“誰かを肯定できる力”を贈りたい。今欲しい言葉を詰め込んだ、伊藤美来さんの4枚目のアルバム「This One's for You」インタビュー

作詞をした「Gift」に込めた想い。そしてライブへ向けて……

──「Gift」は伊藤さんが歌詞を書いていますね。先ほどテーマのところで話していたことがこの曲に込められていると思いましたが、作詞は難航しましたか？

伊藤：難航しました（笑）。メッセージは存分に歌詞に込められたと思うんですけど、歌ってみると難しかったというか。あと、“あなた”とか“いつも”とか“私”がいっぱい出てくるんですよね。またやってしまったな、という感じなんですけど、書きたいことをそのまま書くとこうなってしまうので、改めて作詞は難しいと思いました。

──でもおっしゃる通り、メッセージがすごく伝わってきますよね。

伊藤：歌詞には、私の持ち合わせているポジティブをすべて詰め込んでいるんです。言葉として入ってくるだけで、ちょっと幸せな気持ちになるというか、肩の荷が下りるような気持ちになってくれたらいいなと思ったので、そういう歌詞を散りばめているんです。なので、サビはやっぱり聴いてほしいところです！

──〈人はだれも幸せで　ロマンティックなの〉は、とてもキャッチーなフレーズでしたよ。

伊藤：良かった～！

──最後の〈聴かせてよ　歌を　受け止めてこのギフト〉という歌詞も好きですね。みんなから受け取るし、こちらからも届ける、みたいな感じが出ていて。

伊藤：最後〈La la la la...〉って続きますしね。やっぱり社会に生きていたら、自分の言葉をしまったままにしなければいけないことは多いと思うんです。だから、そんなことはないよ、今なら歌ってもいいんだよ、声を聴かせて！　私も歌うからっていうメッセージになっています。

──あとは、さっき失恋も成長させるギフトになるという話もありましたが、〈目で見たもの聞いたこと　すべてあなたの糧に〉という考え方もいいなと思いました。

伊藤：ただ言いたいことをそのまま言っている感じですけど、イヤなことも悪いことも、良いことも楽しいことも、全部自分の糧になるはずだと思えていれば、たいてい乗り越えられると思うんです。

──要は自分の受け取り方次第なんですよね。続いて「100年前に会いましょう」ですが、こちらもボーカルが特徴的でした。

伊藤：この曲は、1本の映画を見るような物語性があって、聴き応えも読み応えもある曲になったと思います。歌っているときも主人公になった気持ちで、ワクワクしながら歌っていました。森由里子先生の歌詞なんですけど、〈イニシャルだけを　Mと告げたけれど〉という歌詞が出てきたので、もう私自身がタイムスリップした気持ちで歌っていました。セリフ部分は当日その場で決まったんですけど、映画とかドラマの雰囲気を曲で出したかったというのはあります。

──このあたりの流れが本当に素晴らしいのですが、続いての「傘の中でキスして」は、ライブで傘を使った演出をした曲なんですよね。

伊藤：そうなんです。この曲も「100年前に会いましょう」と同じくミュージカルっぽいんですよね。目を閉じて聴いていると情景がパッと浮かぶような楽曲で、私も大好きなんです。歌詞的にはちょっと悲しい感じなんですけど、それはそれで、こういう経験も糧になりますから。それをワクワクした気持ちで捉えるところも人間として素晴らしいことだなと、私は思います。

──「パスタ」は伊藤さんが初めて作曲もした楽曲ですが、すごくいい曲に育ってきたなと感じました。

伊藤：私もライブなどで歌ってきて、やっと慣れてきたというか。最初は歌いづらいし、何だこの曲？って感じだったし、いろんな人に面白い曲だと言われたんですよね（笑）。私としても挑戦だったので、それがアルバムに入るというのは嬉しいことです。

──もう忘れられない曲ですよね。

伊藤：本当に作曲は大変だったので……（笑）。でもライブで皆さんに良いと言ってもらえて、曲の感想などもいただけて、作って良かったんだなとやっと思えるようになりました。

──「トロイメライ・ミライ」は新曲ですが、ライブの最後のほうに聴きたくなる楽曲ですね。

伊藤：開けていくような曲で、聴いていて爽やかな風が吹く感じですよね。内容的にも、大事な誰かと一緒に夢を追いかけていくような感じなんです。今は窮屈なところにいたり、夢も昔持っていたものかもしれないけど、踏み出す勇気というのは大事で、いつだって実際に踏み出していいんだよという歌詞だから、すごく勇気をもらえる曲になっていると思います。

──ボーカルも、前向きで開ける感じでしたね。

伊藤：それこそ、一番ライブの情景を思い浮かべていたかもしれません。応援してくれる皆さん、聴いてくれる皆さんとの今までの絆とかを感じながら、これからも一緒に未来を見ていきたいという気持ちがあったので。

──ライブって本当に素晴らしい空間だと思っていて、これからも一緒に歩いていこうねって、ステージから言ってくれるけど、本当にそうしたいと思える時間なんですよね。

伊藤：そのときの気持ちをそのまま歌っているような感じです（笑）。やっぱり一緒にいろんなことをしてきて、もちろん、ずっと一緒にいるわけではないけど、直接会ってはいなくてもお互いがお互いを思い続けるというか。その時間があって、それが集結した日というのがライブだから、私も素敵な空間だと思います。

──そして「青100色」は、TVアニメ『古見さんは、コミュ症です。』の第2期のOPテーマで、フェスなどでもよく披露していました。

伊藤：たしかによくフェスやイベントで歌わせてもらった曲ですし、アニメのイメージにもすごく合っていて、毎回いいところで流れるなぁって、ありがたく観ていました（笑）。なので、たくさんの方に知ってもらう機会が多かった曲ではありますね。

だからこそアルバムの流れで聴いてもらえると、また違う顔を見せてくれるというか。しっかりと楽曲の持つ力を感じてもらえるのかなって思います。こんなに素晴らしいことが世の中にはあふれているかもしれないって、希望になると思います。

──そしてラストは、「La-Pa-Pa Cream Puff」。ライブでみんなでクラップしたのが印象的な曲です。

伊藤：最後にこの曲があることで、ハッピーでポジティブな気持ちで終われると思ったので、私も最後になるだろうなと思っていたんです。この曲を作ったときは、すでにライブで声が出せない状況になっていたので、ライブでどう歌えば楽しんでもらえるのかを考えていました。クラップならばみんなで楽しめると思ったので、それがライブで実現して感動しました。

──きっと、次のライブでも盛り上がるとは思うのですが、アルバムを引っさげてのツアー『伊藤美来 Live Tour 2023「Every Day is a Gift」』が決まりました。

伊藤：このタイトルも難航しましたね（笑）。「Every Day is a Gift」、毎日がギフトという意味なんですけど、ひねりすぎてはいけないなと思って、すごくシンプルになりました。毎日がギフトだと思えることってすごいことだと思うし、それこそアルバムを作っているときも、聴いている方の次の日がちょっとでもいい日になってくれたらいいなと思って作っていたんです。

だから、このライブの時間だけはそう思えるような。小さな幸せを見つけられるようなライブにできたらいいなと思って、このタイトルにしました。大きな幸せとか、大きな盛り上がりとか、一旦私は考えないで、ひとりひとりに小さな幸せやニコニコが届けられるようなライブにできたらいいなと思っています。

[取材・文／塚越淳一]

CD情報

BD付き限定盤アニメイト限定セット

5,500円（税込）

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【特典】
・アニメイト特典：オリジナル絵柄L判ブロマイド(複製サイン&コメント入り)
・アニメイト特典：缶バッジ(56㎜)
・アニメイト特典：マイクロファイバーコースター(複製サイン入り)
・アニメイト限定版特典：アクリルスタンド
・メーカー特典：伊藤美来 4thアルバム「This One’s for You」発売記念特番 supported by animelo会場観覧キャンペーンシリアルコード

BD付き限定盤

4,400円（税込）

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【特典】
・アニメイト特典：オリジナル絵柄L判ブロマイド(複製サイン&コメント入り)
・アニメイト特典：缶バッジ(56㎜)
・アニメイト特典：マイクロファイバーコースター(複製サイン入り)
・メーカー特典：伊藤美来 4thアルバム「This One’s for You」発売記念特番 supported by animelo会場観覧キャンペーンシリアルコード