仕事に懸ける思いの強さ……意気込みや情熱はステラとリンクする│秋アニメ『勇者パーティーを追放されたビーストテイマー、最強種の猫耳少女と出会う』連載インタビュー:高橋李依さん(ステラ役)
先日、ついに最終回が放送されたTVアニメ『勇者パーティーを追放されたビーストテイマー、最強種の猫耳少女と出会う』。故郷を失い、勇者パーティーからも追放されたレインでしたが、最強種の少女たちと協力しながら街を守り切り、過去を乗り越えて、彼女たちと新たな“家族”となるという大団円を迎えました。
アニメイトタイムズでお送りしてきたキャストリレー連載、最終回はステラ役・高橋李依さんのインタビューをお届けします。最強種ではない“ただの人間”であるステラが見せた活躍とは……!? 物語を振り返りながら、役への思いをじっくり語っていただきました。
声を聞いただけで伝わるように
――ステラは終盤の登場でしたが、どのようなアプローチで演じようと思われたのでしょうか?
高橋李依さん(以下、高橋):おっしゃる通り、終盤に登場して物語が一気に展開していく流れだったので、ステラがどんな人物かをじっくり知っていただくには少し時間が足りないなと思ったんです。それで、声を聞いただけで「この人はまっすぐな人で、後ろ暗いものが何もないんだな」と伝わるように、自己紹介を声で補うイメージで臨みました。
礼儀正しい雰囲気、理路整然とした思考と正義感に溢れた発言、感情もはっきりしていて、抱えてきたものの重さや責任が涙と一緒にポロッと出てしまう瞬間もあったり。それぞれの行動への説得力を持たせたいなと感じたので、その辺りに気を使うようにしました。
――確かに、第10話でレインたちと初めて遭遇したシーンからも彼女のまっすぐさが伝わってきました。
高橋:レインたちと出会うシーンでは、出会って、頭を下げて、説明して、うれし泣きをするという、実はすごいテンポで感情が切り替わっていくシーンでもあるんです。その上で、これからのお話の流れとステラがどういう人物なのかをしっかり届けないといけないので、ひと声聞くだけで「この人はいい人だから一緒に行動しても大丈夫」と信頼できるようなお芝居を意識しました。
――ところで、最近、高橋さんは凛とした大人の女性を演じることが増えてきましたよね?
高橋:そうなんです! びっくりしますよね(笑)。オーディションではなくご指名でそういった役をいただくと、大きな挑戦をして下さったことにプレッシャーを感じそうですが、今回はオーディションで選んでいただけたこともあり、安心してほどよい緊張感で臨めました。一度、自分のお芝居を聞いていただいているというのは大きいです。
――ステラの声からは芯の強さが感じられました。
高橋:ありがとうございます。仕事に懸ける思いの強さ……意気込みや情熱、大切にしたい気持ちはステラとリンクする部分でもあったので、そういう部分はしっかり汲み取りたいなと思っていました。
――先ほどおっしゃった通り、ステラは見た目とは裏腹にかなり情熱的な女性ですよね。
高橋:そうなんです。かなり熱血な騎士さんで、騎士団やジレー隊長に対しても怒りと悲しみを隠そうとしていませんでした。ただ、我を失うようなタイプではないなと思います。
ステラの怒りと悲しみがよくわかるのが、ジレー隊長との一騎打ちでした。ジレー隊長が倒れたあとに少し尺があって、そこに息を入れようと思っていたんです。戦いを終えたあとの荒い息づかいなんですが、どこか悲しみに似たむなしさ、でもこうするしかなかったやるせなさといった感情が湧いてきて。あの引きのカットはすごく印象に残っています。
――ジレーとの一騎打ちは、短い時間ながらも二人のドラマが感じられました。
高橋:一見するとジレー隊長もただの悪い敵という印象なんですが、不正に手を染めていなかった頃の爽やかなジレー隊長がインサートされることで、ステラとジレー隊長の物語の奥行きがグッと広がるんです。あの1カットからジレー隊長の背中を追ってきたステラの憧れと怒り、むなしさが伝わってきました。限られた時間の中で二人のバックボーンが表現されていて、すごくよかったです。
――ジレー隊長もいろいろ諦めてしまったんだろうなというのが垣間見えますよね。
高橋:本当に悲しくなりました。でも、ジレー隊長がちょっとかわいいなと思ったのが、癒着の証拠があると聞かされて、自らちゃんと駆けつけたところ。自分から確認にいくんだって(笑)、その真面目さが伝わってきました。
きっと、ほんの少し道を間違えてしまっただけなんだと思います。だからこそ、ジレー隊長についていく騎士もたくさんいたと思うので、嫌いになれないキャラクターです。
――スタッフさんからは何かディレクションはあったのでしょうか?
高橋:特に第10話は、物語が勢いよく進んでいくので、「ここはより深刻に」、「ここはもっと相手に掛ける感じで」と、感情の出し引きのポイントを教えていただきました。キャラクターのベースとなる部分は変えずに、感情にグラデーションをつけていくというよりは、カット単位でしっかり意図を切り替えていくイメージで演じました。