『僕の心のヤバイやつ』連載インタビュー第7回:市川京太郎役・堀江 瞬さん✕山田杏奈役・羊宮妃那さん|「大切にしていたのは人と人との会話。その結果、生々しい中学生っぽさを感じ取ってもらえたんだろうなと」
意識したのは会話 噂の“羊宮節”についても言及
――赤城監督も小沼さんも、堀江さんが「自分のことを好きじゃないんじゃないか」ということと、生々しい中学生感があったということをおっしゃっていて、それがとても印象的だったんですけど、堀江さんは演じる上でどのようなことを意識されていたのでしょうか?
堀江:実際学生のころ厭世的というか、ちょっと斜に構えていたところがありました。で、斜に構えている自分にも酔ってる(笑)。おそらく大体の男子が通る道を僕も歩んできた人生だったので、共感という意味ではすごくやりやすかったです。「どういうつもりでいってるんだろう、このセリフは」ってこともなくて。
ただ、僕自身は中学生のリアルな感じを出すというよりも……大切にしていたのは、人との会話でした。その結果、受け取ってもらう印象に生々しい中学生っぽさを感じ取ってもらっていたんだろうなと思っています。だから「学生やるぞ」って気持ちはあまり持っていなかったです。
――また、小沼さんは羊宮さんのお芝居のことを“羊宮節”とおっしゃっていて。
羊宮:インタビュー読みました!(笑) もううれしいお言葉がたくさん並んでいて、本当にうれしかったです。
“羊宮節”に関してははっきりと気づけていなかったのですが、杏奈ちゃんは作り込み過ぎずに演じたといいますか。もちろん、アフレコに臨むまでは原作を読んでイメージはしていたんですけど、技術的なものに頼りすぎず、感情を大切に、出てきた音に対してリクエストがあれば、音響監督の小沼さんの意見を参考にして。みんなが大切にしている杏奈ちゃんに寄り添っていけるようにと心がけました。
堀江:人を集めてボイスチェンジャーで全員山田のお芝居をやらせて「どれが羊宮さんでしょう?」って聞かれたら、多分当てられると思う。それくらい“節”があると、僕も感じていました。
羊宮:そう言っていただけると役者冥利に尽きます。
――堀江さんから大切にしたことというお話がありましたが、羊宮さんがいちばん大切にされたことというと……。
羊宮:“固めない”ということでしょうか。杏奈ちゃんを表現していくのであればたくさんのこだわりを持つべきだとも思ったんですけども……私が杏奈ちゃんの感情を落とし込んだものをどこまで解放させるか。より一層解放させて、抑えるところは抑えて、そしてディレクションをいただいたものは調整してと、その場で考えて。杏奈ちゃんの中学生ならではの繊細な感情を大切にしたいなと思っていました。
“尊い”がたくさん詰まった11話
――本インタビュー掲載時は11話の放送が終わったところです。11話のアフレコエピソードがありましたら教えてください。
羊宮:ビデオ通話のテストの収録のとき、実際には近くにいるんですけど、離れているような、つながっているような……そんなふたりになれたような気がしていました
堀江:僕は確か(兼役で)わん太郎をやったような……。
――山田の犬!
堀江:やったよね?
羊宮:やっていました(笑)。
堀江:バウバウ系の犬じゃなく、キャンキャン系だったので、男性が声をあてるのってすごく難しいんです。バウバウだとごまかしが効くんですけども。僕らの時間軸だとこれからの放送なので、どんな感じになってるんだろうってすっごくドキドキしています。
あと好きなシーンで言うと、おねえとのやりとり。思春期の弟を見守るおねえちゃん感が本当に凝縮されていて。かと思えば、「異性の友だちくらい…いるだろ…おねえだって」と姉にぐさっと刃を刺すシーンもある。で、「いないが?」。あの場面がすごく好きです。
――田村ゆかりさん演じるおねえが最高ですよね。
堀江:おねえは僕らのあとに収録しているので、僕らはおねえの声を想像して演じているんです。この「いないが?」のシーンは、絶対に「いないが?」が面白く際立つようにしたいと思っていて。普段逆説的に組み立てることってあまりないんです。どちらかというと会話を意識するようにするんですが、そこだけはそれを目指して逆算していました。この「いないが」は原作を読んでいても吹き出すくらい面白かったので、そのセリフをこぼさないようにしたいなと。早く生で聞きたいなと思っています。
羊宮:私は電話のシーンがやはり印象的でした。安眠のおまじないをアニメで見られるのがすごく楽しみなんです。女の子っぽさもあるし、杏奈ちゃんがやるからこそ、よりキュンキュンします。それに市川くんが気づいていない描写もキュンキュンするしで、ここに“尊い”がたくさん詰まっているなって。だから収録も思い出に残っていますし、アニメの放送も楽しみにしています。
――11話を経ていよいよクライマックスに。どのようなところを楽しみにしていてほしいですか?
堀江:未曾有のものになってると思います。
羊宮:全て……です。最後の最後まで、僕ヤバの世界観に浸る事ができると思います。……あっ、そういえば私、あることを読み間違えてしまった思い出が……。
堀江:なんか言ってた……! 羊宮ちゃんってちょいちょい面白い読み間違えをしていて。「確かにそうとも読める!」と。確か“私服”も“わたしふく”って言ってなかったっけ?
羊宮:そうですね(笑)。「私、服持ってない」なのかなと思ったんですよ。
堀江:確かにそうとも読める! でもこの場合は私服じゃないか、みたいな。
――ありますよね!
堀江:それともうひとつ注目してもらいところがあって。9話で小学校時代の京太郎を演じたことも楽しかったです。あの時はマウントひねくれ小僧だったころの京太郎でしたが、最終回ではまた違った過去が描かれます。すごく良いタイミングで出てくるので、楽しみにしていてください。
――小学生の市川は、どのようなディレクションを受けたんですか?
堀江:「もうちょっと若くしてください」と(笑)。頑張って小学生声を出しました。
羊宮:昔の市川くんは一味違いましたよね(笑)。