音楽
ReoNa初の日本武道館ライブで見せた一対一/ライブレポート

『ReoNa ONE-MAN Concert 2023「ピルグリム」at日本武道館 ~3.6 day 逃げて逢おうね~』レポート|「私たちが愛する、すべての物語。ReoNaはお歌で紡いでいきます。背負っていきます」

未来の約束

「今日という日ももう少しで終わってしまう。けれど、まだ、未来の約束も残っています。明後日、3月8日、『HUMAN』をリリースします。今月の頭にははじめてのアーティストブック『Pilgrim』をリリースして、そして5月からはアルバムツアーがスタートします。また未来で、あなたに逢えますように。そして、新曲「地球が一枚の板だったら」が、(総合テレビ・Eテレ他で放送の)『みんなのうた』で4月から放送スタートします。あなたの過ごす日々の中で、お歌、楽しんでいただけますように」

拍手の中、ピアノの音色が流れる。

「いろいろな出会いと別れを繰り返して、今がある。唐突に、冷たい雨のように降り注ぐ、悲しい別れもあるけれど。きっと、絶望を拾い続けていく中で、出会える人だっている。誰かの人生の、登場人物になりたいって、わがままな願いでしょうか。時に誰かの言葉に傷ついて、誰かの言葉に救われて、人から生まれたひとりの人間である私たちは、人と出会い、人と別れ、それでも生きていく。どうしようもなく、生きていく」

一緒に歩んできたギターを肩に掛けて、2ndフルアルバム『HUMAN』(2023年3月8日発売)のリード曲「HUMAN」を歌えば、モニターにはReoNa自身の“巡礼の旅”が映し出される。幼少期の姿、デビュー前から今日までのライブの様子、スタッフとのさりげない日常、かけがえのない日々。<人と寄り添うたび 一つになれないことを知っていく それでも それでも>と願いながらどうしようもなく生きていく。今の彼女だからこそ歌える、生身の人間・ReoNaに触れる曲は、初のアーティストブック『Pilgrim』(2023年3月1日発売)で彼女のルーツを読んだ人に、よりグッとくるものがあったのではないだろうか。

今日のライブもあと少しで終わってしまう。終わってしまうって、寂しいね」。続く、彼女の覚悟を感じるMCに、この日がまだまだ“ゴール”ではなく、スタートだであることを感じる。

「でもまだここで終わりじゃない。君と、君と、君と、また逢えますか。まだ終わってほしくない物語たちがあります。アニメ、ゲーム、小説、漫画。私たちが愛する、すべての物語。ReoNaはお歌で紡いでいきます。背負っていきます。最後に今日という日を、一緒に刻んでくれますか」

ずっと背負っていく、紡いでいく──ReoNaが毛蟹と共に紡いだ「VITA」(家庭用ゲーム「ソードアート・オンライン Last Recollection」主題歌)にその決意を乗せ、『ソードアート・オンライン』の映像、MVを背負いながらお歌を気高く届けていく。<私は全部忘れないから>という言葉は、この日一対一を楽しんでくれたみんなへと贈ったものだったのではないだろうか。コーラスによるシンガロングがまたグッとくるものがあったのだが、続く「Till the End」では100名以上のクワイヤー(!)が姿を現し、圧巻としか言えない光景を見せた。<それでも生きていけ>──“応援者”ではなく「背中を押さない」「手も引かない」”代弁者”ReoNaからの最大級のメッセージ。一対一のエンターテインメントだ。

「改めて、今日ここにくることを選んでくれて、本当にありがとうございます。ReoNaのライブにアンコールはありません。最後の最後まで、2023年、3月6日、今日という日をめいいっぱい受け取って帰ってもらえますように。

ひとりぼっちではじまった物語。未来のことなんて。明日のことすら想像できなかったのに。随分、遠いところまできたね。アニメのおかげで、お歌のおかげで、こんなにたくさんのあなたと過ごせる今日があります。デビュー前、ガンゲイル・オンライン、神埼エルザというキャラクターのお歌役から、ReoNaのアニソンシンガーとしての人生がスタートしました。私にとっての出会えた“あなた”はお歌です、ってずっと言ってきたけれど、きっとそれはこれからも変わらないけれど、でも……それだけじゃないと思える今があります。今日は、最後、あなたに、あなたに。出会ってくれて、ありがとう」

最後に選んだのは、神崎エルザ starring ReoNaの「Rea(s)oN」。エルザのようにギターを掲げ、そしてバンドとストリングス隊と共にお歌を届ければ、尊い命の花が咲く。

「ここにいる一人ひとり、それぞれ過ごす日々があって。それぞれの人生があって。みんなひとり。みんなひとりだけど、今日は……独りぼっちじゃなかったって思ってくれるかな。ありがとうございました、ReoNaでした。じゃあな!」

独りぼっりじゃない一対一の時間が運んだ命の風で、私たちにも、そしてReoNa自身にも、新たな若葉が芽吹いたはず。ここからReoNaの新しい季節がはじまる。そして新しい花を咲かせていく。アニメイトタイムズではReoNa武道館の後日譚、2ndフルアルバム『HUMAN』について、そして“これから”についてのインタビューを公開予定。

[文・逆井マリ]

2nd FULL ALBUM「HUMAN」

2023/03/08 Release

▼DL/ST:https://ReoNa.lnk.to/HUMAN
▼CD:https://reona.lnk.to/HUMAN_pkg

▼「ReoNa ONE-MAN Concert Tour "unknown" Live at PACIFICO YOKOHAMA」
ライブ音源配信:https://ReoNa.lnk.to/unknown-live

■"HUMAN"収録楽曲

01 HUMAN
作詞:ハヤシケイ(LIVE LAB.) 作曲:ハヤシケイ(LIVE LAB.) 編曲:島田昌典

02 Weaker
作調:ハヤシケイ(LIVE LAB.) 作曲:ハヤシケイ(LIVE LAB.) 編曲:堀江晶太
※2023/4/14開業ダンジョン攻略体験施設「THE TOKYO MATRIX」内、「ソードアート・オンライン -アノマリー・クエスト-」主題歌

03 ないない
作詞:ハヤシケイ(LIVE LAB.)、毛蟹(LIVE LAB.) 作曲:毛蟹(LIVE LAB.) 編曲:小松一也
※TVアニメ「シャドーハウス」EDテーマ

04 シャル・ウィ・ダンス?
作詞:傘村トータ(LIVE LAB.) 作曲:毛蟹(LIVE LAB.) 編曲:小松一也
※TVアニメ「シャドーハウス -2nd Season-」OPテーマ

05 さよナラ
作詞:傘村トータ(LIVE LAB.) 作曲:傘村トータ(LIVE LAB.) 編曲:荒幡亮平

06 FRIENDS
作詞:ReoNa、rui(fade) 作詞:rui(fade) 編曲:rui(fade)

07 ライフ・イズ・ビューティフォー
作詞:傘村トータ(LIVE LAB.) 作曲:傘村トータ(LIVE LAB.) 編曲:荒幡亮平

08 メメント・モリ
作詞:毛蟹(LIVE LAB.) 作曲:毛蟹(LIVE LAB.) 編曲:毛蟹(LIVE LAB.)

09 生命線
作詞:毛蟹(LIVE LAB.) 作曲:毛蟹(LIVE LAB.) 編曲:毛蟹(LIVE LAB.)
※家庭用ゲーム「月姫 -A piece of blue glass moon-」主題歌

10 Alive
作詞:rui(fade)、ReoNa 作曲:rui(fade) 編曲:堀江晶太
※TVアニメ「アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】」OPテーマ

11 SACRA
作詞:CAnON. 作曲:澤野弘之 編曲:澤野弘之

12 VITA
作詞:毛蟹(LIVE LAB.)、ReoNa 作曲:毛蟹(LIVE LAB.) 編曲:荒幡亮平
※家庭用ゲーム「ソードアート・オンライン Last Recollection」主題歌

■商品仕様:
【完全数量生産限定盤(CD+BD+LiveCD+フォトブックレット)】 VVCL 2202-2205 / ¥6,600(税込)

 

【初回生産限定盤(CD+BD)】 VVCL 2206-2207 / ¥4,400(税込)

 

【通常盤(CD)】 VVCL 2208 / ¥3,300(税込)

 

<完全数量生産限定盤仕様>
☆特典映像収録Blu-ray Disc同梱
☆ライブCD同梱(ReoNa Acoustic Concert Tour 2022 “Naked” Live at Zepp Haneda(TOKYO) 2022.06.10)
☆撮りおろしフォトブック同梱
☆豪華BOX仕様

<初回生産限定盤仕様>
☆特典映像収録Blu-ray Disc同梱

http://www.reona-reona.com/

神奈川県横浜市出身。既婚、一児の母。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。パンクからアニソン、2.5次元舞台、ゲーム、グルメ、教育まで、ジャンル問わず、自分の“好き”を必死に追いかけ中。はじめてのめり込んだアニメは『楽しいムーミン一家』。インタビューでリアルな心情や生き方を聞くことが好き。

この記事をかいた人

逆井マリ
神奈川県横浜市出身。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。

担当記事

関連記事
絶望系アニソンシンガーの名のもと、孤独や哀しみに寄り添い進化を続けるReoNa TVアニメ『シャドーハウス』のエンディングテーマ「ないない」で未知の扉を開くまで/インタビュー前編
4月からTOKYOMXほかで放送中のTVアニメ『シャドーハウス』(原作:ソウマトウ)は、顔のない一族「シャドー」と、その“顔”としてシャドーに仕える世話係の「生き人形」が織りなすゴシックミステリーだ。物語の最後を飾るのは、ReoNaの「ないない」。ゴシック/クラシックとエレクトロを融合したサウンドで、『シャドーハウス』の妖しげな美しさと世界観を(毒にも近い苦味を忍ばせながら)醸し出した本作は、観るものに深いふかい余韻を残す――。その「ないない」をタイトルとしたシングルが、5月12日(水)に待望のリリース。初回生産限定盤(CD+DVD)、通常盤(CD)、期間生産限定盤(CD+DVD)には、「ないない」の他、多角的に絶望に寄り添った3曲と「ないない」のインストナンバー・TVサイズバージョン(それぞれの盤に新曲2曲ずつ)が収められている。下記インタビューは「ないない」が生まれるまでの軌跡を辿ったもの。後半のインタビューでは、本作のMV、収録曲の制作エピソードについてたっぷりと話を聞いているので、楽しみに待っていてほしい。新しいReoNaらしさが生まれた「ないない」――『シャドーハウス』のミステリアスな世界観に寄り添った「ないない」という素晴らしい曲が届きました。タイトルだ...
関連記事
TVアニメ『ふたりはプリキュア』の声優・本名陽子&ゆかな、西尾大介監督、鷲尾天プロデューサーがクロストーク「子どもたちに嘘はつきたくない」
プリキュアシリーズの原点となるTVアニメ『ふたりはプリキュア』の総集編Blu-ray/DVD『ふたりはプリキュア総集編~ぶっちゃけ、ありえな~い!?2020edition~』が2月26日に発売されます。『ふたりはプリキュア』は今から16年前の2004年2月から放送がスタートしました。その登場は鮮烈でした。「女の子だって暴れたい!」をコンセプトとしたダイナミックな素手でのバトル、女の子といえば“ピンク”という概念を覆す白と黒の衣装、男性ヒーローの不在、“きれいごとだけではない”日常と友情……。プリキュアシリーズの大きなテーマである多様性は、ここから生まれ、そして子どもたちに根付いていきました。レジェンドともいえる作品の主人公2人を演じたのは、本名陽子さん(美墨なぎさ/キュアブラック役)、ゆかなさん(雪城ほのか/キュアホワイト役)。そして、この作品を生み出したのは、当時女児向けアニメに初挑戦であったお二人=シリーズディレクターの西尾大介さん、プロデューサーの鷲尾天さん。総集編の発売に寄せて、4人にお話をうかがう機会をいただきました(さらに飛び入りで、当時キャスティングを担当していた小浜匠さんも参加してくださいました)。にこやかな笑顔でインタビューに答え...
関連記事
「普通のプリキュアと、もう一本アニメを作っているんじゃないかっていう感覚だった」 『スター☆トゥインクルプリキュア』のクライマックスに向けてシリーズ構成・脚本 村山功氏が想いを語る
クライマックスに向け加速しているTVアニメ『スター☆トゥインクルプリキュア』(以下『スタプリ』)。最終回のアフレコが終わった翌週の12月下旬。シリーズ構成・脚本を担当している村山功氏に、クライマックスに向けたお話やプリキュアに対する思いなどを語ってもらいました。村山さんは、『ふたりはプリキュアSplash☆Star』から担当されており、『魔法つかいプリキュア!』では、シリーズ構成・脚本を担当。もちろん、それ以降の『キラキラ☆プリキュアアラモード』『HUGっと!プリキュア』でも、脚本を担当されています。そんな、プリキュアのことを考え続けている村山さんが挑んだ「宇宙✕プリキュア=多様性」のプリキュアとは。ラストに向けて心高ぶるみなさんに、ぜひ読んでほしいインタビューになっています。また、今回のインタビューワーは、お子さんのいらしゃる女性のライターさんです。母子で観るプリキュアという幸せな時間を過ごしていることをイマジネーションして読み進めていただければと思います。最終回の収録を終えた心境──唐突ですが、毎週子どもと一緒に楽しく拝見させてもらっています。今日は宜しくお願いします。村山:ああ、それは嬉しいです。ありがとうございます。──...
もっと見る
関連記事
『キラッとプリ☆チャン』シリーズ構成・脚本 兵頭一歩さんに聞く、やりがいに溢れたプリ☆チャンとの3年間|語っても語りつくせないほどのエピソードがある――【インタビュー】
今年5月、TVアニメ『キラッとプリ☆チャン』の最終話が放映され、約3年、全153話に及んだ歴史に幕を下ろしました。7月23日(金)には、シーズン3の第127話から第138話を収録した『キラッとプリ☆チャンシーズン3Blu-ray&DVDBOX3』が発売!アニメイトタイムズでは『キラッとプリ☆チャン』の楽曲を手掛けられた松井さんに続いて、シリーズ構成・脚本を務めた兵頭一歩さんにオンラインでお話をうかがいました。兵頭さんは『キラッとプリ☆チャン』をはじめ、『トニカクカワイイ』『機動戦士ガンダムAGE』などのシリーズ構成や脚本を手掛けられています。それぞれの作品に並々ならぬ情熱と愛情を注いできた兵頭さんですが、その中でも『キラッとプリ☆チャン』は特別な作品だったと言います。『キラッとプリ☆チャン』での歩みを振り返りながら、自身の仕事観・キャリアについても教えてくれました。アニメイト通販での購入はこちら「いちばんの『プリ☆チャン』マニアであると思ってます」――『プリ☆チャン』が最終回を迎えられ、Twitterに「全てを出し切ったような、やり残したことがまだたくさんあるような、今はそんな気持ちです」と綴られていましたが、改めて今のお気持ちはいかがですか?兵頭一歩さん(以...
関連記事
6枚目のアルバムをリリースしたfripSide 「10周年というものがにじんでいるアルバムになった」その制作を振り返る/インタビュー
fripSide(sat、南條愛乃)の6枚目のアルバム『infinitesynthesis5』が10月30日(水)にリリースされます。今作には、TVアニメ『寄宿学校のジュリエット』オープニングテーマ「LovewithYou」、中国ゲーム『封印者M』主題歌)「LightingofMyHeart」、中国ゲーム『ラグナロクオンライン』新エピソードEP3.5『櫻之花嫁』テーマソング「perpetualwishes」など13曲を収録。南條愛乃さんが加入してから10年という記念すべき年に、最新型のfripSideが凝縮された、新たな名盤が生まれました。アニメイトタイムズではお二人を直撃。“これまで”の話にはじまり、創作現場の赤裸々な話まで、軽やかな雰囲気のなかインタビューが進んでいきました。10年目ならではの二人の空気感や、ユニットとしての充実感がにじんだ会話にも注目です。10年間で増えていったfripSideのチャンネル数──アルバム完成おめでとうございます!一昨昨日にマスタリングが終わったばかりだとうかがいしました。八木沼悟志さん(以下sat):間に合ってよかった……。毎回言ってるけど(笑)。──(笑)。10周年のアルバムということで、10周年を迎えられたお気持ちから教えていただけますか。南條愛乃さん(以下、南條):あっという間でしたね。振り返る...
おすすめタグ
あわせて読みたい

関連商品

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2025年冬アニメ一覧 1月放送開始
2024年秋アニメ一覧 10月放送開始
2025年春アニメ一覧 4月放送開始
2024年夏アニメ一覧 7月放送開始
2024秋アニメ何観る
2024秋アニメ最速放送日
2024秋アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング