悪役でさえ憎めないし、同情さえ感じる。ヴァッシュとナイヴズの熱烈な兄弟愛は掛け合いだからこそ――アニメ『TRIGUN STAMPEDE』松岡禎丞さん＆池田純矢さんインタビュー

ヴァッシュとナイヴズの兄弟愛は熱烈。好きなのに分かり合えない、やるせなさ

――演じる際、意識された点や収録時のディレクションなどお聞かせください。

池田：オーディションで演じた時は「理想と憧れ」だけでやっていたため、「ちゃんとキャラとして成立していたのだろうか」と。そして「決まりました」という報告を受けた時も「あれでよかったというわけではないんだろうな」と何となく感じていました。そこからどう作っていこうかと考えて、特に序盤では掛け合いがほとんどなく、一人芝居が多かったので、武藤（健司）監督や音響監督とディスカッションしつつ、「こっちも試していいですか？」とこちらから提案してみたり、試行錯誤しながら作れて楽しかったし、とても勉強になりました。

松岡：現場からのディレクションはほとんどなく、「思うがままにやってください」という感じだったので、すごく新鮮な気持ちでお芝居できました。それは新聞記者のメリル役のあんどうさくらさんとロベルト役の松田賢二さんのおかげでもあって。また今回の収録では半プレスコみたいな形で、「尺は無視してやっていいですよ」と言っていただけたことで、いい方向に働いて、掛け合えば掛け合うほどおもしろくなっていきましたね。

池田：作り込まれた世界観の設定と3DCGで1カットがすごくきれいなのに、お芝居はすごく生っぽいですよね。

――お互いのお芝居についての感想をお聞かせください。

池田：僕はもちろん大好きですよ。

松岡：後のエピソードの話になりますが、僕は「こいつ、ぶん殴ってやりたい」と思いました（笑）。

池田：声優界の第一線で活躍する大先輩ですからすごいですよ。特にちょっと生っぽかったり、ニュアンスを大切にするお芝居になった時、セリフにもなく、表情にも描かれていないけど、心の中で思っていることを素敵に表現されるんですよね。一緒にケンカするシーンをやっていても「でも大好きなんだな、僕（ナイヴズ）のこと」と思ったし。

松岡：それはそうですよ。ヴァッシュにとってナイヴズは唯一のお兄ちゃんですから。対峙するシーンでは怒ってはいるけど、憎しみではなく、「お兄ちゃん、何でわかってくれないんだ！　バカやろう！」というやるせなさがあって。それも現場で生まれたものであり、もし単独で録っていたらあんな風にはならなかったと思います。

池田：「何でわかってくれないんだ！」というニュアンスで来てくれるから、「それを言いたいのはこっちなんだよ！」という気持ちになるんです。

松岡：ヴァッシュとナイヴズの兄弟愛は熱烈ですよね。

池田：二人とも好き合っているのに、何でケンカしてるんだろう？　と思うくらい（笑）。

1話から重要シーンが目白押し。映像を見るだけで価値があるアニメ。兄弟の進む道を見守ってください

――映像をご覧になった感想をお聞かせください。

池田：最新技術ってすごいですね。ハリウッド顔負けで、ストーリーがあるエンターテインメントでこんなにハイクオリティな映像が見られるだけでも価値があると思います。アニメは実写を超える映像が作れるし、3DCGを駆使していることでセル描写の2Dを超える瞬間があって。それが今回の『TRIGUN STAMPEDE』の世界観とすごくマッチしていると感じられて、今一番いい『トライガン』の表現方法なんだろうなと納得できました。

松岡：実際に見た時、「こんなに3Dで動くのか」とビックリしました。おそらくミュート（無音）で見ても、キャラのセリフが伝わってくると思います。所作や仕草、感情の機微が目線や頬の筋肉の動きで伝わってきて、すごいなと。

池田：半プレスコだから、僕らがお芝居することで表情や動きを付けてくださったということで、ありがたいことです。

松岡：その映像の素晴らしさに、本当に衝撃を受けたので、絶対に見てほしいです。

――確かにガンアクションなどメカの描写はもちろんのこと、キャラの表情や動きのなめらかさ、質感など違和感がまったくなくて驚きました。

松岡：「これを地上波のTVシリーズでやるのか!?」というくらい。

池田：劇場用アニメでもこのレベルに達する作品はなかなかないのでは？

松岡：技術の進歩ってすごいですね。10年先を見てみたいです。

池田：どうなっているんだろう？

――改めて本作の見どころと、ご自身のキャラ的な見どころをご紹介お願いします。

松岡：『トライガン』はメインのストーリーがしっかり練られているところが魅力の1つですが、『TRIGUN STAMPEDE』は3DCGなど最新技術が使われ、新しいキャスト陣で臨んでいる、新しいけど、芯の部分は変わらない『トライガン』のアニメになっていると思います。

なので原作や前アニメをご覧になっていた方にも新鮮な気持ちで楽しんでいただけると思いますし、触れたことがない方にも入りやすく、エンタメ作品の1つとして純粋に楽しんでいただけるはずです。「ようこそ！　『トライガン』の世界へ」と我々、キャスト陣やスタッフさんともども、両手を広げてお待ちしています。

ヴァッシュ的な見どころですが、1話を見ただけで、「コイツ、何かおかしい」とか「抱えているものがあるな」と感じられる方も多いと思います。ヘラヘラしていた男が素に戻った瞬間に本当のヴェッシュが見えてきます。でも彼の行動は100%善意しかないので、感情移入していただいたり、歩んでいく道を見守っていただけると嬉しいです。1話の冒頭から最後まで、重要シーンやエピソードばかりなのでお見逃しなく！

池田：僕は家でサブスクの映像がきれいな作品をミュートにして仕事をして、横目に入った時、おしゃれな映像が見えるのが好きで。『TRIGUN STAMPEDE』もそんな楽しみ方ができるくらい、映像が素晴らしいです。そしてストーリーや設定、キャラなど語れることが多いくらい深い作品なので、回を増すごとに盛り上がっていくと思います。そんな楽しい流れに乗り遅れないようにご覧になることをオススメします。

ナイヴズ的な見どころは……まだ言えないことが多すぎるので、序盤は彼のカッコよさを堪能してください。そして話が進んだところで彼のことが少しずつ明らかになっていくのを楽しみにしていてください。

――女子の視聴者の間では弟のヴァッシュと兄のナイヴズ、どっち派かで盛り上がったりするかも？（笑）

松岡：それはおもしろいですね。

池田：もし人気投票があったら、僕は全力で勝ちにいきます（笑）。

松岡：見た後、語りたくなるアニメなので、今はツイッターなどでリアルタイムや放送後に語り合えるのがいいですね。

池田：とにかくスタッフさんとキャストさんたちの愛情がすごいのがわかると思うし、1話から右肩上がりでおもしろくなっていくことは間違いありません。

松岡：まずは1話から、視聴者の皆さんのハートを撃ち抜かせていただきます！

池田純矢：衣装協力／JUN OKAMOTO、tanner + teague、NEPHOLOGIST
スタイリスト／津野真吾(impiger)

TVアニメ『TRIGUN STAMPEDE（トライガン・スタンピード）』作品情報

放送情報：

2023年1月7日より　毎週土曜23：00～　テレビ東京系６局ネットにて放送中！
（テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、ＴＶＱ九州放送）
※放送日時は変更の可能性がございます

毎週月曜 22：00～　AT-Xにて放送中！　※毎週水曜10：00、金曜16：00にリピート放送あり

2月6日から　毎週月曜17：00～　テレビ和歌山にて放送スタート！

各種配信プラットフォームにて配信中！

スタッフ

原作：内藤泰弘
（少年画報社　ヤングキングコミックス刊）
監督：武藤健司
ストーリー原案：オキシタケヒコ
構成・脚本：稲本達郎　岡嶋心　上田よし久
コンセプトアート・キャラクター原案：田島光二
チーフデザイナー：大津直
キャラクターデザイン：渡邊巧大　諸貫哲朗　阿比留隆彦　佐藤秋子　二宮壮史　天野弓彦
セットデザイン：青木智由紀　藤瀬智康　榊枝利行　上條安里
クリーチャーデザイン：山森英司
スペシャルエフェクトデザイン：押山清高
CGチーフディレクター：井野元英二
VFXアートディレクター：山本健介　早川大嗣
色彩設計：橋本賢
美術監督：金子雄司
画面設計：斉藤寛
撮影監督：青木隆　越田竜大
編集：今井大介
リレコーディングミキサー：藤島敬弘
サウンドエディター：勝俣まさとし
音楽：加藤達也
制作：オレンジ