しみたいと思っていただけたら、試しに一度触れていただいて、興味を持っていただければ嬉しいです。
清水:『陰実』は原作とコミカライズ、そしてアニメとゲームと多数のメディアで展開されていますが、それぞれのメディアごとに適した形で独自に、幅広く表現されているので、どれも楽しんでいただけると思いますし、触れやすいところから『陰実』の世界に入っていただければ嬉しいですね。
逢沢:そうですね! ぜひよろしくお願いします!
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画像をクリックすると、関連記事にとびます。原作情報
原作小説『陰の実力者になりたくて!』5巻
2022年12月28日発売
1,320円(税込)
発売:KADOKAWA
『陰の実力者になりたくて!』作品情報
あらすじ
キャスト
(C)逢沢大介・KADOKAWA刊/シャドウガーデン