音楽
ReoNa初の日本武道館ライブで見せた一対一/ライブレポート

『ReoNa ONE-MAN Concert 2023「ピルグリム」at日本武道館 ~3.6 day 逃げて逢おうね~』レポート|「私たちが愛する、すべての物語。ReoNaはお歌で紡いでいきます。背負っていきます」

ベストアルバムのようなセットリスト

「何も持たずに、何も知らずにはじまる命。たくさんの物語に出会って、誰かからもらって、何かに染まって、私は生きていく。人生を変える出会いって、思いがけないところに落ちてたり、路地裏に、雲の上に、教室に。出会ったから。出会ってしまったから。『月姫 -A piece of blue glass moon-』に寄り添わせてもらったお歌。

「ああ―――気がつかなかった。今夜はこんなにも月が、綺麗――――――だ――――――」

遠野志貴の言葉をつぶやき、宙を仰ぎながらの「生命線」。背景の満月に手を伸ばしながら言葉を紡ぐ。いっそう神秘的に聞こえてきたのは、この神聖な武道館のステージというのも関係しているのだろうか。「ANIMA」の熱狂とはまた違う、青い炎を燃え上がらせ、ふっと小さく息を吸う。

「悲しみにも、苦しみにも、孤独にも、痛みにも、きっと、慣れることなんてなくて。心に降り積もっていくそれは、いつだって、いろいろなものを奪っていってしまうけれど。それでも、痛みと共に、生きていく」

『アークナイツ』の登場人物たちの息苦しさと感情の揺らぎをrui(fade)と共にReoNa自身が歌詞を紡いだ「Alive」で<間違いじゃない>と伝えていった。

武道館での舞踏会

扉が開く音で『シャドーハウス』の時間がはじまる。赤が際立つドレスに着替えて、ミュージカルのような展開で聴覚的/視覚的にも楽しませたのがここからのブロック。ダンサー4人が人形になったかのようなコンテンポラリーダンスで物語を展開する中、怪しげで妖しげな歌声で、クワイヤーと声を重ねていく。

「巡礼者という意味のこの言葉、ピルグリム。巡礼の旅路の途中で、いろんな、いろんな出会いがありました。そしてそんな旅路の中で、今日はひとつの大きな舞台。そんな今日を、もっと特別にしたいよね? 楽曲がくれた出会いが去年、いろいろなことを起こしてくれました。そして今日も。みんな、楽しむ準備良い? 踊る準備、できてますか」

大きな拍手が湧く中、「シャル・ウィ・ダンス?」のMVで共演したダンスチーム・REAL AKIBA BOYZをステージに招く。そうして始まったのはもちろん「シャル・ウィ・ダンス?」で、何人ものダンサーがステージに。ストリングス、コーラス、ダンサー、さらにオーディエンス全員と共鳴する中、間奏ではReoNaがタップダンスを繰り広げ、多幸感に満ちたパーティとなった──のも束の間。ReoNaを取り囲んでいたダンサーたちがステージ上手に靴を置いて立ち去ると、扉が閉まる音。

靴とReoNaにスポットが当たる。絶望系アニソンシンガーを名乗るReoNaならではの、絶望に寄り添う曲が中盤では披露されていった。

「デビュー前から歌い続けてきたお歌のひとつ。絶望系のはじまりをくれたお歌のひとつ。どこかに行きたいわけじゃなかった。どこか目指す場所があるわけじゃなかった。ここにいたくない。それだけで。でも、それがすべてで。半歩先の世界に期待を抱いて、飛び立った少女のお歌」

どこか懐かしい、夏の学校の匂いを漂わせながら「トウシンダイ」。半歩先に飛び立った少女のお歌をここ日本武道館で捧げ、ピアノ伴奏で「虹の彼方に」(「ソードアート・オンライン アリシゼーション」第19話挿入歌)、再び『月姫 -A piece of blue glass moon-』から「Lost」を情感たっぷりに、時には物語を読み聞かせるように届け、見る者の心を、魂を震わせる。特に「Lost」でピアノ伴奏からバンド伴奏へと切り替わる瞬間のダイナミズムには、月の演出と相まって思わず鳥肌が立った。

ここでバンドメンバーを紹介。ホッと息つく時間があるのも、最近のReoNaのライブならではだ。“De:TOUR”を振り返りながら「いろいろあったね」とメンバーの顔を覗く。各地の珍エピソードを披露すると観客から思わず笑いが漏れた。ちなみにドラムの比田井 修は武道館のステージ5秒前に「修(おさむ)ちゃんって呼んで良い?」と誰かから声を掛けられていたそうで、ReoNaも今後は「修(おさむ)ちゃん」と呼ぶことにしたそうだ。まわり道で培ったバンドメンバーとの絆の強さはReoNaのなによりの宝であろう。

「全国いろいろなまわり道をして、いろいろな人と出会って、ただいま、はじめまして、ありがとうがあって。いろいろを持って、今日この日にたどり着きました」

自身の胸に手を当て「逃げて逢えたね」と万感の思いを込めて伝えたあとに歌われたのは傘村トータが描いた「Someday」。逃げて、逃げて、逃げて、その先に辿り着いた3.6 dayを祝福するかのように、牧歌的な音色に優しく寄り添う。<大人から返ってきた言葉は「それも愛情なのよ」>というナイフのような言葉も跳ね返すような、そしてその傷を癒やすような大きな優しさで。

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