血の通った人間としての須堂、その感情を嘘偽りなく演じたかった│アニメ『AIの遺電子』須堂 光役・大塚剛央さんインタビュー【連載第2回】
7月7日より放送がスタートしたTVアニメ『AIの遺電子』。本作はAIが高度に発達した22世紀後半を舞台に、ヒト、ヒューマノイド、ロボットが悩みや問題を抱えながらも共生していく姿を描いていきます。
アニメイトタイムズでは、本作の魅力と見どころを掘り下げるリレー連載がスタート。第2回は、ヒューマノイド専門医・須堂 光を演じる大塚剛央さんにお話をうかがいました。主にヒューマノイドを治療しながら、ヒトの心にも寄り添い、影ではモッガディートとして非合法の仕事も請け負う須堂。大塚さんはそんな彼をどのようにとらえ、どのように演じているのでしょうか。
須堂の中にはいろいろな物事に対して明確なラインがある
――大塚さんは須堂光という人物をどのようにとらえましたか?
大塚剛央さん(以下、大塚):オーディションの段階だと、原作の印象や医者という職業も含めてリアリストという印象が強かったので、クールな色を強めに出すようにしました。ただ、実際にアフレコが始まってからは自分が想像していた以上に人間的な部分が強く出ているなと感じて。最初の印象と少しギャップがあったので、そこを埋める作業が必要でした。
――どんなところに「人間的な部分」を感じましたか?
大塚:患者さんとの接し方ですね。決して距離が近いわけではないけれど、遠すぎるわけでもなく、目線をちゃんと患者さんに合わせている。その距離感の取り方が絶妙だなと思いましたし、すごくいい医者なんだろうなと思いました。しかも、場合によっては患者さんに強く感情移入することもあって。親身になってあげる描写、うまくいかなかったときに落ち込む描写を見ると、第一印象こそ冷たそうに見えるけど、実際は人間味のある人なんだなと思うようになりました。
――監督や音響監督から何かディレクションはありましたか?
大塚:中華料理屋の「ごちそうさん」が須堂の第一声で、最初はあまり感情を込めずに「ごちそうさん」と言ったんです。そしたら「普通にごちそうさんと言っていいです」と。なんならちゃんと大将に声を掛けるくらいのイメージでいいと言われ、そこでいろいろと納得するものがありました。ただのクールなキャラクターではない、ちゃんと血が通っている人間としてやったほうがいいんだ、と。第1話の冒頭でそれに気づけたのは大きかったです。
――確かに、意外と感情を出すところもありますよね。
大塚:そうなんです。第1話だと脳をバックアップした夫婦に怒りを見せるところも、もっと怒りを出していいと言われて。須堂の中にはいろいろな物事に対して明確なラインがあり、そのラインを超えたときに、彼の表情に出る怒りや悲しみ、喜びをしっかり見極めないといけないなと思いました。
――そのラインというのは、第1話の場合だと「人格のコピー」でしょうか。
大塚:そうですね。須堂の母親のこともあるので、それは彼にとって絶対に許せない行為なのかなと思います。