2023年8月の総括(イマジナリー舞台)|青山吉能『みずいろPlace』#76
皆さんこんにちは、元気ですか?
わたしは元気です。
青山吉能です。
深夜の物書きも、最近はきのみドカ食い気絶部育てに気をとられ、ままなっていません。早く寝るメリットをようやく見出せてしまって、わたしに見上げられないお月様も退屈そうです。
自分の寝言も収録してくれる、という点にとても興味を持って、1週間近く計測をしてみました。寝ている状態が一番無防備ですし、自分の全く知らない自分が何時間も転がっているわけです。
その隙間を覗けるのならと思っていたのですが、案外寝返りの際の軋みや布の擦れ、突然の咳ばかりで興醒め&心配です。もっとこう・・・不思議な呪文とかイマジナリーキャットの声がするとかあってほしかったな。
ところで皆さんは飼ってもいないペットの夢ってみたことありますか?
イマジナリーキャットで思い出したのですが、わたしはしばしば(トラトラ三毛三毛)みることがあります。それも揃いも揃って育児放棄的な内容です。
何度かこのコラムにも登場していますが、わたしはカブトムシとフグとカナヘビと数週間ほど生きただけで、まともに生き物を飼育したことがありません。
しかし突然、わたしは猫(などの動物)を飼っていたじゃないか!ということを思い出し、でも当然一度もご飯をあげたことがない!と大焦りしかし冷静に家中を探し回り、見つけ出した先に、親指サイズになってしまったしなしなの任意動物ちゃんが・・・な夢を何度も何度も何度も見てきました。8割方スーツケースの中で発見されます。
ペットの夢で夢占い検索をかけても、「架空のペット」はなかなかどのサイトにも該当記事がなく、ただざっくりペットの夢というのは愛情不足を意味していると書いてあります。
はあ?
舞台「LIVE STAGE『ぼっち・ざ・ろっく!』
まあ人が見た夢の話って本当にクソほどどうでもいいですよね。大体オチもないし人生で最も要らないもの。
なので、今から舞台「LIVE STAGE『ぼっち・ざ・ろっく!』」の話をします。ネタバレを含みません。
わたし、自分が出ている作品が自分以外のキャストで舞台化されるの初めてでした。
作品作りという点では声という部門で自分も関わっていて、原作&アニメを網羅し、全ての展開も次のセリフもなんとなくソラで言えるという観劇体験も初めてでした。
それゆえに自分たちの中での「結束バンド像」がどれほど強固なものだったか、わたしは少々後藤とその関係性解釈の強火オタクなので、愛の深い皆さんならばきっと想像ができるでしょう。
舞台という、見る・見える・見せるが多岐にわたる芸術において、それがどのように生かされるのか本当に楽しみでしたし、そんな4文字の鎧では収めきれない感情がありました。
観劇後のいま、その怖いほどの気持ちを持ってして、あの舞台がめちゃくちゃ結束バンドによるものだったと胸を張って思えます。
わたしはわたしでしかない、というのは今まで少しマイナスに捉えていました。何者にだってなりたくてこの職業を選んでいるのだから。
でも、すごくいまこの言葉をフラットに捉えられたというか、例えば後藤ひとりという人間を、ひとが変わればこんなにも自由に解釈できて、自然と似る部分もあればひとつひとつの挙動に新しい発見があって、それがすごく楽しくて。
守乃まもさんの演じるぼっちちゃんは完全なるぼっちちゃんでした。圧倒的な説得力。声が似てるとか、身長が一緒、とか、こういった原作ありの舞台だととても重要視されると思うのですが、まもちゃんは最早“本質”そのものが後藤ひとり。まもちゃんが例え200m越えの大型巨人で常にホイッスルボイスで喋り続けたとしても、きっとこれも後藤ひとりであるのだとその存在のみで全ての人間をねじ伏せられたでしょう。
ちょっと壮大に話し過ぎました。
素人みたいな感想ですが、あまりにも皆さんが皆さんすぎてずっとワクワク観ていました。これって本当にすごいことです。
少しだけ内容に触れると、この舞台にはぼっち〜ずと呼ばれるイマジナリーフレンドたちが出てきます。(結構たくさん)
ぼっちちゃんの頭の中にいるイマジナリーフレンドたちのことを、人によっては笑いどころやファンタジーに近いものに捉えるかもしれませんが、それらと対話し物事を決定していくことは後藤ひとりにとって至極当然、当たり前のことなのです。わたしもそうなので。
だから、そんな普遍的な存在たちがオモシロ作用のためだけの機能的役割になったらどうしよう、とも思っていましたが、演出家山崎さんの作られる現実⇄脳内の演出バランスが本当に絶妙で、これが舞台になるということなんだと思わされました。
笑いポイントの途中に日常会話があるのではなく、日常会話の途中に笑いポイントがあるおかげで、4コマ漫画特有のテンポ感とアニメ特有のキャラクターの動かし方のハイブリッドが生まれたのだなあと感じました。
原作・アニメに寄せられているか否かなんて次元すら、とっくのとうに超えています。彼女たちが結束バンドであり、私たちが声で演じてきたあの12話分の人生だって結束バンドだった。
思えば、TVアニメが始まってから、後藤ひとりの声が原作と違うという声も当初はよく見受けられました。そのはずです。原作の声なんていうものは読み手の数だけあるので、それらすべてを網羅することは不可能です。
でもいま、小さくない声で「後藤ひとり役の、」と名乗らせていただけているのは、多くの皆さまがわたしでしかないものから生まれるものを受け止めてくださったからです。
わたしでしかないが、わたしであるもの。
そんなことを思い出しながら、観劇いたしました。
舞台「LIVE STAGE『ぼっち・ざ・ろっく!』」、8月20日までです。
今回は全く触れられなかったのですがライブシーン、必見すぎます。配信もあるのですが、舞台は全体が芸術なのでもう絶対現地で観ることをお勧めします。裏の芝居まで本当に細かく愛が込められていますので。
お見逃しなく。
終演後、出演者の方々とお話できるタイムがあったのですが、上記の1/100000しか伝えられませんでした。あ〜あ
言葉選びに、ことば探し、一生かけてもどんなに博識な日本語を用いても言い表せない、わたしからぽとぽとと落ちるものに、こんなに愛おしい落とし物なのに、なにも名前もつけてあげられない。
SNSひとつとっても140字いっぱいにたくさんの感情がひしめきあっているの、これ、羨ましい。もうここまでとめどなく溢れるもの、その衝動、最近ないのです。
これこそ育児放棄ですね。まずは名前をつけるところから。
それではこの辺りで終わります。
さようなら。
青山吉能
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企画協力:81プロデュース
編集担当:川野優希