キッズ動画を見て子供のかわいさを研究? 花澤さん自身がオーディションでプレゼンした“子ザメちゃん語”が生まれるまで アニメ『おでかけ子ザメ』子ザメちゃん役・花澤香菜さんインタビュー【前編】
アフレコよりも先に主題歌のレコーディングに。子ザメちゃんが歌う歌詞は花澤さん作!
――オーディションに受かった時はどのような気持ちでしたか?
花澤:とりあえず、悔いがないように考えて臨みましたが、やり終わった後は手応えを感じることもなく、事前にいろいろ考えて行った分、アドリブもあまりできなかったので、オーダーされたことにちゃんと応えられたのかもよくわからないままで。だから受かったという連絡をいただいた時にはとてもビックリしましたし、嬉しかったです。
ただオーディションのものをやればいいのか、もっと違う理想的なものがあって、そこに近づけたほうがいいのか、まったくわからない状態で。そんな時、「まず(主題歌の)レコーディングをやります」と言われたので、「どうしよう!?」って。
――まさか本編の収録よりも早くレコーディングが行われたとは!? 主題歌「よりみち」は作詞が子ザメちゃんとクレジットされていましたね。
花澤:そうなんです。EDで流れる時には日本語訳の字幕が入っているように、まず日本語の歌詞はいただいていました。それを子ザメちゃんがちゃんと歌えないなりに日本語を歌おうとしているのか、それとも子ザメちゃん語として流暢に歌っているのか、どちらなのかを尋ねたら、「子ザメちゃん語のほうでお願いします」と。
そこから私なりに子ザメちゃん語訳を考えて、読みをひらがなで書いて、「この単語はこの読みで」という対応表も作りました。あと擬音もいっぱい入れたいなと思ったので、そういうものも散りばめつつ、視聴者の方がマネして歌えるような、歌えないようなラインで(笑)。また監督から「逆再生みたいな感じにしてほしい」というオーダーも入りました。私としてはこのプレゼンが通らなかったら、ハズされるくらいの気持ちで作ったら、通ったのでホッとしました(笑)。
――あの曲に花澤さんがそこまで懸けていたとは(笑)。でも、レコーディングでOKをいただいてからの収録は気分的にも楽だったのでは?
花澤:すごく安心して本編の収録ができました。歌詞の中で使った単語はアニメで登場した時にも使えるので、ちゃんとリスト化してアフレコに備えようと。
子ザメちゃん語をリスト化し、アフレコのたびに更新。子ザメちゃん語制作で活きた過去の経歴!?
――花澤さんが子ザメちゃん語をご自身で考えているそうですが、リスト化しているということは子ザメちゃん語辞典みたいなものも?
花澤:もちろん作っています。まだそれほどたくさんあるわけではないですけど、自分でもわかるように……(話しながら台本を開いて見せてくれると、裏表紙前の余白のページには花澤さん自筆の子ザメちゃん語と意味がギッシリ)。
――これはすごいですね!! 子ザメちゃん語の語感や響きのかわいさだけで、その意味まではあまり考えずにアニメを見ていますが、視聴者の方の中には一語一語記録したり、解読している人もいるかもしれませんね。
花澤:だから同じ意味の子ザメちゃん語が出てきた時に違わないように気を付けています。むしろ皆さんに何度も見て、聴いていただいて、「この言葉はあの時に出てきた言葉と同じだ!」と解明してほしいです。
――そこまでやり切るのは大変ではないでしょうか。
花澤:でも好きでやっていることですし、家で考えている時も楽しいんです。「子ザメちゃんにこの雰囲気のひらがなを言わせたいな」とか、「台本にはこう書いてあるけど、こういうことを伝えたいからこの言葉にしよう」とか。
――ある意味、自分でセリフを作れるのはやりがいがあるかもしれませんね。
花澤:アドリブみたいなものですよね。今回は赤ちゃんが発する言葉を理解するための本を手がかりに作っています。丸い感じというか赤ちゃんっぽくなっていればいいなと。