この記事をかいた人
- 塚越淳一
- アニメイトタイムズでいっぱい書いています。
――第1話は、世界観と一緒にキャラクターも見せなければいけないので、どのアニメにも言えることですが、難しいですよね?
長山:そうですね。やはりオリジナルアニメなので、そこで世界観を見せつつ、キャラクターものというか、キャラの心情を大事にする作品であることも見せたかったので、バランスは難しかったです。舞台も、最初から島へ行って、幸人自身が知らない環境に身を置くので、その見せ方は絵コンテ段階で悩みました。しかも最後にアラミタマも出てきますから。
――要素が多いですね(笑)。
長山:第1話はどうしてもそうなりますね。キャラクターのシルエットは見えてきているけど、動かし方はこれで合っているのかな?っていうのは悩みながらやっていて、コンテで決めきっていない部分もあるんです。キャラクターのしゃべり方も、文章に書いてあるものと、実際に声で聞いたものってどうしても違ってくるので、キャストの方々の力も借りて現場で確認しながら組み上げていく感じでした。
上村:第1話は、収録のときに画がほぼできていて、口パクに合わせる感じだったので、想像しやすかったんです。そのときは海や島の景色、自然の美しさがいいなと思っていたんですけど、表情もコロコロ変わっていく感じだったので、それに自分の声をどう乗せていこうかという部分で、じっくりとやらせていただきました。やはりオリジナルアニメなので、そこは時間を掛けて、キャラの雰囲気、どのくらいの心の開き加減なのか、それぞれの距離感などもしっかり探っていっていただきました。
――実際、第1話は怒涛の展開で面白かったです。
上村:完成したものを観させていただきましたけど、面白かったです(笑)。意外な展開が散りばめられていて、幸人も尽義にいきなり「飛んでみろ」って川に投げられるし、リュックに吸い込まれるし、いきなり船で島へ向かっていたりするし。そのテンポが良くて、尽義に思いっきり揺さぶられている幸人というのが、ずっと見ていたくなる感じでした。最終的には、そんな尽義に飛び蹴りをするという(笑)。この2人、これからどうなるの?という感じで終わるのが楽しかったです。改めて観てみても、第1話らしくて面白いですよね。
――その展開も脚本段階からあったんですもんね。
長山:そうですね(笑)。遠慮しないというところを絵でも見せないといけないので、幸人もずっと一歩引いて接していたのが、最後にすべてをぶち破っていくという。最後のキックは、尽義が壁を破っていった結果、幸人も一歩を踏み出せた意味合いのキックになったのかなって思います。
上村:あれは印象的というか。キックするんだ!って思いましたけど、キックくらいじゃないと対等にはならないなと思いました(笑)。それがつまり心の距離に繋がっていくのかなと思います。登場シーンも、学校の前で死ぬほど酒を飲んでるじゃないですか。あれもあり得ないですからね!
――見て見ぬふりをするか、警察に通報しますよね(笑)。
長山:そこのシーンも、何であんなに飲んでいたのか、最後まで観てから見返してみると、だいぶ印象が変わると思います。
――アバンも、島の過去から始まって、尽義が幸人を守ると言っていましたけど、何か深い関わりはありそうだなと思いました。
長山:島で過去いったい何があったのかというのを見せつつ、幸人が何も覚えていないところから第1話は始まるので、そのあたりものちのちどういうことだったのか、説明されていくと思います。
――シナリオが最後まで完成されていたということですが、細かいところで、伏線も散りばめられているのでしょうか。
長山:入れ込めるところは入れていますが、最終的にそれがうまく繋がればいいなという感じです。そこはまだ制作中なので、調整しているところではあります。
――『AYAKA -あやか-』には、ミタマとアラミタマというものが出てきます。このあたりの表現についてお聞かせください。
長山:ミタマは「命脈を流れるエネルギーの塊が地表に出たもの」というような設定になっていて、島にいる精霊のようなもののイメージです。GoRAさんからは、かわいらしいものにしてほしいという要望がありましたので、ゆるキャラっぽいものにしようとデザインをお願いしました。島の地下深くにエネルギーの元が流れている(命脈)という世界感なので、そこから深海をイメージし、メンダコをモチーフにしてデザインを組み上げていきました。ふわふわ漂ったりしているのが、かわいいんですよ。
上村:かわいいですよね。あのかわいいミタマが、アラミタマになるのにはびっくりしました。しかもそのシーンの迫力がすごかったです。ミタマが急にそういう状態になる恐ろしさとか深さを感じましたし、その中で当たり前のように生活している、ちょっと現実世界とは離れている感じもあって、不思議な世界観だなと思いました。
長山:ミタマは無垢な存在なので、周りに影響を受けやすいんですよね。人間のストレスとか汚れとかを吸着してアラミタマになってしまい、全然違う存在になってしまうんですけど。
――アラミタマのデザインに関しては、アニメの制作サイド主導で形にしていったんですよね?
長山:そうですね。こちらはGoRAさんからは和テイストというくらいの漠然としたイメージだったので、しめ縄とか、土器のような質感を取り入れたりとデザイナーの方でいろいろ案を出して頂き、相談しながらデザインしていきました。あとは骸骨っぽいデザインでモンスターみたいな怖い感じにもしています。
――第1話では、幸人が尽義にアラミタマの中に放り込まれていましたが、そのあと呪文を唱えていました。このあたりは今後、幸人も言うことになるのですか?
上村:幸人も言います。でもまだ一人前ではないので、一生懸命言う感じだったんです。そのあたりもキャラクターごとに差があって、尽義はささやくように唱えていたり、伊吹(CV.梅原裕一郎)や鞍馬(CV.鳥海浩輔)もそれぞれ信念がある感じで、同じ八凪一門でも全然違う言い方をしていたので、聞いていて面白かったです。
――幸人も徐々に言い慣れていく?
上村:ちょっとずつ自分なりのものにしていくので、その雰囲気が出せたらいいなと思いました。
長山:そのあたりはキャストさんの案に乗っかる感じではあったんですけど、やっていただいたものは、ものすごく良かったです。
――オリジナル作品だから、言い方とかイントネーションもわからないところがあったそうですが、寺島さんが先陣を切って、とりあえずやってみる感じだったそうですね。
上村:てらしマインドですね(笑)。とりあえずやってくださるんですよ。でも、収録のときは「間違っていたら止めるので」と音響監督も言ってくださっていたので、それならとりあえずやってみようという空気でした。
長山:こちらとしては、頼みます!という感じで、何なら演技に合わせて画を変えるので、という感じでした。
上村:そう言っていただけるのは、ありがたいです。
長山:やはりキャストさんが一番キャラクターが乗り移っているというか、理解していると思うんです。特にこの作品はオリジナルアニメなので、そのキャストさんの印象を拾ってあげたいというのは、制作する上でも気をつけていました。
上村:嬉しいです。今回分散収録ではありましたが、掛け合いがあるところではしっかりと一緒にやらせていただけました。画で見せる部分もあるけど、セリフも多くて、僕らの発する言葉でドラマを紡いでいくような展開も多かったりしたので、そこは楽しく演じさせていただきました。オリジナルだと、どうしても現場で積み上げて変わっていくところがあると思うんです。後半にかけては、画を調整すると言っていただき、委ねていただけていると感じられたので、思い切りやることができました。
長山:キャストの皆さんの演技が素晴らしかったので、ブースでは安心して聞いていました。要所要所で、ここはもう少し元気めで、とか微調整はさせていただきましたが、全く不安はなかったです。
――では最後に、今後の注目ポイントを教えてください。
長山:幸人だけでなく、伊吹、鞍馬、尽義もですが、どのキャラクターも何かしらの悩みや不安などを抱えていて、それとどう向き合って成長していくか注目です。それもあってキービジュアルも光と闇の間みたいな雰囲気の見た目になっていたんです。そうやってキャラクターの心情を軸に話が進んでいきますので、この人はいったい何を考えて動いているんだろうとか、そういうところまで楽しんでいただければと思います。
上村:最初は4人がメインとして出てきますけど、第1話の最後に出てきた一条いばら(CV.花澤香菜)も大事なキャラクターになってきますし、いろんなキャラクターが登場します。監督がおっしゃっていたように、みんな何かしらを抱えていて、それを乗り越えて変化し成長していくお話になると思います。なので、3人の兄弟弟子と幸人の縦の構図もあれば、幸人といばらや茶太郎(CV.梶原岳人)、夜胡(CV.榊原優希)との横の関係性もあるので、その繋がりが物語を重ねていくごとに深く見えていくと思います。いろんな人が綾ヵ島の問題に立ち向かっていくので、そこはかなり“あやかい”と思います。
[取材&文・塚越淳一]
アニメBlu-rayブックレットの執筆(「五等分の花嫁∬」「まちカドまぞく」「まちカドまぞく2丁目」「「ちはやふる」「リコリス・リコイル」etc.)、内田真礼、三森すずこなどのライブパンフレット、22/7写真集、久保田未夢UP_DATE執筆ほか、いろいろ
2023年7月1日(土)よりTOKYO MX、BS11他にて放送中!
TOKYO MX:毎週土曜 25:00~ 初回放送=7月1日(土)
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GoRA×キングレコードがタッグを組む、完全新作オリジナルアニメーション『AYAKA ‐あやか‐』。
作家集団GoRAが、七つの島が連なる綾ヵ島を舞台に、相棒×師弟×好敵手×兄弟という関係性と、それぞれに宿命を背負った男たちの切なくも美しい絆の物語を描く。
シリーズ構成・脚本をGoRA、キャラクター原案を数々の著名作品の原案を担当するイラストレーターredjuice、監督は長山延好、キャラクターデザインを金子美咲、プロダクションデザインを田中直哉、アニメーション制作をスタジオブランが務める。
GoRA脚本による緻密なストーリーと、気鋭のスタッフ陣が織りなす完全新作アニメに、誰もが魅了され、宿命を背負う男たちの姿に心を揺さぶられる――。
八凪幸人は、本土の児童養護施設で育った少年だったが、ある時亡き父の弟子であるという傍若無人な青年・沙川尽義がやってきて、幸人を故郷である綾ヵ島に連れ出してしまう。
七つの島が連なる綾ヵ島は、火と水の龍の伝説が色濃く伝えられ、「ミタマ」と呼ばれる不思議な存在が当たり前のように生息する奇妙な島だった。
幸人は、綾ヵ島の調和を守る仙人であったという父の三人の弟子たちと関わりながら綾ヵ島で暮らし始める。だが尽義の二人の兄弟子である鞍馬春秋と伊吹朱の間には深い確執があった。
調和の崩れ始めた「あやかい」島で、幸人が直面する真実とは——
原作:GoRA・KINGRECORDS
監督:長山延好
シリーズ構成:来楽 零(GoRA)
モノガタリプランナー:宮沢龍生(GoRA)
アクション監修:柴田裕介
キャラクター原案:redjuice
サブキャラクター原案:TCB
キャラクターデザイン:金子美咲
モンスターデザイン:渋谷亮介
プロップデザイン:佐藤玲子
プロダクションデザイン:田中直哉
コンセプトアート:芳野満雄
3Dセットデザイン:榎本嘉輝
美術監督:海野よしみ
背景美術:プロダクション・アイ
色彩設計:田中英里那
撮影監督:豊岡茂紀
撮影:旭プロダクション
CGディレクター:中島 豊
編集:岡 祐司
音楽:澁江夏奈
音楽制作:キングレコード
音響監督:田中 亮
音響効果:武藤晶子
録音調整:太田泰明(ピーズスタジオ)録音助手:西 美春
録音スタジオ:STUDIO T&T
音響制作担当:濱 亮平
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
アニメーションプロデューサー:江里口武志
設定制作:杉川竜太朗
アニメーション制作:スタジオブラン
製作:Project AYAKA
オープニングテーマ:angela 「AYAKASHI」
エンディングテーマ:saji 「フラッシュバック」
八凪幸人:上村祐翔
沙川尽義:寺島拓篤
鞍馬春秋:鳥海浩輔
伊吹朱:梅原裕一郎
福分茶太郎:梶原岳人
天乃夜胡:榊原優希
一条いばら:花澤香菜
八凪真人:津田健次郎
尼宮百々子:早見沙織
稲生三次:飛田展男
薪田太平:福山潤
ミタマ:椎名へきる