夏アニメ『AYAKA ‐あやか‐』連載 第0回:GoRA 宮沢龍生さん(モノガタリプランナー)×来楽 零(シリーズ構成)|“キズと絆の物語”――『K』とは異なる“絆”がコンセプトのGoRA最新作の魅力とは
7月1日よりスタートするオリジナルTVアニメ『AYAKA ‐あやか‐』。作家集団GoRAとキングレコードがタッグを組んだこの作品は、相棒×師弟×好敵手×兄弟という関係性と、それぞれに宿命を背負った男たちの絆の物語を描いていく。
緻密なストーリー、深く広い設定、魅力的なキャラクターたち……。『K』を手掛けたGoRA作品の魅力が、ここにも詰まっている。
アニメイトタイムズでは本作の魅力に迫るスタッフ&キャストインタビュー連載を実施。初回となる今回は、モノガタリプランナーの宮沢龍生さん(GoRA)とシリーズ構成の来楽 零さん(GoRA)に、作品の成り立ちや、その魅力などをたっぷりと語ってもらった。
各話放送後に小説をリリース、GoRA初の試みにも注目!
――作品がどんな種から生まれたのかを教えていただきたいのですが、たとえば社会情勢などを見ている中で、こういうメッセージを届けたいとか、そういう考えはあったのでしょうか?
宮沢龍生さん(以下、宮沢):実はそこまで現代社会へのメッセージ性を含めているつもりはないんです。一番基本的なところだと、楽しんでもらいたい、喜んでもらいたいというのが最優先にあるので、そこから楽しくなってもらうためにはどうしたらいいかを考えていく感じでした。
来楽 零さん(以下、来楽):GoRAが10年という長い年月をかけて携わってきた『K』のテーマが絆だったんですけど、それは、コミュニティが崩壊するきわに、その絆を意識するような話だったんです。でも今回の『AYAKA ‐あやか‐』は、切れてしまった絆をもう一度繋ぎ直したり、新しい絆を得たりといったもので、『K』とは違う絆を描いていこうかという話をしました。
宮沢:そんな話、していたっけ?(笑)
来楽:してましたよ! 『キズと絆の物語』っていうのが私たちのコンセプトなんじゃないかって、宮沢さんが言ったんですよ(笑)。
宮沢:そんなカッコいいこと言ってたの? 覚えてないなぁ(笑)。今回は彼女がシリーズ構成をしていて、『K』でも中心にいたんです。コンセプトを一番ガッツリと意識しているのは彼女なんですけど、確かに言われてみればその通りの話になっていますね。
来楽:これまでキャラクターの関係性のお話を作ってきて、それでファンの方が付いてくださったので、また新しいキャラクターの関係性を描くというところで、どういうものがいいのかを話し合ったんです。最初の合宿のときに、どんな関係性があり得るのかというのを色々と出し合って、結局『AYAKA ‐あやか‐』では、兄弟の絆を描いてみようという話になりました。
――そういう合宿をしているんですね。
宮沢:合宿は割とよくやっていて、最初の企画の段階でちょっと話し合ったあとに、一度煮詰める意味で合宿をするんです。そこでみっちりと考えて、兄弟というキーワードが生まれたのだと思います。
――そこでメインのキャラクターを何人にするかなども決めていく感じなんですね。
宮沢:そうですね。でも最初の段階から中心が4人というのは、ほぼ決まっていた気がします。だいたい合宿では走り出せるだろうというところまで詰めるんです。そこからは定例会議で少しずつ詰めていくので、合宿は勢いづけという意味合いもあるんです。
来楽:2018年の頭くらいからやっていたので、結構長い期間詰めていました。
――コロナ禍前だったんですね!
宮沢:だからマスクなしで合宿をしていました。
――絆という意味で、コロナ禍もあって、こういうメッセージなのかなと少し思ったのですが、そんな前からだとは思いませんでした。
宮沢:そうなんですよ。ほぼほぼコンセプトが出来上がって動き始めたのがコロナ前だったので、そこまでの影響は受けていないんです。
来楽:ただ結果的に切れた絆を繋ぎ直すという話になったので、現代に合っているところはあるのかもしれないですね。結果論にはなりますけど。
――先程、言ったことを忘れていたというのも納得しました(笑)。
宮沢:作家って放送する頃になると手が離れてしまうので、こうだったっけ?って思うことはよくあるんですよ。
来楽:でも私たちの場合、周辺のボイスドラマを書いたり、小説も書くので、実は今でも『AYAKA ‐あやか‐』を書いている感じなんです。今回は毎話、放送が終わったあとに自分たちで電子書籍を出そうと計画していて、私は今その関連作業をしているところです。
――アニメを見たあとに、文字でも話が読めるのですか?
来楽:そうです。アニメを見たあとに、このお話を読んでもらいたいなっていうのを、全12本やる予定です。
宮沢:これは初めての試みになりますね。
来楽:脚本家集団と言っても、全員作家でもあるので小説を書きたいというのがあるんです。アニメだけでは伝えきれない過去の出来事だとか、キャラクターの心情を小説で読んでいただいて、さらにキャラを深掘りしていただきたいなと思っています。
――最近は作家さんが実況で解説してくれることもあるので、観ている人にとっては嬉しいですね!
宮沢:『K』のときもそうなんですけど、深くハマってもらいたいんです。文字媒体って、最初のハードルは高いんですけど、ハマるとずっと好きでいてくれるんです。『K』を10年間続くコンテンツにできたのは、文字を中心にしたものをたくさん出していたからだと思っているし、やはり文字だと奥行きが出るんですよね。即効性はないけど長く好きでいてもらうには有効な方法なのかなって思っています。