『女神のカフェテラス』月島流星役・山根綺さんインタビュー【連載第5回】|「100点のその先を見られるお芝居の世界が、今は楽しくて仕方ありません」
『涼風』『風夏』など、数々のヒット作を生み出してきた瀬尾公治先生の最新作『女神のカフェテラス』(『週刊少年マガジン』連載)がTVアニメ化。2023年4月7日(金)からMBS/TBS系列全国28局ネット「スーパーアニメイズム」枠などで放送中。
本作の舞台はどこかの海辺にある、古びた喫茶店「Familia」。主人公の粕壁隼は、ケンカ別れした祖母の残した「Familia」を「赤字だらけの店、さっさと畳んで駐車場に建て替えよう」と考え、3年ぶりに帰省。しかし、そこには「おばあちゃんの家族」を語る見知らぬ5人のカワイイ女の子たちが。いきなり下着? 全裸!? ちょっとまて、誰が空き巣だ! ……最悪の出会いから、恋と家族の物語が始まるーー!
アニメ放送を記念し、アニメイトタイムズでは、ヒロイン5人を演じるキャストへの連続インタビュー企画をお届け!
第5回は月島流星を演じる山根綺さん。流星を演じるうえで意識していることや序盤の見どころ、また、役者やお芝居への想いついて語っていただきました。
全山根が大歓喜。幸せな瞬間でした
――原作を読んだときの印象をお聞かせください。
月島流星役・山根綺さん(以下、山根):物語の核がしっかりしている作品だと感じました。『女神のカフェテラス』って、ドキドキしちゃうような描写もたくさんありますが、女の子ひとり、ひとりにちゃんとドラマがあるんです。登場人物の気持ちに共感できる部分もありました。各キャラクターに感情移入できるから、よりその子たちを好きになれるんですよね。そこが魅力的な作品だと思いました。
――オーディションに受かったという知らせを聞いたときは、どんなお気持ちでしたか?
山根:家にいるときにマネージャーさんから、「『女神のカフェテラス』流星で決まりました!」って電話がかかってきたんです。もう近隣の方に申し訳ないくらい、めちゃくちゃ叫びました(笑)。私、原作を読んだときから流星を演じたいなと思っていたんです。だからもう、全山根が大歓喜。嬉しくて、幸せな瞬間でした。
――大歓喜! 演じたいと思ったのには、何か理由が?
山根:「君が粕壁隼くんか」っていうセリフを見た瞬間に、ビビッときたんですよね。私はキャラクターを演じるとき、ある程度その子に寄り添った声を作っていくことが多いのですが、流星なら地声に近いところで演じられそうだと感じて。あまり声を作らず、素に近いトーンで勝負してオーディションに合格したのは、もしかしたら流星が初めてかも。それくらいピンときたキャラクターだったので、絶対に演じたい! と思っていました。
――運命だったんですね。出会うべくして出会ったキャラクターなのかも。
山根:そう言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます!
――演じるにあたり、大切にしたいと思ったことは?
山根:序盤での流星の印象って、恐らく多くの方が「ちょっと小悪魔的ないたずらっ子」というものになると思うんです。でも彼女って、実はすごく繊細な子でして。ひょっとしたら5人のなかでいちばん色々なことを感じ取っている子かも。感受性が豊かで、周りを見て対応できる女の子だと思ったので、そこがお芝居でも伝わるよう意識しました。
また、彼女はちょっと頑張りすぎちゃうところがあるんです。「休みはいらないです」って、ときには無理することも。私も誰かに必要とされたい気持ちが強く、「休みはいらない」となりがちなんです。そんな自分のパーソナルとも照らし合わせながら表現できればと思い、収録に臨みました。
ナチュラル過ぎるお芝居だと絵の力に負けてしまうと思った
――アフレコはいかがでしたか?
山根:みなさんのお芝居が面白かったです! 印象に残っているのは(鶴河)秋水役の鈴代紗弓ちゃんのアドリブ。たくさんあったのですが、そのどれもが面白くて。「これもやりたいと思っていたんですけど……」と、思いついたらその芝居をやってみるという彼女の姿勢には刺激を受けましたし、勉強にもなりました。
――お芝居以外では、どんなお話をされましたか?
山根:鈴代紗弓ちゃんとは別の作品でも何度か一緒になったことがあったのですが、ふたりでご飯に行ったことがなくて。ある収録終わりに時間があったので、これはチャンスだと思い、ランチに行きました。そこで爆裂に仲良くなりましたね(笑)。前々から思っていたのですが、私たちって、実は似ているところがあるんです。まず誕生日が一緒だし、私がハマっているタイプ別診断も同じ結果でした。
――共通する部分が多いのかもしれません。
山根:そうかも! 他のキャストのみなさんもお優しくて。幕澤桜花役の青木(瑠璃子)さんは、別作品で舞台をやっていた時に「大変だと思うけど、頑張って」というメッセージを送ってくださいました。小野白菊役の和氣(あず未)さんも、励ましのメッセージをくれたんです。鳳凰寺紅葉役の瀬戸(麻沙美)さんは会うたびに優しく、フレンドリーにお話ししてくださいます。
隼役の水中(雅章)さんとは麻雀の話で盛り上がりました。経験を積むと四暗刻(スーアンコウ)などの役満をあえて狙わなくなってくると言われた記憶があります(笑)。いつか打ちましょうと約束しました!
――現場のいい空気感が伝わってきました。ディレクションではどのようなことを言われましたか?
山根:声を作って演じることはあれども、お芝居自体はふだん喋っているような感覚でナチュラルに演じるのが好みなんです。ただ本作の場合は、ナチュラル過ぎると絵の力に負けてしまうことがあって。分かりやすく感情表現の上下を作らないと、流星の浮き沈みの激しさや、テンションの上下の差が伝わりにくくなってしまうんです。
その表現の仕方に苦労して、音響監督の本山(哲)さんから「もっと分かりやすく」というディレクションがありました。6話ぐらいまではいつも本山さんが収録終わりにブースに来てアドバイスをしてくれたんです。なんてあたたかくて優しい方なんだと思うと同時に、申し訳なさと「もっと頑張ります……!」という気持ちいっぱいになりました。
――壁が立ちはだかったんですね。
山根:だからこそ7、8話くらいの収録で「いい感じですね」とポジティブな言葉を本山さんからいただけたときは、帰り道で泣いてしまうほど嬉しかったですね。どうやったら流星の魅力が伝わるか、毎話・毎話考えながら演じたので、どうか芝居の変化も見守っていただけたらと思います。