春アニメ『僕の心のヤバイやつ』連載インタビュー第1回:監督・赤城博昭さん|「原作のストーリーに沿って、ふたりの距離感を大切に描きました」
“尊死”続出で大反響! 今一番応援したくなる、青春初恋ラブコメがついに幕開け──『僕の心のヤバイやつ』が4月1日(土)からテレビ朝日系全国24局ネット“NUMAnimation”枠・BS朝日 ・CSテレ朝チャンネル1 にて放送スタートとなりました。
桜井のりお先生が『マンガクロス』(秋田書店)で連載中の『僕の心のヤバイやつ』は、SNSを中心に人気を集め、コミックス累計発行部数 300 万部を突破した話題作です。
アニメイトタイムズで本作の連載インタビューがスタート! 記念すべき第1回にご登場いただいたのは、『からかい上手の高木さん』『カッコウの許嫁』などでも知られる赤城博昭監督です。本作に対する思いや、こだわったポイントなどを教えてもらいました。
絵づくりでこだわったのは表情と動き
――まずは原作を知ったきっかけを教えて下さい。
赤城博昭監督(以下、赤城):最近はアニメづくりに没頭しすぎていて、漫画と出会う時間が減ってしまったんです。だから残念ながら最初は作品を知らず、オファーをいただいてから読ませていただきました。
読んだらとても面白く、中学時代の自分のような市川くんに共感しました。桜井先生にも「学生時代は市川くんの髪型で背も小さかった」とお伝えしました(笑)。鬼太郎みたいだねとよく言われていました。厨二病的に「世界なんて、、、しまえばイイ」とも思ってて……。
――まさに市川くん!
赤城:そうです(笑)。当時は、諸星大二郎先生の世界が大好きで。だからちょっと厨二病な市川くんに共感性がありました。
──桜井先生とは他にどのようなお話をされたのでしょうか?
赤城:事前にいろいろ話しました。キャラクターの性格や、言葉で分からない心情、セリフの思いなどを教えてもらって。プロデューサーが「質問が多すぎて先生困らないかな」というくらい、質問攻めをしました(笑)。でも後から「もっと聞けば良かったな」と思うことも。全然関係ないんですけど、好きなアニメもうかがいました(笑)。
──いろいろなお話をされたのですね(笑)。桜井先生もアフレコには参加されたそうで。
赤城:はい。リモートで見てくださることもあれば、アフレコ現場にいらっしゃることもありました。
──原作は現在も連載中ですが、アニメではどのような形で『僕ヤバ』を制作しようとお考えでしたか?
赤城:原作のストーリーに沿って、ふたりの距離感を大切にしました。「言える、言えない」がお話的に難しいところだと思っていました。“声なき声”というところを絵づくりでは大切にしています。アニメでは尺の問題もありますから、脚本段階から繊細に描けるよう注意していました。(シリーズ構成・脚本の)花田(十輝)さんにうまく調整していただき、話を調整してもらい、入れ替えもしていただいています。
あとは色ですね。色でキャラの心情や変化も描きたいなと考えていました。また、学校の席順に関しても、桜井先生の許可を得て原作から変更しています。他にもあるのですが、そこは視聴者の方に気づいてほしいなと思っています。
──色彩設計をご担当されているのは『プリキュアシリーズ』も手がけられてる柳澤久美子さんですね。
赤城:柳澤さんにお願いするのは実は初めてで。色彩豊かなものがお得意な方にお願いしたいなと思っていたので、柳澤さんにお話をさせていただきました。
──初めてご一緒されたのですね。逆に音響監督の小沼則義さんとはお付き合いも長いと思います。
赤城:そうですね。だから相談しやすくて。小沼さんのディレクションはやはりとても上手です。原作も読み込んでいるので、音楽とのバランスも素晴らしく、頼もしい存在です。
──スタッフィングの成り立ちについて、もう少し詳しくおうかがいできればと思います。さきほど花田さんのお名前が上がっていましたが、花田さんにオファーした理由も教えていただけますか?
赤城:僕自身が花田さんの手がけられた作品に魅了されていたんです。例えば『ラブライブ!』『宇宙よりも遠い場所』など数々あります。だから引き受けていただいたときはとてもうれしかったですね。
キャラクターデザインの勝又(聖人)さんは『からかい上手の高木さん』の時に作監作業を手伝ってもらっていて。その難しい演出画面のときに、声には出さず表情で(感情を)出すという繊細な作業があったのですが、それを素晴らしく描いてくださっていて。『僕ヤバ』にもそういったニュアンスが多いので、勝又さんならうまくやれるんじゃないかなと思ってお願いしました。
──監督からお願いした方というのは他にもいらっしゃるのでしょうか。
赤城:『高木さん』などでもお願いしている茂木(琢次)さんというアニメーターがいるのですが、彼にはキーアニメーターとして全話数見てもらっています。あとは同じように真島(ジロウ)さんにもお願いしています。
──絵づくりでこだわられた部分は、さきほどおっしゃっていたようにやはり表情でしょうか?
赤城:そうですね。それと動きです。繊細な……例えば、食べ物を食べるとか生活的な仕草を描くってすごく難しいので。そういうところにはこだわりましたね。なかなかそれを表現できる人というのは限られているので。
──主題歌や牛尾憲輔さんによる劇伴についてはどのような印象を受けましたか?
赤城:ヨルシカさん、こはならむさんと素晴らしい方が担当してくださって、もう「最高です」としかコメントがないです(笑)。皆さん原作の空気感をよく理解してくださっていて。牛尾さんからは「ふたりの歩幅の尺を教えて欲しい」と言われたことがとても印象に残っています。彼らは1秒6コマくらいで、離れにくい感じでゆっくり歩きますとお伝えしたところ、1話のラストの音楽が完成しました。個人的にとても気に入っている場面です。