より明暗がはっきりとした第2期。ルーシーとフィロメラから「生命力」と「儚さ」を感じる!? 『魔法使いの嫁 SEASON2』チセ役・種﨑敦美さん、ルーシー役・津田美波さん、フィロメラ役・河瀬茉希さんインタビュー
すべてではない。けれど、エリアスを、自分を受け入れることができたチセ。 魔術師たちの相互扶助組織『学院』に行き、今までとは違う魔術師達の社会、”人”との出会いと交わりが、新たな扉を開いてゆく。
累計部数1000万部を突破した、人外×少女の正道ファンタジー漫画『魔法使いの嫁』。2023年4月6日よりTOKYO MX他にて、TVアニメ『魔法使いの嫁 SEASON2』が放送スタートとなった。
チセ役・種﨑敦美さん、エリアス役・竹内良太さんによる前回のインタビューに続き、種﨑さん、ルーシー役・津田美波さん、フィロメラ役・河瀬茉希さんに、本作に対する思いや、第2話以降の見どころを教えてもらった。
和やかなシーンとシリアスな場面のメリハリ
──津田さんと河瀬さんは今シーズンからの出演となりますが、作品に対する印象や台本等をご覧になった感想をお聞かせください。
ルーシー役・津田美波さん(以下、津田):私は漫画を読ませていただいてエリアスとチセにハラハラしつつも、ふたりの関係性が尊くて。その世界に私も入れるのが嬉しいなと思っていました。
フィロメラ役・河瀬茉希さん(以下、河瀬):私も原作を読ませていただいたのですが、世界のルールがしっかりと決まっている印象がありました。ヤマザキコレ先生がかなり作り込まれているので、出会う種族や生き物のみんなの中にもちゃんとルールがあって、それに寄り添って物語が進んでいく。それとは違うことが起きた時に、それまでの美しく穏やかな空気から、漫画ならではの黒ベタで、急に引き込まれていく感じが「こわっ!」となりました。
アニメは想像よりも色味が明るめで。光が差し込んでいる描写も多く、穏やかだなと思っていたのですが、グッと引き込まれるシーンでは世界観が一気に変わっていくので、光と闇がバキッと分かれている作品だなという印象がありましたね。
──種﨑さんはSEASON2の台本を読まれたとき、どのような印象を持たれていたのでしょうか?
チセ役・種﨑敦美さん(以下、種﨑):まず人が増えたなぁと。エリアスの家とは違う場所に行くんだなぁ…というのを強く感じました。台本や絵の情報から、アフレコも現場も今までとは全然違う状況になるんだろうなと。お芝居も今までもシリアスなところからギャグ絵に変わるとこはあったんですけど、さきほど河瀬さんもおっしゃっていましたけど、それこそグンって……。
河瀬:うんうん、グンって!
種﨑:チセも含めて、それぞれのキャラクターがいろいろな過去を抱えていて。チセの場合、学院に行くことは決断したものの、いざ踏み出そうとすると過去のことを思い出したり、チセの身体に呪いがあることを感じさせる描写が入ってきたりと、賑やかだけども暗い世界に一気に戻ってしまうような描写があります。以前よりも「ギャグはギャグでどうぞ」「(シリアスな場面は)感情もっと強く出していいです!」と、より明暗がはっきりと浮かび上がっていたような気がしています。
──アフレコ現場でもそういったお話はあったのでしょうか?
種﨑:シーンによってディレクションをいただくことはあります。どうしたってSEASON1の時よりチセは成長しているので表情としても声音としても幅が広がっている感じで「こんな声出したことない!」という声もあえて出してみたりして、そしてそれが許されたりして、メリハリがより強くなった印象があります。
津田:ルーシーがツッコミ役っぽいところがあるから、そうするとチセちゃんもナチュラルにボケるというか。純粋な疑問とかを投げるから、新しいなという気がしますね。
──第1話では、チセが寮について、悩みながらもドアを開ける瞬間があって。すごく分かるなぁと思っていました。
種﨑:新しい場所に行くときってことですよね。
──そうです。ずっと同じ場所にいた分、新しい場所・人に出会うときって、やはり緊張するよなと。
種﨑:そうですよね。ドアを開けるのにしても「寝ていたらどうしよう」「起こさないほうがいいかな」ってひとつの動作でそんなに考える!?というところが「チセだなぁ」って。
河瀬:他の生き物に対してはグイグイいくのに、人に対しては準備をしてから挑むところに「チセってそういうところがあるんだな」と感じました。
種﨑:人相手と隣人とでは違うんだと思う。やっぱり人って一番厄介なところがあるから。あんなに嫌な目に遭わされたカルタフィルスと喋っているほうが楽っていう。
ルーシーは「人間くさいキャラクター」一方フィロメラは
──ルーシーとフィロメラのご印象を教えてください。
津田:ルーシーは怖いですよね(笑)。
河瀬:でも私はルーシーのほうが分かる!となります。彼女は初っ端チセに握手を求めてくれるし、「よろしく」も「ありがとう」も言えるんですよね。ちゃんとしてるじゃないですか。まっすぐ伝えるからまわりがびっくりしてしまうだけで、間違ったら「ごめん」と言える。ハッキリしているだけというか。人の言うことを聞かない一面もありますけど、ある意味人間っぽいなと思っています。抱えるものが多すぎるキャラクターですけど、私は一番「分かる!」って思っていました。
津田:嬉しい。みんなに怖がられているのかなと思っていたので、自ら「怖いですよね」と言ってみたんですけども(笑)。そんなに受け入れてもらっていたんですね。
河瀬:全然受け入れていました。例えが合っているか分からないんですけど、運動会の二人三脚を一緒に走りたいと思うくらい。だってリードしてくれるだろうし、練習も付き合ってくれるだろうし。私が転んでも責めないでいてくれそうだなと思ってしまいます(笑)。
逆に私の演じるフィロメラはどう声を掛けたらいいのかな?と思ってしまうというか私が経験しようにもできない人生を送っているので、アニメを見てくださる方も、きっと序盤では「この子には何があったんだろう?」と思うんじゃないかなと。ある意味人っぽくないなと思っていますね。
──ある意味、正反対のキャラクターであるおふたりと言いますか。津田さんは河瀬さんのお話を聞いて驚かれていましたが、津田さん自身はルーシーのキャラクター性についてどのように捉えていたのでしょうか。
津田:チセとの出会い方はきっと最悪だったと思うんですよね。きっと「チセの同室がこの子で大丈夫なのかな」と視聴者の方は思うんじゃないかなと。でもストーリーが進んでいくにつれて「ルーシーって鋭い顔つきではあるけど、でも中身はいい子なのかな」と分かってもらえるんじゃないのかなと思いました。チセも最初から、壁があったわけじゃないんだなと思っていました。だからこそルーシーもするっとチセを受け入れている。そこが不思議だなぁと。ルーシーの性格を考えると撥ね付けそうなのに、するっと入ってこられるのは、“チセがチセであるから”なのかなぁって思っていました。
──種﨑さんから見たルーシーはどのような印象がありましたか?
種﨑:さきほど話にもありましたけど、チセと握手してくれますし、「制服はそこ」とか必要な情報はちゃんと教えてくれるし。さらに「私はこういう人間だから話しかけても……」って自身のことも説明してくれる。最初の出会いはチセへのあたりは激しめかもしれませんけど、この子、嫌な子だなぁって思う人はいないと思うんです。むしろすごくまっすぐで嘘がないというか…良い子じゃん……!って。だから最初から良いなって。
津田:受け入れ体制がすごくて、今本当にびっくりしています(笑)。こんなに温かく迎えていただけて嬉しいです。
河瀬:ルーシーはまっすぐなだけですから。
津田:確かに裏がないですよね。全部表というか。裏で悪口を言うくらいならそのまま言ってしまう人という印象があります。
──フィロメラに対しては種﨑さんはどのような印象がありますか?
種﨑:フィロメラに対してチセはきっとシンパシーを感じているんだと思います。昔の自分と重なるというか。SEASON1でチセはいろいろな人と出会い、「それで大丈夫だよ」という自分にしてきてもらっているけれど、フィロメラはそうではない人だから気になって仕方がないというか。「守ってあげたい」じゃないですけど、とにかく気になるんだろうなと。私も原作を読んでいた時からフィロメラだけやたら気になっていたんです。原作を読むときはチセ視点で読んでいるんだな、とそこで気づきました。