夏アニメ『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』第9話放送後 アンペル役・野島裕史さんインタビュー|30代の頃には、今のアンペルは出せなかった――キャラクターとの出会いはタイミングも大事【連載第10回】
2023年7月より放送中のTVアニメ『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』(以降、『ライザのアトリエ』)。大人気ゲームのアニメ化ということで放送前から注目を集めていましたが、クライマックスに向けてさらなる注目を集めています。
アニメイトタイムズでは、そんな本作のリレーインタビューを実施中です。第10回となる今回は、前回に続いて、主人公ライザの師匠である錬金術士のアンペル・フォルマーを演じる野島裕史さんが登場。長年の相棒である女戦士リラとの関係性や、アフレコスタジオでのまさかの出来事などについて語っていただきました。
リラとはいわゆる腐れ縁。一緒にいるのが自然
――先日放送された第9話を振り返っての感想を教えてください。
アンペル役・野島裕史さん(以下、野島):前回の最後にお話しした通り、物語の緊張感が増してきて、ラストには、アンペルとリラの大人チームは、ライザたち子供チームと別行動をとることになりました。僕らは、大人チームと子供チームと呼んでるのですが、アンペルは、ライザたちの成長をそれなりに認めていて。
子供ではあるけれど、こいつらなら大丈夫だろうと思ってるからこそ、別行動をできたと思うんですよね。最初に出会った時は、リラと二人で「こんな弱い敵に何をしてるんだ」と呆れるくらいだったのに。僕は『ライザのアトリエ』って全編通して成長物語だと思っているのですが、この回では、ライザたち3人は本当に成長したんだなって思えました。
――大人チームのアンペルとリラは、長年、二人で旅をしてきたのですが、アンペルにとってリラはどういう存在だと捉えていますか?
野島:お互いにいい歳なので、リラとはいわゆる腐れ縁なんでしょうね。一緒にいるのが自然なことだけど、家族ではなく、仲間って言うのは小っ恥ずかしいみたいな。大人ならではの距離感の関係性なのかなと思います。二人ともクールな感じで似ているところもありますが、考え方はちょっと違うんですよね。
でも、そこをお互いにリスペクトしていて、「君の考え方はそうか。それも一理ありだな」みたいな。そういった会話をよくしている印象があります。もちろん信頼関係もあるので、「君がそう思うなら、やってみろ」と言うこともありますし。僕もそうですが、このくらいの年齢になると異性同性関係なく、黙って酒を飲んでても平気な友達とかいますよね。そういうのって、みんな腐れ縁だと思うのですが、それに近い印象です。
――先ほど(前回)も、アニメで実際にセリフを掛け合えることでの変化について伺いましたが、改めて、リラ役の照井春佳さんと掛け合うことができた感想などを教えてください。
野島:大人チームの二人って、クールで客観的にライザ、レント、タオを見ているというところは同じだから、役作りが近いところもあるんですけど、3人を見るときの目線、セリフを掛ける方向性みたいなところには、けっこう違いが出てくるんですよね。ゲームの時も照井さんのお芝居は聞いてはいましたが、それはできあがっている完成品として聞いただけ。一緒に会話ができれば、相手のお芝居のより細かな機微やセリフをどこに掛けているのかといったことも分かるから、自分もそれを受けて演じられるんです。
そういった点で、最初の方にも言いましたが、キャラクターの関係性という演技の表現は、ゲームよりもアニメの方がより深まりましたし、今後、もしゲームの収録がまたあれば、アニメの関係性をゲームにもバックできる。そうやって、より一層クオリティの高いものにしていけたら良いなと思います。
――他のキャストさんのお芝居に関するほんの少しのニュアンスの情報が分かるだけで、ご自身のお芝居も変わってくるのですね。
野島:はい。もちろんキャラクターからは離れない、細かい表現の部分での変化ですが、全然変わります。それは、たぶんお互い様で、相手の方も「そっちがこう来るなら、こうしよう」みたいに変わるし、その芝居を聞いて、また僕もちょっと変わる。そうやって掛け算になっていくんですよね。キャラクターの範囲内で、感情の細かい揺れをお互いに作り出し、高まっていくのは、一緒に収録できることの大きな利点。そういったリアルタイム感、ライブ感がアニメには詰まっていると強く感じます。