声優
水島 裕が声優人生を振り返り、今思うこと丨芝居において“教科書通り”が全てではない

「自分自身の感性に鈍くならないこと。お芝居において“教科書通り”が全てではないんです」 81ACTOR'S STUDIOキッズクラス 代表講師・水島 裕さんが声優人生を振り返って、今思うこと。

声優という仕事の醍醐味と魅力

──水島さんは同世代の仲間から刺激を受けることもあったのでしょうか?

水島:僕の同世代と言うと、井上和彦さん、三ツ矢雄二さん、古谷 徹さん、田中真弓さんなどですね。横の人たちはね「一緒に頑張ろう」という感じです。同志と言いますか。

中でも、同じ年の歌手・新沼謙治さんとはNHKの番組『連想ゲーム』で共演して以来、ずっと仲良くしています。とにかく彼は面白いんです。当時は家も近くてね。出会った当初から意気投合して、一度ご飯を食べに行くことになったんです。それで寿司屋に行きました。

その時に謙ちゃんがお寿司を食べて「うっめぇなぁ!」と言ったんですよ。文字通り、すっごい美味しそうな表情で。そのときに驚いたんですね。僕はご飯を食べるときに、そこまで気持ちが動いていなかったんです。時間になったから食べる、お腹が空いたから満たす、とか。「美味しい」「美味い」じゃなく「うっめぇなぁ!」。彼はそれだけ感情を揺らしながら物事に触れているんだなと。羨ましかったです。それも気づきのひとつのきっかけでした。

謙ちゃんの自宅に遊びに行ったときに、ずっと歓声が入ったライブ音源のイントロ部分を聴かされたりしたこともありました(笑)。でもなぁ、憎めないんだよね。彼のそういうところも大好きなんですよ。

──そういう人柄はこの世界において重要なことのように感じます。チャーミングさというか。

水島:そうそう! それは本当にそう思う。良い人とか悪い人とか、そういうものじゃなくて、可愛げっていうのはキーワードですよね。僕が大好きな人って、みんな可愛げがあるんです。『連想ゲーム』の白組男性軍キャプテンの加藤芳郎先生もとてもチャーミングな方でした。

当時、僕はよくNHKの食堂でカレーやラーメンを食べていたんです。そしたら加藤先生が「裕ちゃんはもったいないよ。俺は今一食、一食が大事だから、毎回カレーやラーメンじゃ嫌だよ」って。その時はピンとこなかったんですけど、今ならわかりますね(笑)。

ところで、先日、マコさん(野沢雅子さん)にお会いしたんですが、マコさんもとてもチャーミングです。可愛らしいの。120歳まで生きるんですって。それで仕事は118歳までする、と。「わかりました、追っかけます!」と(笑)。

また、先週は清水マリさんにもお会いしました。僕は小学生の頃、「アトム博士」と呼ばれていたくらい、『鉄腕アトム』が大好きで。だからアトム役を演じていたマリさんにお会いしたときは感激しすぎて直立不動でした。そのマリさんが現役で活躍されていて、本当にすごいなぁと思います。先輩方がすごい背中を見せてくれるから、僕も頑張ろうと思えるんです。時には悲しいお知らせもあります。でもそんな中で、現役で活躍されている方もいる。大きな励みになります。

今、僕は『ワンピース』で同時期にナポレオン役、ゼウス役、プロメテウス役、 河松役と4役やっています。そこが声の面白いところですよね。実写であれば同時に4役は難しい。でも声であればできる。そこが声優という仕事の醍醐味の一つだと思います。

──水島さんの中でそれが声優というお仕事の一番の魅力だと思いますか?

水島:そうですね。それと、変化が少ないこと。年齢を重ねても、容姿をそこまで気にしなくていいですから。先日、『魔法の天使クリィミーマミ』で大伴俊夫役を演じたんです。40周年ですよ。もし、顔出しだったら「俊夫です!」って言っても「ふざけるな!」って言われちゃう! でもそれができる。それは声優というお仕事の魅力だと思っています。

──長年同じ役を演じる難しさはありますか?

水島:それは難しさじゃなく、有り難さです。40年前にやっていた役を今も求められるってすごく有り難いことです。先日、『愛の戦士レインボーマン』の本が発売されたんですよ。50年経ってもあのときのレコーディング風景は覚えています。川内康範先生が原作も作詞をされていて。あれから50年経って、またインタビューを受けて、その作品が本になるなんて想像すらしていなかったです。そうした作品と出会えて、本当に幸運だったなぁと思います。

インタビュー後編

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声にまつわるトータルマネージメントを行う81プロデュースが、新たに小学生を対象とした81ACTOR’SSTUDIOキッズクラス【81キッズ】を開講しました。【81キッズ】の入所対象は小学生。「『感じるチカラ』と『伝えるチカラ』を育てる」をテーマとしたレッスンを展開しています。81プロデュース所属の個性豊かな俳優陣が、子どもたちの想像力、創造力、表現力、読解力、コミュニケーションスキルを育てるカリキュラムを担当。現在は1期生が受講しており、中途入所生を受付中です。【81キッズ】の代表講師を務めるのは水島裕さんです。水島さん自身の声優人生を振り返りながら、なぜ子どもたちに教えたいと思うようになったのか、そして子どもたちにどんなことを伝えていきたいかなど、前後編に渡り紐解いていきます。インタビュー後編では、【81キッズ】のレッスンの内容、水島さんの抱く展望などを教えてもらいました。インタビュー前編子どもたちにとってチャンスがたくさんある時代――水島さんは「キッズ声優養成プロジェクト」を行ったり、近年ですと「SUNAUDITION」『声優魂』のオーディションの審査員にも参加されたりと、積極的に後進を育成されているイメージです。後進育成に目を向けられた...

[インタビュー・逆井マリ 編集・撮影/鳥谷部宏平]

【81キッズ】2023年度開講情報

《開講日》2023年5月13日(土)
《対象》2023年5月時点で小学1年生~6年生の心身ともに健康な男女
《在籍期間》2023年5月~2024年3月まで約1年間(年間40コマ)
《1回の受講時間》90分
《受講曜日》毎週土曜日 15時〜16時30分
《場所》81ACTOR´S STUDIO 東京校(〒151-0073 東京都渋谷区笹塚1-52-18 BOF5笹塚)
《特記事項》保護者の方は待機室にてリモートでレッスンの様子を見学することが可能です。

《5/17現在追加情報》
23年度『中途入所生』は、7月1日(土)~のレッスン合流を目標としています。

※実施内容は変更・及び中止になる可能性がございます。

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