『祝福を!』のみんなが作ったあの空気感をリスペクト│『この素晴らしい世界に爆焔を!』ゆんゆん役・豊崎愛生さんインタビュー
2023年4月より放送中のTVアニメ『この素晴らしい世界に爆焔を!』(以下『爆焔を!』)。本作は角川スニーカー文庫から刊行の暁なつめ先生によるライトノベル『この素晴らしい世界に祝福を!』(以下『祝福を!』)のスピンオフを原作としており、人気キャラクターのひとりであるめぐみんの過去と彼女のアイデンティティとなる爆裂魔法との出会いが描かれています。
アニメイトタイムズでは放送に際して、ゆんゆんを演じる声優・豊崎愛生さんにインタビューを実施。
めぐみんと掛け合う際に意識しているポイントや、本編となる『祝福を!』での収録エピソード、昨年(2022年)7月の朗読劇『この素晴らしい世界に祝福を! ~紅魔族の矜持の下に!~』など、様々なお話をお伺いしました。
特に『祝福を!』声優陣へのリスペクトや、めぐみんと掛け合う中で色々な表情を見せるゆんゆんを演じる上での“大前提”は必読です。
ゆんゆんのぼっちキャラがわかるような、キャラクターたちの人間関係に注目
――いよいよアニメ『この素晴らしい世界に爆焔を!』が放送開始となりました。映画『紅伝説』から久しぶりのアニメ『このすば』になりますが、まずは今の心境をお願いします。
ゆんゆん役・豊崎愛生さん(以下、豊崎):正直なところ、紅魔の里のお話が『紅伝説』よりもさらに深くアニメで描かれることは想像していなかったので、『爆焔を!』のアニメ化が決まった時はとても嬉しかったです。
『紅伝説』の時は心残りがないように、めぐみんとゆんゆんの絆を見せたいと思って演じていたくらいです。これもファンのみなさんがずっと『このすば』シリーズを応援してくださったおかげだと思っていますし、それが形になったものが『祝福を!』第3期や、この『爆焔を!』なのかなと。
きっとファンのみなさんが『紅伝説』をいっぱい見てくださっていなければ、『爆焔を!』はTVアニメになっていなかったのではとも感じています。本当に感謝でいっぱいです!
収録に関しては、『このファン』(スマートフォンゲーム『この素晴らしい世界に祝福を!ファンタスティックデイズ』)でコンスタントに演じる機会があったので久しぶりという感覚はなかったです。ただ、『爆焔を!』のめぐみんとゆんゆんはまだそこまで仲が深まっていない状態なので、『祝福を!』の時より人見知りにしたり、もっと他人行儀にしてみたり、もっとシャイに演じようと考えていました。
――関係値を巻き戻したとのお話がありましたが、そのお芝居を作っていく上ではどのような工程があったのでしょうか?
豊崎:めぐみんが割とゆんゆんを好きでも嫌いでもない、本当に影の薄いクラスメイトのような距離感でスタートしてくれたので、私もゆんゆんの人間関係に不器用な感じを出す形で演じました。
『爆焔を!』はレッドプリズンを舞台とした学園ものとして物語がスタートするので、めぐみん以外の周囲のキャラクターたちのゆんゆんに対する態度にも、ゆんゆんの人柄や内気な感じが出ていると思います。だから、みんなで『祝福を!』から時系列が戻った感覚を作っていったところがありますね。
とても印象に残っているエピソードとして、体操服を着て外で授業を受けるシーンがあります。ペアを作ることになり、案の定ゆんゆんは余って先生と一緒になってしまうのですが、そういうシーンがこれからも多々見られるのではないかなと。
『祝福を!』では、ぼっちと揶揄され喧嘩する場面もありましたが、そんなゆんゆんのキャラクター性ができあがった過程がわかるようになっています。ぜひシリアスではなく、彼女の可愛い一面として笑ってもらえると嬉しいです。
――ちなみに、高橋さんにお話を伺った際には、地元で過ごすめぐみんの温度感が見られるとおっしゃっていました。
豊崎:確かにそういうところはあるかもしれません。やっぱり学校は言ってみると“凄く狭い社会”じゃないですか。そこから踏み出して、めぐみんの世界が広がっていく物語が『爆焔を!』になります。なので、色々なエピソードで振りまわされるめぐみんとゆんゆんに注目してほしいです。
――そんなゆんゆんに共感できるポイントや印象に残った一面はありますか?
豊崎:本当に不器用な子だなって思っています。第2話ではめぐみんに短剣を選んでもらって喜ぶ可愛らしい一面が見られましたが、素直にゆんゆんはめぐみんの事が好きなんだと理解できるシーンになったと感じています。
とにかく女の子の友達とお買い物にいったり、遊びに出かけたり、お弁当を食べることなどにまったく慣れていない子で(苦笑)。だから、ひとつひとつに驚きと感動があるんです。私の個人的な意見になってしまいますが、ゆんゆんを演じる時はゆんゆんが彼女だったら凄く楽しいだろうなっていう反応の仕方を心がけています。
ゆんゆんからするとナチュラルな反応なのですが、相手がゆんゆんのためにやってあげたという意識のない行いに対して、かなりオーバーに喜んだり悲しんだり、喜怒哀楽の表情をお芝居で出してます。放っておけなくてついつい構ってあげたくなるように映ると良いなと思って演じていたので……彼女にするならゆんゆんがおススメですよ!(笑)
とはいえ、クラスメイトのみんなやめぐみんからは「重い」と突っ込まれてしまうことがあるので、そういうところもギャグとして笑ってもらえるはずです(笑)。
――『爆焔を!』のアフレコはどのような雰囲気で進んだのでしょうか?
豊崎:分散収録にはなりましたが、基本的にめぐみん役の高橋李依ちゃんと一緒に収録できたのでとても助かりました。私自身、李依ちゃんの演じるめぐみんが大好きですし、アフレコでは李依ちゃんがのびのびめぐみんを演じられるかどうかが大事なポイントだと感じていて。だから、ゆんゆん役としてめぐみんに対して受けのお芝居をしたり、めぐみんの魅力が際立つように自分のお芝居を構成していけたりしたらと思っていました。
昨年、7月に朗読劇『この素晴らしい世界に祝福を! ~紅魔族の矜持の下に!~』があり、そこで改めて『このすば』の世界観や掛け合いの雰囲気を体感してから『爆焔を!』の収録に臨めたこともありがたかったです。
やっぱり『祝福を!』のみんなが作ったあの空気感をリスペクトした上で『爆焔を!』を作っていきたかったんです。なので、そこで久しぶりに集まって掛け合いできたことは印象に残っていますね。
――朗読劇を『このすば』のテンションで演じるのはかなりカロリーが高そうだなって思ってしまいました……。
豊崎:昼夜2公演だったのですが、先輩方のアドリブが炸裂していました。途中からそれを受けてどう返すのか……みたいな即興劇になっていましたね(笑)。そういう力を試されているのではないかと感じるくらい、楽しく演じさせてもらいました。
脚本チームからも「お客さんの生の反応を見て自由に演じてもらって構わない」といったコメントをもらっていて。アニメの現場でもアドリブを相談すると、音響監督の岩浪美和さんが別録りで対応して本番にねじ込んでくださるので、みんな元々の台本や原作から台詞が増えている部分があります。
――『祝福を!』のお話が出てきたので、改めて『このすば』シリーズに関わってきて印象に残っているエピソードもお聞かせいただけますか?
豊崎:『祝福を!』のアフレコ現場は本当にいつも笑いが絶えない場所です。アクアさんはヒロインなのに顔がぐちゃぐちゃになるような表情を見せたり、ダクネスさんはもみくちゃにされたり、カズマさんはいつも自由で掛け合いをすると「そこを全部拾ってくれるんだ!?」という驚きがあります(笑)。そういうところにみんな全力投球で、一緒にぐちゃぐちゃになって笑い合うみたいな雰囲気があるんです。
だから私も笑いを堪えるのに必死だし、みんながのびのび演じている姿をいつも見ていました。そのあたりはカズマさんのパーティを一歩引いた位置から見ている感覚と一緒ですね。だからなのか、私からするとキャストのみんながキャラクターに見える瞬間がいっぱいあるんです。