夏アニメ『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』第3話放送後 レント役・寺島拓篤さんインタビュー|『ライザのアトリエ』は“夏休みに帰る田舎”のような、尊さを感じさせる作品【連載第4回】
よく知っているはずなのに、初めてやる新鮮さもあった掛け合い
――一人で行ってきたゲームの収録とは違い、アニメの収録では、初回から三人組とクラウディアたちが一緒に収録できたそうですね。やはり、実際に掛け合いながらお芝居できると、感覚的にはかなり違うものですか?
寺島:それはもう、全然違いますね。ライザとタオの声を聞いたときは、「この空気感とかやり取り、知ってた知ってた」って安心感みたいなものがあったし、レントを通して、この3人は本当にずっと一緒にいたんだなってことを感じました。
――その他にも、アフレコの際、特に印象的だったことなどがあれば、教えてください。
寺島:僕の話ではないんですが……。この作品の人物描写って、みんなけっこう自然体なんです。でも、ライザは主人公ということもあってか、見せ場としてけっこう動きにもメリハリのあるシーンがあって。自然な流れの中で、そういったアッパーなシーンに合ったお芝居を組み込んでいくのは難しいと思うんですよ。なので「上手いことやってるなあ。これを自分でやれって言われたら、ちょっと難しいな」とか思いながら、ライザ役ののぐち(ゆり)さんのお芝居を見ていました。
――ゲームからアニメになったことでの変化や+αの魅力を感じたポイントがあれば教えてください。
寺島:ゲームだと、どうしても点と点を繋いでいくような形で物語が進んで行くんですが、アニメでは一つの流れる線になっている。それは、台本を読んだときから感じていましたし、映像を見ても感じました。あと、ゲームのときよりも、一人一人のセリフの分量がコンパクトになっているので、会話のテンポもさらに良くなっていると思います。そういった掛け合いを、お互いの空気感とかを感じながらできるので、毎回、楽しみながらやらせてもらっています。
――第3話までに登場したキャラクターの中で、特にお気に入りのキャラクターを教えてください。
寺島:アンペルさんですね。野島(裕史)さんがやられているアンペルさんの声は、もちろんゲームのときから聞いていましたが、実際に会話したときのミステリアスさと、心地よさがすごいなと思って。
――声だけでも、ただ者では無い感じが伝わってきます。
寺島:そういう感じがありますよね。あと、本当に個人的な理由なんですが、朝のニュースでよく野島さんのお声を聞いているというのもあって、「いつも声、聞いています!」みたいな感じになるんです(笑)。
――一般のファンのような感覚ですか(笑)。
寺島:以前から、ちょくちょくご一緒させていただいているし、そんなに遠い存在でもないはずなんですけどね(笑)。僕の中では、野島さんの声がそういう不思議な存在になっていて。それが、よく知っているんだけど、新鮮さもあるというアンペルさんに対する感覚とも合致するところがあるんです。まあ、それは、この作品自体にも言えることなんですけど。ゲームで何年もやってきて、みんな知っている間柄だけど、初めて一緒に(芝居を)やる。そういう新鮮さは、みんなに通じるところがあるかなと思います。
『ライザのアトリエ』は“夏休みに帰る田舎”のよう
――今、寺島さんにとって『ライザのアトリエ』という作品、そしてレントというキャラクターはどういった存在になっていますか?
寺島:う~ん、なんだろう……。なんか、夏休みに帰る田舎みたいな感じなんですよね。
たぶん、作品の世界観や雰囲気自体からも、そう感じているんだと思うんですが、ゲームを起動したり、アニメを観ると、その瞬間から「特別な時間が始まるんだ」という尊さみたいなものを感じています。ゲームの画面も、僕の感覚ですが、すごく光量が多くて、夏だなって感じるんですよね。
――カッと強く照っている夏の日差しを感じます。
寺島:あの雰囲気が僕は大好きなんです。アニメは、まだ(インタビュー時点では)完成した映像を観られていないんですが、そういう雰囲気を感じられる作品になっていたら良いなと思いますし、僕は実際にそう思って参加しています。そして、レントは、そんな世界をよりリアルに追体験させてくれるようなありがたい存在です。
――最後に、アニメ『ライザのアトリエ』の今後の見どころや、寺島さんが楽しみにしていることを教えてください。
寺島:ライザの調合シーンが、まるで魔法少女の変身バンクみたいだったので、あれがどういう風に仕上がっているのかが、本当に楽しみです。僕、アニメのバンクが大好きで。バンクって毎回使うから、スタッフさんも気合いが入っているじゃないですか。コンテの段階で、すでにそういう雰囲気が見えていたんですよね。それに、ゲームでもライザが調合するところって、プレイヤーのみんなにとって、ある種、特別なシーンじゃないですか。それがアニメなりの描き方をされていて、きっと、すごく素敵なシーンになっていると思うので、ワクワクしています。あとは、レントたちが、新しい人たちと出会ったり、新しい経験をしたりして、そこでどういうリアクションをしていくのか、それが楽しみですね。
――まだまだ戦闘に不慣れなレントが立派な冒険者に成長して、ゲームのように強いレントのお芝居が聞けることも楽しみにしています。
寺島:ゲームだと、バトルのところではバトル用ボイスが使われるので、シーンとして演じてはいないのですが、アニメだと、ちゃんとセリフから繋がっていって、そのままのテンションで、お芝居をしながら戦えるじゃないですか。それも嬉しいんですよね。戦っているときって、命の危険もある中、仲間を守らなきゃいけないという責任感があったり、自分も、もっとできるはずっていう思いもあったり、レントという人物の中でも、かなり大事な要素だと思うんです。それをこの先もストーリー上で演じられるのは、すごく楽しみです。
――今の時点でも、みんなを守るという責任感の強さやカッコ良さは感じられますが、戦闘力という意味での強さは、まだまだですね。
寺島:まだまだですよね(笑)。でも、それはレントだけが原因じゃないってところもいっぱいあるので。みんなで一緒に成長していくところも、これからの見どころかなと思います。
[取材・文/丸本大輔]
TVアニメ『ライザのアトリエ 〜常闇の女王と秘密の隠れ家〜』作品情報
あらすじ
そんな刺激が少ない村での暮らしに活力を持て余していたのは、平凡で特徴がないことが特徴の少女、ライザ。「あーあ。何か面白いことないかな。」窮屈で退屈な村、そこに身を置く“なんてことない農家の娘”である自分に不満を抱いていたライザは、ある日、幼馴染みのレントやタオとこっそり小舟に乗り込み、島の対岸へはじめての冒険に出かける。
そこで出会ったのは、“錬金術”という不思議な力を使う一人の男だった。その力に魅せられたライザは、錬金術を教えてほしいと頼み込む。“なんてことない農家の娘”から“錬金術士”へ。これまでの遊びとは違う、自分たちだけの“ひと夏の冒険”が始まる――。
25周年を迎えた「アトリエ」シリーズの人気作『ライザのアトリエ』が遂にアニメ化!
キャスト
(C)コーエーテクモゲームス/「ライザのアトリエ」製作委員会