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『スキップとローファー』監督・シリーズ構成 出合小都美インタビュー【連載第6回】

日常に疲れた人が見て「ほっとする」「いい雰囲気だな」って思ってもらえるように│アニメ『スキップとローファー』監督・シリーズ構成 出合小都美さんインタビュー【リレー連載:第6回】

ついに最終回を迎えたTVアニメ『スキップとローファー』。毎週の癒されタイムが終わってしまって、悲しんでる人も多いのでは。

そこでアニメイトタイムズでは監督・シリーズ構成の出合小都美さんを直撃! キャラクターや絵作り、音楽についてなどなど、じっくりとお話を伺いました。

温かい色彩と柔らかな線が特徴の本作。そこには日常の緊張から解放されるようにという、監督の想いがありました。
キャラクターの感情を伝えるため、光と影の角度や空気感にまでこだわり、ダビングのタイミングを細かく調整するなど、丁寧に丁寧に作られた過程に感動!

作り手の立場から深掘りしたリレー連載・最終回です。

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スキップとローファー
地方の小さな中学校から、東京の高偏差値高校に首席入学した岩倉美津未。カンペキな生涯設計を胸に、ひとり上京してきた田舎の神童は、勉強はできるけれど距離感が独特でちょっとズレてる。だから失敗することもあるけれど、その天然っぷりにクラスメイトたちはやわらかに感化されて、十人十色の個性はいつしか重なっていく。知り合って、だんだんわかって、気づけば互いに通じ合う。だれもが経験する心のもやもや、チリチリした気持ち。わかりあえるきっかけをくれるのは、かけがえのない友達。ときどき不協和音スレスレ、だけどいつのまにかハッピーなスクールライフ・コメディ!作品名スキップとローファー放送形態TVアニメスケジュール2023年4月4日(火)〜2023年6月20日(火)TOKYOMXほか話数全12話キャスト岩倉美津未:黒沢ともよ志摩聡介:江越彬紀江頭ミカ:寺崎裕香村重結月:内田真礼久留米誠:潘めぐみナオ:斎賀みつき迎井司:田中光山田健斗:村瀬歩兼近鳴海:木村良平高嶺十貴子:津田美波スタッフ原作:高松美咲(講談社「月刊アフタヌーン」連載)監督・シリーズ構成:出合小都美副監督:阿部ゆり子キャラクターデザイン・総作画監督:梅下麻奈未総作画監督:井川麗奈プロップ設定:...

他人から見た志摩を描く際は、特に気を遣いました

――出合監督から見た、『スキップとローファー』の魅力とはどこでしょう?

出合小都美監督(以下、出合):キャラクター描写の繊細さと、人間関係のもつれで起こる様々な感情や共感性の高さに惹かれました。

――アニメ化にあたり、もっとも大切にされたことを教えてください。

出合:先ほど言ったところがブレないように、さらに作品の持つ空気感や印象が損なわれないようにアニメーションに落とし込むことを意識しました。また、高松(美咲)先生の作品が持っている尺感がすごく独特だと感じていまして、その時間軸も大切に再現しました。同時に、観る方の感覚も大事にしなければいけないので、そのバランスに配慮しました。

――高松先生からは何か要望がありましたか?

出合:最初に言われたのは、コメディだということは外さないで欲しいと。他には、ほとんどありませんでした。もちろん、細かい確認はありましたが……。

――みつみ(岩倉美津未)と志摩(志摩聡介)は、とてもバランスが難しく繊細なキャラクターで、描き方次第で印象が変わってしまうと思うのですが、どのような点に気を配られましたか?

出合:みつみって、カリカチュアし過ぎるとウザくなってしまうんです。説教くさくなるというか、共感しづらい。なので、そういう場面では原作もそうなんですが、笑いを入れて肩すかし感を出してます。真面目さとギャグっぽさとのバランスで、みつみらしさが出るように工夫しました。高松先生が初めに言われた、この作品はコメディですというのは、そういう意味でもあるんです。

――志摩はどうですか?

出合:志摩は本当に難しいキャラクターでした。アニメーションではあまり見ない感じ? 彼は6話ぐらいまで、自分の気持ちをほぼ言わない。考えてはいるんだろうけれど、それが他の人には分からない。そういう“みつみから見た志摩”と言いますか、他人から見た志摩を描く際は、特に気を遣いました。

――1話の、みつみが走っているシーンでは、珍しく志摩の感情が表情に出ていましたが……。あのシーンはかなり長かったですね。

出合:そうですね。シリーズ最終話は志摩で締めると決まっていたので、まずは志摩の心が動く最初の場面を大切に描きたいと思いました。尺が長かったのは、みつみの足が遅いのを表現するためでもありました。でもこれって、アニメーションで表現するのは難しくて……。この場面はみつみのキャラクター性――一生懸命なんだけど空回りしてしまうことも多いっていう部分を印象づける重要なシーンなので、担当原画の方もすごく悩みながら描かれていました。

――あの一生懸命走ってるのに全然進まない感じ(笑)、黒沢(ともよ)さんの演技とも相まって、ものすごくリアルでした。逆に11話、12話は志摩のモノローグで話が進んでいきました。

出合:あのエピソードは、原作とずれないことを大前提に、志摩の過去について追求するのではなく、その過去を踏まえて、今、彼がどう感じているのかを大切に描きたいと思って作りました。このシーンは本当に、江越(彬紀)さんのお芝居の賜物だと思っています。

こちらでボールド(※セリフのタイミングの指示)も一応、出してはいたんですが、間合いも含め役者さんの好きなようにやってもらいたいと思い、江越さんにすべてを委ねました。やっぱり感情が乗ってくるときの間や尺は、人によって違うと思いますので……。

――6話の、みつみと志摩が教室でちょっと揉めて、みつみがごまかすように出て行っちゃったシーンの後の志摩のため息も、とてもいい間合いで、志摩の悔やんでいる感じが伝わってきました。

出合:あのシーンはアフレコ自体もバシッと決まったのですが、その後、ダビングの際に声のタイミングをさらに細かく調整した記憶があります。一連の流れの中で自然に見えるようにしました。

――演技で印象に残ったのは、緊張したときに息をふっと吐いたり、しゃべり出しにちょっと吸ったり、そういう呼吸音もすごく丁寧に作られていたことなんですが……?

出合:それは山田(陽)音響監督の指示ですね。そういうところがキャラクターの生っぽさにつながっているのかもしれないです。

(C)高松美咲・講談社/「スキップとローファー」製作委員会
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