目指したのは“80、90年代のハリウッドのアクション映画”!? 完全なファンタジーではない、ありそうな世界観!『THE MARGINAL SERVICE』監督・迫井政行さん&シリーズ構成・猪原健太さん対談【連載1回】
ジャパン澁宿という架空の世界を舞台に、≪境界人≫と呼ばれる”伝説上の生き物”が起こす事件を解決する≪マージナルサービス≫というチームの活躍と、≪境界人≫たちの謎やドラマを描いたオリジナルTVアニメ『THE MARGINAL SERVICE(ザ・マージナルサービス)』が2023年4月11日より放送スタート!
いろいろな映画作品をオマージュし、作品から漂う外画感、演じるキャスト陣も豪華&実力派ばかりという、超話題作ですが、アニメイトタイムズではキャスト・スタッフ陣のインタビュー連載をお送りしていきます。
記念すべき第1回は、監督の迫井政行さん&シリーズ構成の猪原健太さんによる対談です。作品が生まれるきっかけや≪境界人≫など、気になるキーワードについて、そしてこれから放送される第1話の見どころなど語っていただきました。
目指したのは「80、90年代のハリウッドのアクション映画みたいな、ノリが良くてスカっとするような作品」!?
――お二人がこのアニメに関わるまでの経緯をお聞かせください。
迫井政行監督(以下、迫井):Studio 3Hzさんから「80、90年代のハリウッドのアクション映画みたいな、ノリが良くて、スカっとするような作品を作りたいんです」というオーダーをいただいたのが最初です。そして企画作りがかなり難航していたので、他作品でもご一緒させていただいた猪原さんに助けていただこうとお声がけさせていただきました。
シリーズ構成 猪原健太さん(以下、猪原):僕がお話をいただいた時には各キャラクターが固まっている状態でした。
迫井:僕が小中学生の時に見ていた映画の中で『メン・イン・ブラック(以下、MIB)』が特に好きだったので、『MIB』みたいなものがやりたいんですという提案もさせていただいて。そこから路線やキャラクターを決めたところで参加していただきました。
――「80、90年代のハリウッドのアクション映画」だけではなく、海外ドラマやUMAなどのエッセンスもてんこ盛りなので、ストーリーや構成をまとめるのは大変だったのでは?
猪原:『MIB』や『ワイルドスピード』などのアクション映画が参考に挙げられていたので、そういうふうにやればいいのかなと。
――作品のテイストや毎回映画のオマージュが入っているので、制作陣が映画好きばかりということはわかりました(笑)。
迫井:僕はコアな映画ファンというわけではありませんが、「あの頃の映画っておもしろかったな」みたいな想いはみんな共通しているのかなと。シナリオの中にオマージュを入れ込んでいくところは猪原さんのチョイスが大きかったです。
猪原:オマージュといえば聞こえはいいけど、ただ何も思い浮かばなかっただけなので(笑)。やっぱりオリジナル作品は難しくて、ゼロからイチを作る時に自分の記憶を引っ張ってきたらこうなっちゃっただけで。
――また≪マージナルサービス≫というチームはメンバー8人いるのも人数的に多いような。
迫井:「こういうキャラクター欲しいよね?」と配置していったらこの人数になりました。
――キャスト陣もすごく豪華ですが、メインどころのキャラが8人もいると、自分の好きな声優さんやキャラの出番は?と心配する方もいそうですね。
猪原:(迫井監督へ)キャストについて聞いてましたか?
迫井:選んでいる段階で、候補として名前が挙がっていた方すべてを配役できるとは思っていなかったし、最初からキャストの方をイメージもしていませんでした。ふたを開けたら、皆さんにやっていただけることになってラッキーでした。人数は多いけど、ぞれぞれ1話ずつくらいはクローズアップして魅力を伝えられたらいいなと意識して構成していただきました。
ユニフォームがニッカポッカになった理由、そして≪境界人≫とは?
――キャラクターのビジュアルや、公式サイトのイントロダクションにも「ジャパンの誇りニッカポッカをまとい」など、ニッカポッカがチームの特徴的な要素になっているようですがその理由は?
迫井:ストーリーのテンション的に普通のユニフォームを着ても映えないよねというところから出てきたアイデアの1つで、奇抜でいいかなと。ただ「おもしろいけど、唐突すぎてネタにしか、ならないんじゃないか」と思ったので、第1話でニッカポッカにつながるシーンを入れました。無理があるかもしれないと思いつつ、作品のテンションに合っている気がして。デザインが上がってきて実際、あまり見覚えがない、おもしろい組み合わせで、「これならイケる」と採用させていただきました。
――確かにスタイリッシュでキャラにも物語的にも合っていると思いました。
迫井:やってみたら意外に合っていた感じで(笑)。作品感を表現するアイテムになったと思います。コミケなどでコスプレをやってくれたら嬉しいです。
――作品のキーワードの1つ、≪境界人≫はどのようなアイデアから生まれたのでしょうか?
迫井:『MIB』で描かれていた人間界に溶け込んだ宇宙人という形でやろうかなと思っていましたが、妙に複雑になりそうだったし、作品にオカルト的な要素を入れたいとも思ったので、境界人をUMA的な存在として入れようと考えていましたが、むしろメインのテーマに持ってきたほうがいいかなと。そこでUMAと人間の間にいる境界人というのも今までになくておもしろいかもと思って。
――毎回登場する境界人が各話の軸になっているところは『ウルトラセブン』などウルトラシリーズにも近い気がしました。
迫井:『ウルトラマン』シリーズは意識していませんでしたが、人の中に怪獣や妖怪的なものが潜んでいるところは近いかも。作品の中で≪境界人≫にそういうふうに感じてもらえるとしたら、僕らの世代は『ウルトラマン』シリーズにシンパシーがあるのも理由の1つかもしれません。
――作中にはいろいろな≪境界人≫が登場しますが、それぞれお話からデザインされたのか、デザインが先行だったのでしょうか?
猪原:「こういう≪境界人≫を出しましょう」とも言われていなかったので、基本的にこちらのお話に合わせて作ってもらいました。≪境界人≫には妖怪的な要素を使ったり。
迫井:お話と並行して、世界観が作り上げられていきました。
猪原:おっしゃられていた、てんこ盛り感やごちゃごちゃ感はそういうところにも起因しているのかもしれませんね。ちなみにこれから出てくるイザベラというキャラは、最初はモブでした。Sっぽい女性を出そうか、くらいだったのが最終的には〇〇になってしまいました(〇はネタばれのため。今後の放送をお楽しみに)。