映画
『兵馬俑の城』日本語吹き替え版声優・福山潤インタビュー

アニメ映画『兵馬俑の城』日本語吹き替え版 モンユエン役・福山潤さんインタビュー|中国のアニメ、エンタメ分野の技術力や熱を感じて、楽しんでほしい

シャオバオ、シーユイ、シアホウ将軍……モンユエン以外のキャラクターにも注目

――シャオバオを演じている中島ヨシキさんのお芝居はいかがでしたか?

福山:僕が考えていたシャオバオとは全然違っていて、「俺はやりすぎていたんだな」と思いました(笑)。中島くんは人の役をやっている時は素敵なバリトンボイスでイケメンをやっているので、意外な一面を見させてもらいました。

――ヒロインのシーユイの印象と、演じる寿さんのお芝居についての感想をお聞かせください。

福山:シーユイのイメージそのままですね。お芝居に芯がある方で、強い意志を持った言葉を出せるんですよね。彼女とはこれまで何度も共演していますが、ずっと絡む役をやったことがなかったので新鮮さも感じました。

序盤はずっとシーユイに引っ張ってもらう立場ですし、1日かけてセッションのように作品を作り上げていく作業が楽しかったです。

――モンユエンとシーユイの恋模様も見どころの1つですが、お気に入りのシーンを挙げるとすれば?

福山:兵俑のモンユエンと、人間のシーユイは見た目で大きな違いは感じませんが、二人が横並びになると毛の動きや肌の質感などで違いがわかるところがおもしろいなと思いました。兵俑と人間ではありますが、「ボーイミーツガール」を描いているので、皆さんも楽しんで見ていただければと思います。

あと、長編のファンタジー作品では音楽が流れるシーンがつきものですが、この作品でもそこは見応えがあって。僕らは時々入る息の芝居だけになりますが、そのシーンが僕は好きです。謎の衣装替えのシーンとか(笑)。ああいうファンタジックなシーンはとても重要ですから。

――曲が流れるシーンはまるでミュージカルを見ているような気分でした。

福山:そうですね。今まで培ってきたいろいろな表現方法があるから、兵馬俑と地下都市という独特な世界観をすんなり受け入れられる要因なのかなとも思います。

あとお祭りのシーンはすごかったですね。音響もすごくて、僕が気になっているのは、向こうの収録ではアフレコとプレスコ、どっちだったのかなと。音響的には劇伴の作り方も曲を作った後で編集したのか、シーンの尺や演出に合わせて作られたのかなど、映像以外に耳から入ってくるものも楽しめました。

――演じていて好きなシーン、お気に入りのシーンを教えてください。

福山:美しいシーユイと出会って、一緒に旅をすることになったらモンユエンは急に調子に乗り出して。実体が伴っていない自信とか、そういうところが好きです(笑)。モンユエンは出世したい、鋭士になりたいという夢がありますが、もしそれが叶いそうになった時の心の揺らぎや本質が垣間見えるシーンがふんだんに入っているので、最初の時と中盤以降の転換期の彼のキャラクターの変化は演じていても楽しかったです。

――ご自身が演じるキャラ以外で興味を持ったキャラは?

福山:作品を語る上でシアホウ将軍ははずせません。強くて、カッコイイし、演じる星野(貴紀)さんのお芝居もカッコよくて。あの圧力に負けないように演じないといけないなと思いました。モンユエンとシアホウ将軍の掛け合いのシーンにも注目してください。

この作品では、僕は主人公の少年役を演じるのは久しぶりで、寿の強い女性の凛とした素晴らしさ、中島くんは人以外のこういうキャラクターを演じる姿を初めて見られたし、星野さんの力強さだったり。そして水島 裕さんが仙人役をやられていて、僕ら4人、少しずつ世代が違いますが、裕さんがいてくださると、バラバラの世代がひとつにまとまるし、楽しくやらせていただきました。

――本作は、シャオバオや、妖精のミミ、モンユエンたちが追い求める霊獣の地吼(ディーホウ)など人間以外のキャラクターも個性的です。

福山:見たことはないはずなのに、親しみや、見たことがあるように感じたりして不思議ですよね。どこかかわいさを感じるので、子供たちも好きになるのではないでしょうか。この兵馬俑の地下都市の世界観を表現する大切な要素の1つにもなっていて、考えたり、理解しようとしなくても、見れば感じられるし、おのずと世界観を受け入れられるのかなと思います。

――人間以外のキャラクターたちが魅力的であることや、映像の高いクオリティなど、ハリウッドの3DCGにひけをとらないものになっていると思いました。

福山:日本でもこのレベルの3DCGの映画を作ろうとしたら大変ですよね。映像だけの表現力では、トップレベルであり、どこで作られたとか、どれだけ製作費がかかったとか関係なく、いいものはいい、そういうことじゃないかと思います。日本語で『兵馬俑の城』と書かれるとお堅い作品なのかなと思ってしまうかもしれませんが、硬いのは兵俑の皮膚だけなので(笑)。

素晴らしいエンターテインメントを純粋に楽しんでほしい

――モンユエンは秦陽城という城に住んでいますが、好きな中国の城はありますか?

福山:いろいろな中国の歴史作品に関わっているので、三国志や春秋戦国時代の都市名はすぐに思い浮かびますが、“要塞”という捉え方をしているので、改めて中国の有名な城となるとすぐには出てきませんね。

――兵馬俑は中国の歴代皇帝によって作られたと言われていますが、中国の史実で興味があるもの、好きな皇帝や武将はいますか?

福山:始皇帝ですね。何度もやらせていただいているので(笑)。僕の世代は、始皇帝は初めて中華統一を成し遂げた皇帝という以外は、教科書に載っている程度の知識を知っていたくらいで。ドラマとして描かれる人物像として知っているのは自分が演じたこともあって、始皇帝になりますね。

――最後に、皆さんへメッセージをお願いします。

福山:今の中国のアニメーション、エンターテインメント分野の技術力や熱をたくさんの方々に知って、感じていただきたいです。中国産、日本産、アメリカ産などということは置いておいて、おもしろいものはおもしろいし、素晴らしいものは素晴らしいと純粋に楽しむことがエンターテインメントのあるべき姿なのかなと思います。

「兵馬俑」という存在は、日本では文化展などに行かないと触れたり、知ることがないかもしれませんが、中国特有の文化から着想を得て、こういう素敵なファンタジーが生まれて、人間と兵俑たちのドラマは僕らが理解できて、共感できるのではないかなと思います。素晴らしいストーリーとドラマ、映像美と音楽に、我々演者の生の声が入ることで、皆さんに見て、感じてもらって、楽しんでもらえるエンターテインメントになっていれば幸せです。触れたことがない表現などを見ることで新鮮さを感じたり、発見があるかもしれません。見てくださった方の感想を知りたいです。ぜひ劇場へ足を運んでください。

アニメ映画『兵馬俑の城』作品情報

2023年6月16日(金)公開

ストーリー

中国歴代の皇帝によって作られた兵馬俑。その兵馬俑達が眠るはずの巨大な地下都市には、大きな秘密があった。兵馬俑達は、神から命を授けられ、もう一つの世界が作られていたのだったー。

兵俑の雑用係・モンユエンが住む秦陽城は、凶暴な霊獣たちの襲撃に悩まされていた。その霊獣に拮抗するシアホウ将軍の姿に憧れたモンユエンは精鋭部隊「鋭士」への入隊を希望するが、将軍から「霊獣・地吼(ディーホウ)を捕まえる」という条件を出される。

霊獣・地吼を追う旅の途中、モンユエンは謎多き少女シーユイと出会う。旅の途中で二人は地下の世界では見られない美しい風景や世界の広さを知る。

次第に惹かれ合う二人。モンユエンは、家族を探すシーユイの力になりたいと考えるようになる。そして、二人はついに、地吼を追い詰めるが・・・。

オリジナル版スタッフ

製作:尚琳琳、鄭志昊、徐天福、李暁東、蔡懐軍、支穎
プロデューサー:劉艶娟、李小虹、李錦、王磊、任旭、黄帆順
監督:林永長
副監督:陳嬌艶
脚本:徐蕓、崔鉄志、王鋼
ビジュアルエフェクト監督:張雅蓓、王強
編集特別監修:王懐佩、唐緒恒
美術監督:郭尚振、王剣龍、李弘毅
音楽:黄英華(『少林サッカー』、『カンフーハッスル』)
音楽監修:秦早
制作スタジオ:Fantawild Animation Inc.

日本語吹替版スタッフ

演出:菊田浩巳
翻訳:藤原由希
音響制作:楽音舎
日本語吹替版制作統括:ライブ・ビューイング・ジャパン、面白映画
日本語吹替版配給:ライブ・ビューイング・ジャパン、エレファントハウス
提供:Fantawild Animation Inc.、面白映画、Open Culture Entertainment
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン、エレファントハウス

キャスト

蒙遠(モンユエン):福山潤
史玉(シーユイ):寿美菜子
シャオバオ役:中島ヨシキ
シアホウ将軍役:星野貴紀
九尾大師役:水島裕
オババ役:桜岡あつこ
キツネ役:橘潤二
ゴン役:白石兼斗
ガマ役:杉崎亮
ヤセ役:株元英彰
太っちょ役:石狩勇気
ワン親方役:武田太一
妖術使い役:小林康介

公式 サイト
公式Twitter

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