ついに今週末公開! 宮崎駿監督最新作『君たちはどう生きるか』を読み解く鍵? 引用元となった小説・漫画の内容、あらすじをネタバレ解説!
1937年に発行された吉野源三郎氏の小説『君たちはどう生きるか』。2017年には漫画化されブームを起こし、200万部を売り上げたヒット作品です。
出版から86年たった2023年現在、ジブリ・宮崎駿監督による同名映画『君たちはどう生きるか』がまもなく公開となります。映画はタイトルのみの引用となりますが、小説から着想を得ているという情報もあり、小説・漫画『君たちはどう生きるか』は作品を読み解くヒントになるはずです。
そしてなぜ、本作品はここまで長く人々に読まれる作品なのか。それは「人間がどのように生きていけば良いのか」という普遍的な問に真正面から向き合っているからなのです。
本稿では、宮崎映画最新作のタイトルにも引用された本作品の内容、あらすじをご紹介します。これを読めば更に映画が面白くなるはず!
※なお、本稿では2017年に発売された漫画版を中心に解説します。
目次
- 宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』はオリジナルストーリー
- 『君たちはどう生きるか』、どんな話なの?
- 『君たちはどう生きるか』物語とメッセージをざっくり振り返る
- 宮崎監督の新作映画は7月14日に公開! 本書を踏まえて楽しもう!
宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』はオリジナルストーリー
上記でもお伝えしましたが、宮崎駿監督による同名映画は、あくまでタイトルの引用であり、映画のジャンルは「冒険活劇ファンタジー」と言われています。映画オリジナルのストーリーが描かれるため、原作という扱いではありません。
しかし、劇中では本書籍が登場するとのことなので、綴られているメッセージやテーマ性は共通しているものと思われます。
また、宮崎駿監督はかつてNHKのドキュメンタリーにて「ファンタジーは今の時代に難しい」と言及。世が浮かれている時ほどヒットするので、ファンタジーで勝負するには何かが必要だ、と語っていました。
ファンタジーと銘打った映画には、その"何か"が描かれているかもしれません。
『君たちはどう生きるか』、どんな話なの?
『君たちはどう生きるか』は主人公のコペル(本名:本田潤一、15歳)と、母親の弟で元編集者の叔父さん、学校の仲間たちとの日常を中心に書いた作品です。
コペルは日常生活で生まれた疑問や葛藤、気付きを叔父さんに共有します。対して、大人である叔父さんは、コペルの疑問や葛藤を受けて、人が生きる上で大切なことや問題解決のヒントを返していきます。
叔父さんは伝えきれなかったことや、知っておくべき知識など「若者に伝えたいこと」をノートにメモし、最終的にそのノートがコペルに手渡され、コペルは大事なことに気づいていきます。
漫画版では、物語中盤にコペルに起こる、ある事件後から物語が始まります。悲しみに打ちひしがれるコペルに、叔父さんがそのノートを渡すシーンから描かれているのです。
なので、漫画版の構成は「コペルの日常で起きた出来事(漫画)」「その出来事が起きた際の叔父さんのメモ(文章)」が繰り返される形になっており、コペルの日常と叔父さんのヒントをセットで読むことができるので、じっくりと本書について考えながら読み進められます。