音楽
楠木ともりバースデーライブ2022『RINGLEAM』千秋楽レポート

楠木ともりバースデーライブ2022『RINGLEAM』ファイナル公演レポート|23年5月に1stフルアルバム、そして夏のツアーが決定! 会場にいるみんなが輝く輪となったライブ

2022年12月10日から大阪、名古屋と回ってきたツアー「Kusunoki Tomori Birthday Live 2022『RINGLEAM』」が、楠木ともりさんの誕生日当日の22日、昭和女子大学 人見記念講堂でファイナルを迎えた。夏の「Tomori Kusunoki Zepp TOUR 2022『SINK⇄FLOAT』」に続く22年2度目のツアー、しかも今回はホールツアーということで、演出も楽しみながら、じっくりと音楽に浸れる公演となった。

23年5月に1stフルアルバム、そして夏のツアーが決定! 会場にいるみんなが輝く輪となったライブ

会場が暗転すると、大きな拍手が鳴り響く。楠木ともりにとって初のホールツアー。ホールは音の環境が良いこともあって、拍手もひときわ大きく聞こえる。

幻想的なSEが流れ、ステージのセンターに楠木ともりが立つと、クリスマスらしさを感じる鈴の音とともに「narrow」が始まる。小さく丸いライトが無数に連なり、スポットライトとなって彼女を包み込む。そして、光のシャワーの中で心を込めて歌う。Zeppツアーのときもそうだったが、最初の一声で、会場を引き込む魅力が彼女の歌声にはあるのだと思う。演奏もその声を引き立てるように、ゆっくりと音を重ねていき、歌の感情に寄り添いながら強弱を付けていく。ウッドベースのぬくもりや、最後にまたクリスマスっぽいフレーズを織り交ぜて終えた鍵盤もとてもおしゃれ。

「いくぞ! 東京!」と一気に爆発して披露したのは「熾火」だ。メンバーも難関だと語っていた緩急たっぷりのロックチューンも、一体感のあるパフォーマンスで突っ走っていく。鍵盤とギターの連続ソロから、感情を吐露するかのような落ちサビなど、いろんな表情が目まぐるしく押し寄せる、見せ場もたっぷりな楽曲だ。観客も拳を振り上げながら、音を感じていた。彼女のライブはペンライトがないのだが、みんなが思い思いにノッている感じがいい。また、この曲でステージの全貌が明らかになったのだが、バンドメンバーが鍵盤、ギター、ベース、ドラムの順にボーカルを囲むような円状になっていた。もちろん今回のツアーコンセプトに添ったレイアウトなのだろうが、楽器の音、そしてバンドメンバーも、自分のライブに欠かせないものだという主張も感じられた。そしてライティングも、前ツアーに引き続きパープルとブルーをベースにしながら、楽曲の緩急に合わせて静と動を使い分け、曲の良さをさらに引き立てていた。

MCでは、クールな雰囲気から一転、ゲラな一面も垣間見られる。このあたりの緊張と緩和も見事。「前回は一気に駆け抜けましたけど、今日はホールなので自由にゆったりと楽しんでいただけたらと思います」と言って、みんなのアンセム「アカトキ」へ。

「アップデートしていこうよ」と一緒に歌いたい気持ちをグッと抑え、その想いすべてクラップに込める観客。前回のツアーでは聴けなかったという想いも、クラップのデカさには詰まっていたのかもしれない。そして、その大きなクラップとともに気持ち良さそうに歌っていく楠木。最後のフェイクも感情がこもっていた。

ジャジーなアレンジとなった「よりみち」は、椅子に腰掛けながらの披露。ウォーキングベースも楽曲にマッチしていたし、途中でステップをはさみたくなるようなノリがたまらない。この曲でもボーカルだけになったり、ピアノと歌だけになったり、本当に彼女の楽曲は、1曲の中でも緩急が激しい。

神秘的なSEから始まった「山荷葉」は、アカペラで1コーラスを披露。これはリリイベでオケが途中で止まった中、そのまま歌ったのが好評だったことから、ライブでも取り入れたのだそう。アカペラでも、そのあとのオケがある中で歌っても、とても神秘的で、あらためてこの曲の持つ奥深さ、メロディの良さを感じることとなった。

この雰囲気のまま、あのイントロが流れたら素敵だなと想像していたら、本当にそのイントロが流れるという個人的な驚きもあったのだが、絶妙な流れで「タルヒ」へ繋がっていく。サビでは手を左右に振るように促していたが、自由に楽しむ中でも、こうやってみんなで一体となれる瞬間を作ってくれると、とても幸せな気持ちになれる。テレキャスの響きも本当に素晴らしかった。

続いて、バースデーライブではお馴染みのカヴァーコーナー。まずはアヴリル・ラヴィーンの名曲「Keep Holding On」を歌う。今伝えたいことが詰まっている歌詞だった、ということだが〈You're not alone,together we stand〉という最初のフレーズで大部分が語られているように思う。一列に9つ並んだ大きな電球色のライトが後ろから照らす中、しっとり、だが力強く歌う姿がカッコいい。続いては、自分が歌いたい曲として、大好きなL'Arc~en~Cielの「flower」を熱唱。96年のヒット曲で、カラオケ全盛時代に超流行った曲なので、40代ならば歌ったことはあるかも?というロックナンバーなのだが、すごく楽しそうに歌っていたのが印象的だった。

そして、再び自身の楽曲へ。ピアノの独奏で徐々に会場の雰囲気が変わっていき、「雨が…」という楠木のひと言でスイッチが入り、テクニカルなギターイントロから「遣らずの雨」へ。前回のツアーよりもタイトにソリッドに、すべての音が塊となって押し寄せていくような圧力があった。映像やライティングも、ひたすらカッコいい。勢いを止めずに「ロマンロン」では、クールに、ヒリヒリ感のあるボーカルで圧倒する。ネオンを意識した映像や途中のバンド紹介も兼ねたソロ回しもばっちり決める。曲が終わるなり「バンドメンバーのソロ、カッコよかったでしょ!」と、ちょっと誇らしげに漏らしていたのもかわいらしい。

4曲続けて歌ったあとのMCでは、2022年を振り返っていく。声優として、またもや飛躍した1年、アーティストとしてもZeppツアーとホールツアーを敢行し、この会場を埋め尽くすほどまでになった。そして今回のツアータイトル「RINGLEAM」についても説明していく。RING(円・輪)とGLEAM(輝き、きらめき)を合わせた造語で、「私が知れ渡ったというか、みんなに広まったことで、こうやって集まってくれる人が増え、ホールツアーができました。みんなで集まって、キラッと輝くような思い出を作りたいというコンセプトで、このタイトルを付けました」と語る。だからバックのスクリーンも照明も、バンドの配置やステージセット、さらに衣装も丸や曲線を意識していたのだ。コンセプトを理解し、チームが一丸となって、この雰囲気を作り上げているのだから、良くないわけがない。

そして、自身の誕生日ではあるが、皆さんへのプレゼントということで新曲を用意してきたという。ただ、その楽曲を作った経緯として、「ずっとお世話になって、二人三脚で頑張ってきたマネージャーさんが辞めてしまったんですけど、それが私にとってすごくしんどくて、切り替えなきゃと思っていても、なかなか切り替えられなかった」と、涙を堪えながら話していく。この仕事において、役者/アーティストにずっと寄り添い、味方になってくれる存在がマネージャーなので、それが本当に大きな出来事だったことは想像に難くない。だが「これからもファンとして応援してもらえるような私でいたいと思いました。お別れは突然来るものだから……。今自分の周りにいる人だったりモノだったり、譲れない大切なものは、みんなにもあると思うので、失ってからではなく、自分の近くにある間に大事にしてほしいという思いを込めて作った曲です」と気持ちを伝え、新曲「absence」を大切に、そして心を込めて歌っていく。

本人も歌い終わったあとに話していたが、登場人物の物語を描きながら曲を作っていくスタイルが最近は多かった印象がある。こうやって自分の思いをそのまま歌詞にするというのも、また違う表現になるし、個人的な想いだからこそ伝わることもあると感じた。

「ここにいるみんなが集まってくれたから歌うことができるし、ライブを楽しむことができているんだなと感じました。今日は来てくれてありがとうございます」と伝え、21年12月の『Reunion of Sparks』ライブで感じた想いを歌詞にした「alive」を披露する。この曲では、アコギを弾きながらの披露となったが、とても安らげるし、切なさも感じるが前向きにもなれる。何よりサウンドを楽しむ彼女の音楽を象徴するような楽曲だと思う。そして本編ラストは「バニラ」。「absence」のように自分の想いを込めた、家族やファンへの感謝が詰まった楽曲だ。誕生日に行うライブにふさわしい大切な曲を、素晴らしい演奏と優しい光に包まれながら歌っていたのが、とても美しかった。

アンコールでは、彼女の持ち曲の中でもポップでキャッチーな2曲を用意。クラップをしながら「もうひとくち」を楽しむと、バンドメンバーの渾身な歌唱が聴けたパンキッシュな「Happy Birthday to You」のサプライズや、23年5月に1stフルアルバムのリリースと、夏のツアー開催も発表! 最後は、タオルを振り回しながら「僕の見る世界、君の見る世界」でツアーを締めくくった。

ブラッシュアップされていた曲、アレンジをガラッと変えた楽曲。1年で2度目のツアー、しかもホールだからこその趣向を凝らしたステージで、最後はハッピーな気持ちになれた。そして、「また必ず、元気で会いましょう! 良いお年を」と約束をしてステージをあとにした楠木ともり。ライブが終わるのは寂しさもあるが、こうやって次に会う約束ができるというのは希望があっていい。また新しい景色を彼女と見ていきたい、そう思える夜だった。

[文・塚越淳一]

Kusunoki Tomori Birthday Live 2022『RINGLEAM』概要

●2022年12月10日(土) 大阪公演・NHK 大阪ホール
●2022年12月16日(金) 名古屋公演・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
●2022年12月22日(木) 東京公演・昭和女子大学 人見記念講堂

●Setlist
M1. narrow 作詞・作曲:楠木ともり 編曲:重永亮介
M2. 熾火 作詞・作曲:楠木ともり 編曲:荒幡亮平
M3. アカトキ 作詞:楠木ともり・鳴海夏音 作曲:楠木ともり 編曲:多田三洋
M4. よりみち 作詞・作曲:楠木ともり 編曲:武内駿輔
M5. 山荷葉 作詞・作曲:楠木ともり 編曲 arabesqueChoche(Chouchou)
M6. タルヒ 作詞・作曲:楠木ともり 編曲:やぎぬまかな
M7. Keep Holding On/AVRIL LAVIGNE(cover)
M8. flower/L'Arc~en~Ciel(cover)
M9. 遣らずの雨 作詞・作曲:楠木ともり 編曲:ラムシーニ
M10. ロマンロン 作詞・作曲:楠木ともり 編曲:重永亮介
M11. absence(新曲) 作詞・作曲:楠木ともり
M12. alive 作詞:楠木ともり 作曲:楠木ともり・近藤真之 編曲:近藤真之
M13. バニラ 作詞・作曲:楠木ともり 編曲:野村陽一郎
EN1. もうひとくち 作詞:楠木ともり 作曲・編曲:ササノマリイ
EN2. 僕の見る世界 君の見る世界 作詞・作曲:楠木ともり 編曲:重永亮介

 

「Tomori Kusunoki Zepp TOUR 2022『SINK⇄FLOAT」Blu-ray&DVD情報

完全生産限定盤 Blu-ray (VVXL-107~8) 9,900(税込):1BD+三方背スリーブ+フォトブック

通常盤 Blu-ray (VVXL-109) 7,150(税込):1BD

通常盤 DVD (VVBL-158~9) 7,150(税込):2DVD

 

収録内容

01. sketchbook
02. 僕の見る世界、君の見る世界
03. ロマンロン
04. クローバー
05. Forced Shutdown
06. 山荷葉
07. 眺めの空
08. よりみち
09. 熾火
10. 遣らずの雨
11. もうひとくち
12. タルヒ
13. alive
14. ハミダシモノ
Special Contents:全会場ライブドキュメント

 

楠木ともりプロフィール

声優・シンガーソングライター。代表作は「チェンソーマン」マキマ役、「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」レン役、「魔王学院の不適合者 II~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~」ミーシャ・ネクロン役 ・「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク」宵崎奏役、「ヘブンバーンズレッド」茅森月歌役 等。

2020年「ハミダシモノ」でメジャーデビューし、リリースしたEP4作品は全てオリコンTOP10入り。

2022年6月リリースの 4thEP「遣らずの雨」は週間6位を記録。12月には初の全国ホールツアーを開催。声優活動を精力的に行いながら、自身で作詞作曲し、ライブグッズのデザインも手掛けるなど、多方面で才能を開花させている。

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