TVアニメ『NieR:Automata Ver1.1a』ポッド153役・あきやまかおるさんインタビュー|「『NieR』シリーズファンへのサービス精神が旺盛な作品」
愛情が増えているから、感情が入りそうになる
ーーポッド042役の安元(洋貴)さんがインタビューで「ポッドは感情の起伏のあるキャラクターじゃないから、僕もあきやまさんもアフレコは早めに終わります」とお話ししていたのが印象的でした。
あきやま:たしかにそうかもしれないです(笑)。基本的にはスッといきますね。
でも、監督がすごく耳の良い方なので、「キーの高さがゲームの時と違う」と言われることがあって。私自身が演じる上で変えているつもりはないのですが、後で改めて振り返ってみると私が153に対して愛情が増えているのが要因の一つなのではないかと気づきました。安元さんも人に近いしゃべり方になっているような気がしていて(笑)。数年間演じてきている分、私も安元さんもゲームの時より感情が出てしまっていたのかもしれません。
ーー感情のない機械を演じているのは、感情のある人間ですよね。どのように感情をコントロールして演じられているのでしょうか?
あきやま:とにかく我慢するしかないです。痛いのを我慢するのに近いですね(笑)。
『舞台 少年ヨルハ Ver1.0』では、とにかく凄惨なシーンを見ながら舞台袖で淡々とセリフを読まなければならなくて、本当に頭がおかしくなりそうでした(笑)。心の中では「もうやめて!」と思っているけど、感情を出さずに任務を遂行しなければいけない。自分のメンタルがこういう状態になるんだと感じました。
ーーとてもしんどそうです……。
あきやま:「心が千切れる!」「これを続けていると気が狂いそう」と思いながら演じていました(笑)。アニメではまだそこまで酷いシーンを収録していないので何とかなっていますけど、今後はちょっと怖いです。生で2Bと9Sのアフレコを聞けてしまう分、感情が出てしまいそう……。
登場人物はみんな人間ではないですけど、私と安元さん演じるポッドはより機械感を出さないといけないので、ちょっと特殊だとは思います。
ーーアフレコ時に安元さんとあきやまさんですり合わせることも?
あきやま:感情の話をするというよりもテクニカルの打ち合わせをしますね。042と153のセリフは、文章を分解する場所が違っていて。例えば、「報告:〇〇が、△△」というセリフだと、153は「○○が、」と「△△」で文章を分解して一拍ためるのですが、042は「〇〇が、△△」と文章を繋げて読むんですよ。
なので、同じセリフを同時に言わないといけない時にどっちに寄せるかをすり合わせないと、セリフがズレて揃わなくなってしまうんですよね。そういうところで「ここは巻きで」「ここはたっぷりためる」という事務的なやり取りをしています(笑)。こういったやり取りでアフレコを進めるのは、珍しいかもしれませんね。
第1話「コイツ、めちゃくちゃゲーム上手い!」
ーーここからは、『NieR:Automata Ver1.1a』第1話〜第3話までの各話についてお聞きしていきます。まずゲームのプロローグを完璧にアニメーションへ落とし込んだ第1話「or not to [B]e」。どのような感想を抱きましたか?
あきやま:「コイツ、めちゃくちゃゲーム上手い!」と思いました(笑)。ゲームをプレイしているとシューティングで失敗することが多いので、プロローグを終えるまでに意外と時間がかかるんですよ。それがアニメでは30分で描かれているから、すごくテンポがいいなと感じました。また、ゲーム準拠でありながら、ゲームと違う要素も出てくるじゃないですか。「あれ、ここは違う?」「ここは一緒!」と細かい驚きがたくさんあり、本当にあっという間でした。
アニメーション的にも、ゲームの3D表現を2D表現に落とし込んだ違いがおもしろいと同時に、「ゲームのまんま!」と思うシーンもあり、ゲームと見比べてほしいという気持ちがありますね。
ーーゲームでも印象的なプロローグ部分だと思うのですが、アニメになったことで特に印象に残ったシーンはありますか?
あきやま:全部印象的ですよね……。まず冒頭に2Bが一人語りをしている意味深なシーン。あのシーンはおそらく今後のストーリーに大きく関わってくると思うので、覚えておいてほしいと思います。
153的には、9Sが超大型兵器に飛ばされて手足が千切れてボロボロな姿になっているシーンですね。ゲーム以上にアニメでは近い距離でその様子を見せてくれるので、凄惨さがありありと伝わってきて、より衝撃的なシーンになっていると感じます。すごく印象に残っています。