『映画刀剣乱舞-黎明-』鈴木拡樹×荒牧慶彦×梅津瑞樹インタビュー|「すごく身近に感じられる、どなたでも入りやすい作品」
舞台とは異なる、映像表現での殺陣シーン
ーー今作はお三方の殺陣シーンが見どころの1つですが、撮影で意識したことがあれば、ぜひお聞かせください。
荒牧:当たり前ですが、舞台と映像とでは表現方法が違い、舞台は刀を当てない意識をしなければならない一方、映像は刀で切りかかる・傷つける意識をしなければいけません。もちろん本当に傷つけることはしませんが、そういう意識を持って殺陣シーンの撮影に臨みました。
鈴木:カメラの画角の中に殺陣を入れようと思うと、舞台より近い距離、ギリギリ感を戦っている役者同士が演出していかなければいけません。殺陣をやってきた経験はあるので応用でもあるものの、映像表現に適した殺陣はチャレンジでもありました。なかなかスリルがありましたが、それごと楽しめましたね。
梅津:スリルという点では、カメラマンさんを切らない意識をしていましたね(笑)。
鈴木&荒牧:あ~! それはあったね。
鈴木:カメラマンさんが視覚の外にいることもあるからね。
荒牧:刀を振りかぶった時に、カメラに当たりそうになることもありますし。
梅津:撮影中、実際にカメラマンさんが転んでしまうこともありました。なので、目の前で一緒にお芝居している相手を気にするのはもちろん、死角にいるカメラマンさんも意識することが多かったです。
ーーお三方の殺陣シーン以外でも、撮影時に困難だったことはありますか?
荒牧:山姥切国広が登場するシーンではないのですが、スクランブル交差点であれだけの人数を撮影するのは困難だったのではないかなと。エキストラの方が600人くらいいたんですよね?
鈴木:そう。あの撮影は、めちゃくちゃ日照りが良くて暑い日が当たっちゃったんですよ。その中での外の長時間ロケにも関わらず、エキストラの方たちが参加してくださって、ワンシーン終わるごとに拍手を送ってくれるという……。
梅津:その拍手が、キャスト一同を支えてくれていたと思います。
鈴木:感謝ですね。
梅津:ちなみに僕も、山姥切長義のシーンではないのですが、アパートの廊下で三日月宗近と山姥切国広が戦うシーンがあるじゃないですか。「あそこ、狭くないのかな?」と思って見ていました。
荒牧:めちゃくちゃ狭いよ! あんなところで戦いたくない(笑)。
鈴木:戦いには向いていない場所だから、大変でしたよ……。
荒牧:狭いから刀を大振りにできないんですよね。でも、大振りしないと映像として小じんまり動いている印象を与えてしまう。それは嫌だったので、バランスが難しかったですね。
鈴木:カメラに対して大きく見えるようにという振り方はしていますけれど、たしかに舞台での振り方とはちょっと違うと思います。
梅津:ああいう狭いところで見せる殺陣って映像ならではなので、見ている身としてはおもしろかったです。
ーーでは、撮影中に監督から言われたディレクションで印象に残っていることはありますか?
鈴木:琴音とのシーンが今作のストーリーの軸にもなっているので、彼女の悩みをどういう風に受け止めていくかを監督と秋田さんの3人で話し合ったんですよね。それは、仲を深めていくという意味合いもあったので、印象に残っています。
荒牧:僕は、予告でも流れている、山姥切国広が消えていくシーンがあるじゃないですか。もちろん僕自身に消える能力はないので(笑)、CGに頼るシーンなんですけど、これはどういう感情で消えればいいのだろうと。それで負傷した直後ということもあり、最初は痛がって撮ったんですよ。
そしたら、監督から「ちょっと違うね。もうちょっと儚く演じてもらってもいい?」と言われて。「儚く消えていくって、どうやればいいんだ!?」って(笑)。
鈴木&梅津:はははは!(笑)
荒牧:分からないまま自分なりに「儚いかな……?」と思う表情をしました(笑)。山姥切国広が消えていく経験はなかったので、難しさもありましたね。
鈴木:その姿を見ていましたけど、僕の中ではすでにCGで花びらが散っていく切なさを感じていました(笑)。実際に出来上がった映像を見た時、想像通りの切ない仕上がりになっていましたよ。
梅津:僕も山姥切長義が消えるシーンなのですが……。
鈴木:消える人、多いな(笑)。
梅津:あはは(笑)。あのシーンは事前に監督ご自身が演じた仮の音声を参考に臨んだんですよ。その声が「ゔ、ゔあぁ〜」という感じだったので、「痛いのかな?」と考えつつニュアンスを細かく拾ってお芝居をしました。ただ、全体的に自由にお芝居をさせてもらいましたね。
荒牧:僕らにお任せしていただくことは多かったね。