音楽
楠木ともり、ツアー開催記念インタビュー

こういうチャレンジもしていいんだなーー楠木ともりさんの1stアルバム「PRESENCE / ABSENCE」&ツアー記念インタビュー

5月24日に1stアルバム『PRESENCE / ABSENCE』をリリースした楠木ともり。そのアルバムを引っさげてのツアー「TOMORI KUSUNOKI LIVE TOUR 2023 『PRESENCE / ABSENCE』」が、7月29日の大阪公演からスタートする。その後は毎週末、名古屋、新潟、宮城、福岡、東京と回っていくのだが、各地でどんなライブを見せてくれるのかが楽しみだ。今回のインタビューでは、アルバムの新曲を中心に、MVやリリックビデオのこと、そしてライブのことを聞いた。

楽曲提供アーティストと対談したことで感じたことは?

ーー1stアルバム『PRESENCE/ABSENCE』の発売から2ヶ月経ち、ツアーも始まります。改めてアルバムの反応というのは、どんなものでしたか?

楠木ともりさん(以下、楠木):私が曲を書くから聴きたいと思ってくださる方が多いのかな?とも思っていたんですが、アルバムではプロのアーティストさんに曲を提供していただくということで、どんな反応がくるのか未知なところもあったんです。

喜んでくれるパターンもあるだろうし、「なんだ、本人書いてないんだ」ってなるパターンもなくはないのかなって。でも、リリース後の反応を見ていると、皆さん喜んでくださっていて良かったなと思いました。あともうひとつ、プロの方が書いたほうが良いじゃんってなるのも怖かったんですけど(笑)、私の曲も提供曲も一緒に喜んでくださっていたので、理想的な形で届いたのかなって思います。

ーー今後の幅も広がるのかなって思いました。

楠木:そうですね。こういうチャレンジもしていいんだなという意味で広がった感じがします。

ーー楠木さんの書いた新曲「presence」と「absence」は、聴けば聴くほど良い曲だなぁってしみじみ感じていますし、提供曲も楠木さんらしさがちゃんと出ているんですよね。

楠木:今回は私が影響を受けているというか、すごく好きな方々に書いていただいているから、「楠木ともりらしさがある」という感想は皆さんからいただいていたんです。でも、こうやって並べて聴くと、違う雰囲気もしっかりあって面白かったです。あとはアーティストの皆さんの解像度の高さがすごかったというか。少ししか話していないのに「楠木ともりってこんな人間だな」っていうのをちゃんと汲み取ってくださっていて、それはすごく良かったなと思いました。

ーーアーティスト側も楠木さんに寄り添って曲を書いているから、違和感みたいなものはまったく感じませんでした。

楠木:対談企画で曲を書いてくださった皆さんとお話することができたんですけど、皆さん常日頃から何かを考え続けているんだなっていうのをすごく感じて。今回お願いしたテーマに関しても、いつもすごく細かく深く考えているからこそ、出てくる言葉にすごく厚みがあるし、音楽についてもこだわりを感じました。あと、私に合わせてくださっている部分もあって、プロの仕事だなぁと思いました。

ーーどの曲も、このワードよく出てくるなっていうハッとするフレーズがありましたからね。

楠木:本当に皆さんリクエストさせていただいた通りというか、それ以上のものを上げてくださったし、これが自分がそのアーティストさんを好きになった理由だなって思いました。あと感じたのは、皆さん人気の方なので、曲を聴くと今のトレンドが見えてくるというか。それこそmeiyoさんは、今回あえて間奏を長くしていますけど、今は間奏が短い曲が多いと話されていましたし、提供曲は全体的に曲が短かったり、前奏がなかったりするんです。そうやってトレンドをちゃんと掴みながら、その中で自分らしさを出しているんだなと感じました。

ーー自分のやりたいことと世界が求めているものが交わるところを探すことが大事なんでしょうね。対談はいかがでした?

楠木:実はレコーディングを一緒にしていても、どういう気持ちで曲を書いていたとか、どういうことを書きたいと思ったっていう話は意外としないんですよ。どちらかというと、歌詞を受け取って、こちらが汲み取る感じなので。だから、そういう話をご本人から聞けたことが面白かったです。

あと実際話してみると、それはそうだよな~って思うんですけど、やっぱり皆さん、曲を提供する上で、私が歌うことに意味を持たせるような曲を書いてくださるんですよね。私は、自分では書けない曲がほしいし、そのアーティストさんの色が出ている曲であればいいなと思ったんですけど、アーティストさんからすると、提供する相手にがっちりハマる曲を作りたいから、普段の自分とは少し違うことをしてくれている。自分がお願いをするときはそこまで考えていなかったんですけど、そうやって私のことを意識して作ってくださったんだ!ということが知れて、すごく嬉しかったです。

ライブで一番演奏するのが難しい新曲は……

ーーツアータイトルも「TOMORI KUSUNOKI LIVE TOUR 2023 『PRESENCE / ABSENCE』」なので、新曲はやるのだろうと勝手に予想し、ライブでどんなふうになりそうか、そして取材ではあまり語られることも少なかったMVやリリックビデオをどう作っていったのかも改めて聞いていきたいと思うのですが。

楠木:わかりました!

ーーまずは『PRESENCE』のオープニングナンバー「presence」からですが、こちらのMVでは、高校の同級生である中山陽夏乃さんが出演されています。「ロマンロン」のモデルになった方で女優として活動されているんですよね。

楠木:そうですね。高校時代の友達と一緒に撮影できたMVで、私が歌っている場所も「遣らずの雨」でジャケット撮影をした場所なんですけど、この日はすごく晴れて、青空のもとで撮るという、今までやってこなかったシチュエーションで撮ることができました。

ーー天気が悪いことが多いですからね…。

楠木:はい(笑)。でも、だからといって王道っぽくはならなかったんです。市川 稜監督の出す色味が少し淡いというか。私がバンドっぽさを出したいとお願いしたのもあって、もっとブライトな感じであれば王道っぽくなりがちだと思うけど、フィルムっぽい暗めの色なんですよね。それが面白いと思いました。

ーーわかります。90年代後半から00年代のロックバンドのMVというか。たとえばくるりとか、そのあたりの雰囲気を感じます。

楠木:そうですそうです! あと、演奏シーンはカメラを見ずに歌って、ここぞというときに見てくださいというディレクションがあって、そこを効果的に使っていただいています。

ーーライブではどうなりそうですか?

楠木:今回はアルバムを引っさげてのライブですし、新曲は音源に近い感じになる予定ではあります。今までほどアレンジはしないけど、実際にバンドサウンドで、しかも生で聴くとニュアンスは変わってくるのかなって思います。

ーー実際に会場で聴く音の圧って全然違いますからね。

楠木:そうですね! あとは(ファンの)みんながどうくるかが楽しみです。今まで、曲ごとの反応はみんなに任せてきていて。たとえば「僕の見る世界、君の見る世界」はタオル曲ですけど、「自由に楽しんでね、タオルとか振ってもいいよ」みたいなところから、みんな回すようになった気がするんです。もう覚えてないんですけど(笑)。だからこの曲も、みんながどう反応するのかが楽しみです!

ーー「青天の霹靂」(TOOBOE提供楽曲)のリリックビデオですが、こちらはイラストではないんですよね。

楠木:これは水江未来さんにお願いしています。水江さんは私が以前から注目していたイラストレーター/アニメーション作家さんで、その世界観が好きだったんです。「青天の霹靂」が内面のどろどろしたものを感じる曲だったので、何か具体的な絵を出すよりも抽象的で、想像に委ねる部分があったほうがいいと思ったんです。それで毒々しさ、おどろおどろしい感じがほしいと思ったので、これは水江さんにお願いするしかない!って思いました。ほとんどお任せでお願いしたんですけど、届いたものを見て、これだ!って思いました。

ーー個人的にですが、ずっと見ていられるリリックビデオだなと思いました。

楠木:サービスエリアとかに置いてある、油の中を色のついた水が落ちていくようなおもちゃみたいな感じがしますよね。あと、この曲は(Video Productionの)Kazz Fukudaさんに、文字の周りに黒い枠を入れて読みやすくしてほしいとお願いしました。リリックビデオの動画制作は、頼りになる安心のKazzさんにいつもお願いしています。

ーーライブではどうなりそうですか?

楠木:この曲はイントロからぶち上がる曲なので、きっと盛り上がるだろうなって思います。3分ない曲なので、あっという間に終わっちゃうと思います!

ーー「BONE ASH」(Cö shu Nie提供楽曲)はいかがですか?

楠木:イラストはuyaさんにお願いしました。Cö shu Nieさんはいろんな曲がありますけど、今回は大人っぽい、クラシカルな曲の印象があったので、イラストもそのような雰囲気にしたいと思ってお願いしています。

ーー絵師さんは、どうやって決めているのですか?

楠木:それはいつも自分で見つけています。SNSなどを使って。今回の絵自体は、絵本のような感じで描いていただいたんですけど、Kazzさんのエフェクトがすごくて、映像になって雰囲気がガラッと変わりました。クラシカルだけど、リッチな方向にいったというか。この螺旋階段のような演出も、こちらからは何も言っていないんですけど入れて下さっていたんです。Cö shu Nieさんのこと好きなのかな?っていうくらい、Kazzさんにもともとイメージがあったかのような動画でした。

ーーライブはいかがでしょう。

楠木:曲自体は長くないんですけど、テンポがすごく変わるので聴き応えがあると思うし、それこそライブの演出がカッコよくなるんじゃないかな?って勝手に思っています。まだ私は全然知らないんですけど(笑)。あと、全楽器がユニゾンするキメのところは、メンバーさんみんな大変そうでした。運指が難しいらしいです。ちなみに新曲の中でも特に難しい曲は「青天の霹靂」だと、ギターの菊池(真義)さんが言っていました(笑)。

1stアルバムの新曲が加わり新たな変化もあるライブに期待!

ーー『ABSENCE』から、まずは「StrangeX」(meiyo提供楽曲)です。

楠木:これは絶対にポップな雰囲気にしたかったんです。絵のテーマもわかりやすい感じではあったし、完成したものも他に比べてポップに仕上がったと思います。「かわいい女の子の部屋×宇宙」みたいな感じでお願いしたんですけど、このクマさんのぬいぐるみはお願いしたものではなかったんです。空っぽの女の子というのは伝えていたので、そこでぬいぐるみだと思うんですけど、ここにも宇宙人要素がありますよね(笑)。イラストは赤羽ブギウギさんにお願いしているのですが、よく見るとマヨネーズが飛んでいたり、ホットドックがあったり、すごくいいんですよね! このクマのぬいぐるみは欲しいです(笑)。

ーー文字の出方やフォントも含めて、すごくかわいいリリックビデオに仕上がりましたよね。ライブはどうでしょうか。

楠木:ライブはどうしようかなっていう感じなんですよね。みんなどうノッてくれるんだろう。あと私はこの長い間奏で何をすればいいのかという問題がありますね。シャボン玉でもやろうかな…(笑)。

ーー「それを僕は強さと呼びたい」(ハルカトミユキ提供楽曲)はどうですか?

楠木:これはもうアニメーションができるイラストレーターさんを探しました。どうしてもアニメーションにしたかったんです。すごくドラマチックな映像が浮かぶ曲だし、アルバム曲でなければMVを撮りたいと思うくらい映像がイメージできる曲だったので、静止画ではもったいない気がして。それでイラストをKUさんにお願いをしました。最初はもっと部屋がきれいに片付いていたんですけど、精神的にまいっているのがイメージできるから散らかしてほしいとお願いしました。シンプルな部屋だったけど、もうちょっと物を増やしてダメそうな感じのほうがいいなって。女の子が立ち上がって、最後に窓越しに外を見ているところは、すごくいいですよね! プレミア公開したときも、みんな「動いた!」って驚いていました(笑)。

ーー早くライブで聴きたい曲です。

楠木:この曲は、セットリスト的にも結構いいところに入っているので、楽しみにしていてください。

ーー最後は「absence」ですね。こちらも「presence」に続いて、中山陽夏乃さんが出演されています。

楠木:撮影は、1曲フルで距離とか撮り方を変えて撮っていく感じでした。そういう意味では「バニラ」のときと撮り方は同じでした。でも「バニラ」に比べると動きはほぼなくて、市川監督から、椅子に座って歌っていても、手とかは動かさないでほしい。淡々と歌っている中で表情変化があるくらいでいいですと聞いていたので、ほぼそのまま歌っていた感じです。なんだかんだ、何度も撮影していて結構長く撮っていただいた気がします。

ーー最後のカットで微笑むんですよね。

楠木:あの笑顔のカットは何度も撮り直しました(笑)。あれは恥ずかしかったなぁ。横で女優さんが見ていましたからね。私なんかじゃ無理だよ~って思ってました。あと私たぶん笑うときに微笑まないんですよ。歯を出さない笑い方ができないからぎこちなくなるという。

ーー女優さんは涙を流していたのに。

楠木:あれはびっくりしました! 私が言ったわけではなかったのですが、本人の意思で涙を流してくれて嬉しかったです。でも私は微笑みができなかったという(笑)。

ーーでも、いい表情になっていましたよ。これはライブでどうでしょう。

楠木:これは入れどころが難しい曲ですよね。「バニラ」に近いポジションです。ただ新曲の中では唯一ライブでやったことがある曲なんです。ピアノとボーカルだけというのは、他の曲とも違うので、聴き入ってもらえたらなと思います。

ーー全体的に、今回のライブはどんなものになりそうですか?

楠木:セットリスト的には、これはお決まりだよね!というところは抑えつつ、曲によっては、ここにくるんだ!っていうのが多少あったりすると思います。単純に新曲が6曲増えて、曲同士のポジショニングも変えなければいけない部分が出てくるので、そこは少し変化しています。あと、声出しが今回のツアーではOKになるので、皆さんがどんな感じできてくれるのか、すごく楽しみです。

ーーデビュー前にしていたライブでは声出しをしていましたからね。

楠木:そうなんですよ。メジャーデビューした途端に声出しができなくなってしまったので。今回はみんなで声を出せるあの曲も用意していますし、みんながどんな反応でくるのかで曲も変わっていきそうだなって思っています。

ーー東京公演は早々にソールドアウトになりましたが。

楠木:本当に嬉しいです。どんどん大きなところに連れて行っていただけてありがたいです。今回のツアーではご飯が美味しいところばかりを回るので、それも楽しみです!

[文・写真/塚越淳一]

楠木ともり1stアルバム「PRESENCE / ABSENCE」商品情報

発売日:2023年5月24日(水)

「PRESENCE」通常盤

価格:3,300円(税込)
品番:VVCL-2260
・CD(11曲収録予定)

「ABSENCE」通常盤

価格:3,300円(税込)
品番:VVCL-2261
・CD(11曲収録予定)

「PRESENCE / ABSENCE」初回生産限定盤

価格:8,800円(税込)
品番:VVCL-2257~9

・2CD(22曲収録予定)
・48pフォトブック同梱
・三方背スリーブ仕様

「PRESENCE / ABSENCE」完全生産限定盤

価格:13,200円(税込)
品番:VVCL-2253~5

・2CD(22曲収録予定)+BD(MV・リリックビデオ・ライブ映像収録予定)
・グッズ同梱
・スペシャルBOX仕様

収録内容

■「PRESENCE」
01.presence
02.アカトキ
03.もうひとくち
04.青天の霹靂(TOOBOE提供楽曲)
05.ロマンロン
06.sketchbook
07.BONE ASH(Co shu Nie提供楽曲)
08.ハミダシモノ
09.バニラ
10.タルヒ
11.alive

■「ABSENCE」
01.僕の見る世界、君の見る世界
02.眺めの空
03.山荷葉
04.Forced Shutdown
05.StrangeX(meiyo提供楽曲)
06.遣らずの雨
07.熾火
08.よりみち
09.narrow
10.それを僕は強さと呼びたい(ハルカトミユキ提供楽曲)
11.absence

●完全生産限定盤 Blu-ray 収録・ライブ映像
●Music Video
01. ハミダシモノ
02. Forced Shutdown
03. バニラ
04. narrow
05. 遣らずの雨
06. presence
07. absence

●Lyric Video
01. 眺めの空
02. ロマンロン
03. 僕の見る世界、君の見る世界
04. sketchbook
05. アカトキ
06. よりみち
07. 熾火
08. タルヒ
09. 山荷葉
10. もうひとくち
11. alive
12. 青天の霹靂
13. BONE ASH
14. StrangeX
15. それを僕は強さと呼びたい

●Kusunoki Tomori coming-of-age『WRAPPED///LIVE廿』

2019.12.29 EX THEATER ROPPONGI

01. スケッチブック
02. 眺めの空
03. クローバー
04. ロマンロン
05. アカトキ
06. バニラ
07. 僕の見る世界、君の見る世界

全国ライブツアー概要

●公演日程
【大阪公演】Zepp Namba(OSAKA) 2023年7月29日(土) open 17:00 / start 18:00
【名古屋公演】Zepp Nagoya 2023年8月6日(日) open 17:00 / start 18:00
【新潟公演】新潟 LOTS 2023年8月13日(日) open 17:00 / start 17:30
【宮城公演】仙台 PIT 2023年8月20日(日) open 17:00 / start 18:00
【福岡公演】Zepp Fukuoka 2023年8月26日(土) open 17:00 / start 18:00
【東京公演】TOKYO DOME CITY HALL 2023年9月2日(土) open 17:00 / start 18:00

チケット情報など詳細はこちら

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