この記事をかいた人
- タイラ
- 99年生まれ、沖縄県出身。コロナ禍で大学に通えない間「100日間毎日映画レビュー」を個人ブログで行いライターに。
1997年に公開された映画『もののけ姫』。宮崎駿監督が"ジブリを終わらせる気"で制作したと語る本作は興行200億円を突破(2020年のリバイバル上映を含む)した作品です。
本作以前の宮崎監督の作品群は冒険ファンタジーものが多く、見たことのないような不思議な世界と、少年・少女たちの冒険と成長が魅力的でしたが、『もののけ姫』は室町時代の日本を舞台に、神に呪われてしまった少年・アシタカが旅をするお話。
冒険活劇でありながら、宮崎監督としては初めての日本を題材にした時代劇でもあります。これまでと違うテーマや、新しい技術、予算・時間を注ぎ込んだ映画になっており、まさに監督の集大成となる映画です!
現在公開中の『君たちはどう生きるか』も集大成との呼び声が高いですが、『もののけ姫』もまた当時の宮崎監督のひとつの到達点なのは間違いないでしょう。
本稿では、そんな映画『もののけ姫』のあらすじ、見どころ、知っているとより楽しめるようなポイントをご紹介させていただきます!
ある日突然、村にやってきたタタリ神を射殺したことで、祟りをその身に受けてしまった少年・アシタカは、村のお婆さんの予言に従い自身の祟りを祓うべく西の国へと旅立ちます。たどり着いたのは太古の神が暮らす森「シシ神の森」。付近の集落であるタタラ場では、森の資源を使い、鉄を作って生活しているのでした。
また、アシタカが森で出会うのが、犬の神であるモロたちと生活する少女・サンです。アシタカは、相対するタタラ場とシシ神の森の住人たちの争いに巻き込まれながら、人間がどう生きていくべきなのかを自問していきます。
本作では、人間の環境保護と技術革新のジレンマが描かれています。地球で生きる私達にとって、どちらも大切で、この先このジレンマを解決することは難しい問題でしょう。実際に、『もののけ姫』もラストにカタルシスはあるものの具体的な解決策が描かれているわけではありません。アシタカがどのような選択をするのかにも注目です!
本作には、SNSやインターネットで引用されるような名台詞や、まさに血湧き肉躍るようなかっこいいアクションシーンから感動的なシーンまで名シーンがもりだくさん!
(アシタカ)曇り無きまなこで見定め、決める#kinro #もののけ姫 #アシタカ #くもりなきまなこ #エボシ #ゴンザ #ヤックル pic.twitter.com/tttX7nOMXP
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) October 26, 2018
こちらの「曇り無きまなこ」も有名ですよね。日常生活でも聞いたことがあるほど汎用性も高く、アシタカの人柄も伝わるシーンです。アシタカのセリフと言えばこちらも!
🌈スタジオジブリ最新作公開記念🌈#もののけ姫
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) July 19, 2023
金曜よる9時
【特別動画①】
サンたちとアシタカが出会うシーン
🗣️アシタカ🔴
「わが名はアシタカ。東の果てよりこの地へ来た。」 pic.twitter.com/r01zF6c09U
アシタカがサンに自己紹介をするシーンで、この自己紹介を引用したツイートがバズることもしばしば。
#君たちはどう生きるか
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) July 19, 2023
スタジオジブリ最新作公開記念#もののけ姫🌳金曜よる9時
名シーン名セリフ満載の宮﨑駿監督が描くスペクタクル超大作✨忘れられない印象的なセリフはありますか?#だまれ小僧#生きろ・・・そなたは美しい#食べてイイ? pic.twitter.com/gaXDGWJ9tJ
美輪明宏さん演じるモロの君も人気のキャラクターですよね。上記画像の「黙れ小僧!」というアシタカの意見を一蹴するシーンはもちろん、母親としてサンに接する場面や、森の神として責務を果たす勇敢な姿など見どころたっぷりです。
(エボシ)こわいのはもののけより人間のほうだからね#kinro #もののけ姫 #エボシ #ゴンザ #ヤックル pic.twitter.com/LsYVuXFbKJ
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) October 26, 2018
タタラ場の長であるエボシ御前も魅力的なキャラクターです。リーダーとして集落を統率し、弱い立場にある女性や病気を患った人々も共に生きていくコミュニティを作り上げた女性です。彼女自身も複雑な設定があり、神殺しを目論むヴィラン的な側面もありますが、信念を持った強い人間になっています。
「もののけ姫」制作にあたって宮崎駿監督🎬が書いたエボシの設定についてのメモには、こんな記述があります🤗
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) October 26, 2018
“海外に売られ、倭寇☠️の頭目の妻となり、頭角を現し、ついに頭目を殺し、その金品を持って自分の故郷に戻ってきた”
こんな過去を生き抜いてきたからこそ、
→続く pic.twitter.com/NzMQsjZHeo
『もののけ姫』には紹介しきれないほど魅力的なキャラクターやシーン・台詞が盛りだくさん! あなたはどのシーン・セリフが好きですか?
素晴らしいキャラクターが沢山登場する本作ですが、やはり最も注目すべきは主人公のアシタカではないでしょうか。自分の運命を素直に受け入れ、曇り無きまなこをもち、弱音も吐かずに旅を続けるアシタカ。本作のタイトルにも彼の名前が入る予定だったとか。
元々、宮崎監督が企画した『もののけ姫』ですが、その制作は困難を極めたそうです。ショート映像の『On Your Mark』の制作や監督が尊敬する作家・司馬遼太郎氏との対談などを経て、アシタカを中心とする物語になりました。そのため『アシタカせっ記』というタイトルにしようと宮崎監督は考えていましたが、プロモーションの関係で案はなくなり、『もののけ姫』冒頭と、EDで流れる楽曲にそのタイトルが付きました。
司馬遼太郎氏の「人間は度し難い(救いようがない)」という言葉をきっかけにアシタカは生まれたそうです。間違いばかりを起こし、どうすることもできない生き物である人間を受け入れたうえで、良心的な部分で構成されたのがアシタカというキャラクターになっています。
しかし! そんなアシタカですが、ひとつバッシングを受ける要素も存在します。それがカヤという少女の存在です。彼が村を出る際に置いてきた一族が選んだアシタカの許嫁であり、命よりも大切な小刀をアシタカに渡しています。
アシタカはそんな大切な代物をサンに託します。新しい好きな子がいたらすぐコロッといってしまうのか! と思ってしまうのも仕方ありませんが、筆者はアシタカが大好きなのでちょっと肩を持ちたくなってしまいます……。
明日よる9⃣時
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) July 19, 2023
生きろ。#もののけ姫 pic.twitter.com/29FzHmGkOk
せっかく村を助けたのに、「悪いものが付いたから西にいってみたら?」と遠回しの追放宣言をされたのに、文句のひとつも言わずに散髪だけして出て行くアシタカ。心は不安や怒りでいっぱいなはずなのに、表情にも出さない。あのシーンは、大切な村の娘であるカヤとの最後の時間です。もう二度と戻ってくることは叶わない、カヤにも会うことができないとわかっていながら、アシタカは自分の気持を押し殺しカヤの寂しさに寄り添っています。
その後の旅は、アシタカのセカンドライフなんです。あの村で族長として生きるはずだった未来を捨てて(自分の意思でなく)、踏み出した辛い旅路なのです……。
こう考えると、アシタカがサンと幸せになっても良いな……って許してくれませんかね……? ダメか……。
『もののけ姫』では、劇中で描かれていない設定や、表情や行動で読み取るしかない感情など細かい描写も満載です。何度鑑賞しても新たな発見がありますし、鑑賞時の年齢や気分、状況でも感想が変わることもきっとあるはず! 今回の放送でも何か新しい発見ができると良いですよね!
また、ドキュメンタリー『「もののけ姫」はこうして生まれた』を鑑賞するのもオススメです。制作現場の様子はもちろん、どこにも明かされていないキャラクターや物語に関する重要な設定が宮崎監督の口から語られることも。
ぜひ併せてお楽しみください!
99年生まれ、沖縄県出身。コロナ禍で大学に通えなかったので、「100日間毎日映画レビュー」を個人ブログで行い、ライターに舵をきりました。面白いコンテンツを発掘して、壁に向かってプレゼンするか記事にしています。アニメ、お笑い、音楽、格闘ゲーム、読書など余暇を楽しませてくれるエンタメや可愛い女の子の絵が好きです。なんでもやります!