三森すずこさん ベストアルバム『RPB』&MV集発売記念インタビュー|“自分自身がわかった”10年のアーティスト活動。ゆかりのある方々が制作した新曲のこだわりポイントは?
三森すずこさんのアーティスト活動10周年を記念するベストアルバム『RPB』と、これまでのMVを網羅した『Music Video Collection』が2023年4月5日(水)に同時リリース!
アルバムは、楽曲を「Red~情熱的、エネルギッシュ、パッション~」、「Pink~ラブリー、ハッピー、キュート~」、「Blue~リラックス、クール、アオハル~」にカテゴライズした豪華3枚組で、それぞれに新曲が1曲ずつ収録されています。
アニメイトタイムズでは、ベストアルバムとMV集の発売を記念し、三森さんへインタビューを実施!
10年の活動を振り返っていただきつつ、新曲についてもたっぷりとお話を伺いました。
“自分自身がわかった”10年のアーティスト活動
ーーアーティスト活動10周年おめでとうございます。三森さんは他にもさまざまな活動をされていますが、その中でアーティスト活動はどんなものでしたか?
三森すずこさん(以下、三森):「三森すずこを見つける」という活動だったと思います。舞台や声優は役があるので、役というフィルターを通した自分になるんですが、音楽活動は、その中で唯一自分自身を求められる場所なんです。
なので、「自分が何をしたいのか」「三森すずこはどういう人なのか」を追求することができた時間だったと思うんですが、正直、最初はそういうことがめちゃくちゃ苦手でした。役を通していない自分ってふわっとしていて、「何が好きなんだろう」とか、「みんなはどんな私を見たいんだろう」って、ピンときてはいなかったんですよね。
でも、この10年間で「みもりんのこういうところが好きだよ」とか、「こういうみもりんが見たいよ」っていうファンの方からの声や、周りのスタッフさんの意見がたくさん聞こえてきて、「ああ、三森すずこってこういう人なんだ」って、発見できました。
ーー自分からというより、周りからの声で自分というものに気づいていくというか。小さい頃からミュージカル女優を目指していましたし、なかなか自分自身を主張する機会もないですしね。
三森:「何か役をやりたい!」っていう気持ちは昔からすごく強かったんですが、「自分のこういうところをもっと打ち出していきたい!」みたいな気持ちは持っていなくて。そういうところは消極的な子だったので、最初は戸惑っていましたが、やっと慣れてきたかな。
ーー確かに生きていく中で、「自分はこうなんです」と考えることってないですね。
三森:そうなんですよ! なので「みんなが三森すずこを作ってくれたんだな」って、すごく感じています。
ーー「自分ってこうだったんだ!」と意外に思ったところはありましたか?
三森:意外だったのは、“かわいい”というのをみんなが求めていることでした。あまり自分の中で“かわいい”というイメージの認識がなくて、わりと学生時代も家では「すずこはサバサバしているから」とか「すずこはクール」と言われていたんです。女の子っぽいものは得意じゃなかったし、“ふわふわ”、“ピンク”、“かわいい”みたいな生活をしていなかったので、そっち方面を求められていることが結構意外で。ですが、いざそこに入ってみると、「似合うじゃ~ん!」みたいな感じで(笑)。新発見が多かったです。
ーーサバサバしたイメージはありましたよ。
三森:写真だけを見ると、ふわふわプリティな世界で生きている感じがするかもしれないですが、こうやって取材とかで話している感じはそうなんですよ(笑)。デビュー当時、ピンクのキャラクターを演じる機会も多かったので、徐々にそういうイメージがついていったんですが、最初はめっちゃ照れがありました。
『探偵オペラ ミルキィホームズ』の衣装でコンビニに行ったりもしたんですが、あれは恥ずかしかったなぁ。でも、毎度毎度照れていたら「照れるんじゃない!」って怒られたりして(笑)。
ーーそこからは、自分から進んでピンクを着るようになっていきますからね(笑)。
三森:人は成長するんです(笑)。実際に自分を表現するということがどういうことなのかもわかってきましたし、最初は照れていたり、恥ずかしいと思っていたことも、「みんなが見たいんだから、それを恥ずかしがってはいけないよな」と思うようになったんです。「私が恥ずかしがったら、みんなが恥ずかしいってことになっちゃうし、そこは自信を持っていかないと!」っていう思考に変わっていった気がします。
ーー音楽活動でも、徐々に違う面が見えてきましたしね。
三森:そうですね。今回の“Red”盤のエネルギッシュな感じや、“Blue”盤に入っているような曲も増えてきました。
「鈴がなる日」を聴き、思わず涙。新曲3曲はいずれもゆかりのある方々が制作
ーー今回のベストアルバムは、 “Red”、“Pink”、“Blue”という色にカテゴライズされた3枚組になります。
三森:豪華ですよね! めちゃくちゃ盛りだくさんなベストアルバムになりました。
自分の曲を振り返ると、カラフルなものだったり、コンセプトがあるものが多かったので、何か一つのタイトルにしてまとめるよりは、シンプルにカラー分けをしようと思ったんです。
ーータイトルの『RPB』というのは、色の三原色の「RGB」から取っていると思うんですが、いいタイトルですよね。
三森:いいですよね! やっぱりピンクは絶対に外せなかったので!
ーーファン投票で収録曲を決めていったそうですね。
三森:今回はファンの方と一緒にアルバムが作れたらいいなと思って、曲とそのカラーイメージを投票してもらいました。「(カラーイメージが)やっぱりね!」と思う曲も多かったんですが、意外な曲もあって。「ユニバーページ」は、「私が歌っていたイメージではピンクだったけど、みんなにとっては赤だったのか!」と、みんなこの曲からエネルギーとか情熱を受け取ってくれていたのかなって思いました。そういった感じで、私とファンの皆さんで目線が違うところもいいですよね。
ーー赤とピンクは同系色ですし、歌としても色分けは難しいのかなと思いました。
三森:そこにキュンを感じるか、情熱を感じるか、みたいな(笑)。「ユニバーページ」は「青の可能性もあるかも?」っていう曲でもありますね。
ーーすべての要素があるんですね。“Blue”もバラードが多いかと思っていましたが、そういうわけでもなく。
三森:意外とそうでしたね。「WONDER FLIGHT」も青なんだ!って思いましたが、これは私が演じていた園田海未ちゃんのことを思って作った曲だから、それも汲んでくれて青なのかなって思ったり、みんなすごくよく考えて、聴いてくれていたんだなって思いました。
ーーまた、それぞれに新曲が収録されています。おそらくこれまでお世話になった方に曲を書いてもらったと思うのですが、これは色を指定してお願いしたのですか?
三森:指定してお願いしました。おっしゃる通り、作品などでお世話になった方に曲を書いてもらっています。青はきっと佐藤純一さんなんだろうなっていう(笑)。
ーー「鈴がなる日」は作詞・中村彼方さん、作曲/編曲・佐藤純一さん(fhána)で、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』のコンビになりますね。
三森:佐藤さんの曲は音の厚みがすごいんですよ。祝福感がすごくあって、デモを聴いたときはめちゃめちゃ涙が出ました。
ーー泣けますよね。歌詞とかもグッと来てしまいます。
三森:私も電車の中で、「どんなデモだろう~」って軽い気持ちで聴いたら「じゃ~~(泣)」みたいな(笑)。歌詞もすごく良くて、彼方さんが、私のことを想像しながら書いてくれたんだなっていうのがわかりました。
ーー三森さんのこれまでが描かれているというか。だからタイトルも“鈴”なんだなと思ったりして、感動しました。
三森:そうそう。すずこで良かったと思った瞬間でした(笑)。かなりリンクするところがあって、昔の自分から現在の自分みたいなところをすごく美しく描いてくれているなと思いました。
彼方さんって、実はレヴュースタァライトのメンバーともプライベートで会ったりする関係なので、友達の一人としてメッセージをくれている、みたいな感じでした(笑)。多分、私の今の心境も手に取るようにわかっているんだろうなって、歌詞を見て感じました。
それとこの曲は、彼方さんにコーラスで参加してもらっているんです。コーラスを誰にお願いしようかと思ったときに、考えても考えても彼方さんの顔が出てきてしまって。以前、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の劇中歌の仮歌を歌っているときがあって、それを思い出して無茶振りをしたら、快く引き受けてくれました。
ーーそうだったんですね。佐藤さんの楽曲はコーラスも多いですし、結構時間もかかったのではないですか?
三森:4時間超えのレコーディングで、こんなに時間がかかったのは初めてかもしれないです。みんなヘロヘロになりながら「まだありますか?」「まだ、ここのハモリが残っていますね」みたいな。でも妥協せずに作ることができました。
ーー“Red”の新曲「ね、そうでしょう!?」は、作詞を畑亜貴さん、作曲を山田高弘さん、編曲を中西亮輔さんという、μ'sの「Snow halation」のチームですよね。
三森:やっぱり私は「Snow halation」が一番大好きで、山田マンに曲を書いてもらいたい気持ちがずーーっとあったんです。でもなかなかご縁がなかったので、このベストアルバムで!と思って作っていただきました。
ーーそんなに機会がなかったんですね。
三森:キャラソンでは機会があったんですよ。山田マンのメロディってあるじゃないですか。私、スノハレが好きすぎて、山田マン楽曲はクレジットがなくてもわかるようになっていたんです。「この曲は絶対に山田マンの曲だ!でもクレジットも書いていないから違うのかな?」と思ってレコーディングに行ったら、現場で「よっ!」と言われて、「やっぱりー!!」ってなった記憶があるんです(笑)。そのくらい自分が求めている音を作ってくれる山田マンが参加してくれて嬉しかったです。
そこに畑亜貴さんの美しくて、情熱的な歌詞が乗っていて。この10年間の中で、いろいろな理由で会えなかった時間みたいなものがあって、最近ではコロナもあって地方にも行けなくなり、ライブもできなくなってしまった。そういう時間のことを振り返りつつ、「でも前を向いて、ずっと一緒にいようね」っていう気持ちが込められている感じがして、素敵な曲だと思いました。
ーー“これから”を感じさせてくれる曲なんですよね。これもうるっときました。
三森:10年間やってきたからこそ歌える曲だなと思いました。畑さんの歌詞は本当に響きますね。畑さんにはもう1曲書いてもらっているのに、雰囲気が全然違うのがすごい!
ーーそのもう1曲、“Pink”の「大きな愛で君を抱きしめよう」は、作詞が畑亜貴さん、作曲が太田雅友さん(FirstCall)、編曲がEFFYさん(FirstCall)になります。
三森:作詞と作曲はデビュー曲の「会いたいよ...会いたいよ!」のコンビで、あの頃のハネているような、かわいい感じをよみがえらせてくれるような曲でした。
ーーまさにピンクですね。
三森:そうなんです。なので、レコーディングのときも「会いたいよ...会いたいよ!」のレコーディングを思い出しながら歌っていたんです。
ーー声からも、ちょっと初々しさを感じました。
三森:そこは意識していて、最近は地声に近い感じが多かったんですが、この曲は(キーが)高いので、張りのある声で歌おうって思いました。
「会いたいよ...会いたいよ!」のレコーディングのときは、ポニーキャニオンのプロデューサーの方々がずらーっと並んでいて、めちゃめちゃ緊張したなぁ(笑)。「もうちょっとかわいい感じ、きゅるっとした感じで歌って」みたいなことを言われながら歌ったんですよ(笑)。「デビューするってこういうことなんだな、みんなの期待に応えないと!」って思いましたね。