夏アニメ『自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う』ハッコン役・福山潤さんインタビュー|ハッコンに感じた時代の変化と踏み切れる強さーー現代の視聴者には“異世界リテラシー”が備わっている⁉
昼熊先生のライトノベル『自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う』。主人公が自販機として異世界に生まれ変わるという奇抜な設定と、魅力的なキャラクターが注目を集める人気作です。
2023年7月5日より、本作のTVアニメがついに放送開始となりました。本稿では自販機に転生した主人公・ハッコン役を演じる福山潤さんにインタビュー!
物語の見どころはもちろん、ハッコンを演じるうえでの役作りやアフレコ時のエピソードなどを通じて、作品が持つ独自の魅力を掘り下げます。
有無を言わさぬ説得力を感じた
ーー転生モノは数あれど、自販機に転生するという本作の設定は非常に斬新だと思います。作品を目にしたときの率直な印象を教えていただけますか?
ハッコン役・福山潤さん(以下、福山):いくところまでいったなと(笑)。タイトルを聞いたときに、わからないことは何もなかったんですよ。異世界転生に限らず、一つのジャンルが広がっていった先に特異点と言える作品が出てくるじゃないですか。本作の設定を普通に受け入れられるくらい、転生モノが世の中に普及したということです。ただ、まさか自分がやるとは思いませんでした(笑)。
ーー本作に参加するうえで、自販機について改めて勉強されたりしたのでしょうか?
福山:特にはないですが、これまで色々な種類の自販機を見てきた自覚はあります。電池が買える自販機もありましたし、パンとカップラーメンと飲み物とお菓子が全部買える自販機もあります。外国には車が買える自動販売機もあるらしいとか。思った以上に種類があるので、やろうと思えば何でもできてしまうのではないでしょうか。作中に出てはこないですけど、モツ鍋や生肉が買えるものもありますから、異世界の食料問題は完全に解決しそうです。
ーー作品に登場する異世界の人々も、自販機をすんなり受け入れています。
福山:この作品に関わって、定着したジャンルにおける有無を言わさない説得力って凄いなと思いました。作中に転生という現象や魔導具が出てきても「そういうものだよね」と受け入れる異世界リテラシーが、現代の視聴者には備わっているんです。
そうなると異世界からきたものをあっさり受け入れる異世界人という構図も、いつの間にかでき上がっていたんじゃないでしょうか。それが十分発揮できるからこそ、ハッコンみたいなキャラクターでも成立させられると思うんです。お約束の展開があることで、説明しなくていいものはしないという方向に踏み切れる強さを感じました。
バイクで突っ込んで自販機に転生する場面なんて、リテラシーがない環境で見たら「何を作ってるんだ⁉」ってなりますよ(笑)。そのおかげといいましょうか。ハッコン自体がぶっ飛んでいるので、異世界の設定まで細かく気にしていられないんです。この状態を原作の先生が想定していたのなら、とんでもない策士だと思います(笑)。