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- 胃の上心臓
- 拗らせ系アニメ・ゲームオタクのライター。ロボットアニメ作品やTYPE-MOONの作品を主に追いかけている。
――正宗と五実を演じる榎木さんと久野さんのお芝居の印象はいかがでしたか?
上田:ふたりともパワーのある役者さんなので、感情を爆発させる時のお芝居にはひとりの視聴者として胸が震えました。そんなふたりと睦実として掛け合うって、本当に苦しかったんですよ。
睦実を演じる私自身が、正宗と五実との温度差に耐えられなくなってしまったぐらいで。一歩間違えれば同じ熱量で「私も好きだよ」って気持ちをを返してしまいたくなる。けれど睦実は好きじゃないという風に振る舞わないといけないので、本当に辛かったです。
でもそれはふたりのお芝居に本当にパワーがあるからで、だからこそここまで苦しくなれたし、作品としてもいい意味で三角関係が生まれたんじゃないかって思っています。
――あんなに切実にこられたら絆されるのも無理はないですよね……。
上田:本当ですよね。あんなに感情を爆発させてずるいなって思っていました(笑)。
――この流れで収録時に印象に残ったエピソードもお願いします。
上田:多分みんな言うと思うのですが、向かい合って収録したのは衝撃的だったと思います。安見役の藤井ゆきよさんが面白すぎるからとみんなの集合写真を撮影してくれたくらいで、その場にいた全員がこんなの初めてって思っていたんじゃないかなと。
私からは台本と画面越しに、榎木さんの姿が真正面から見えるんです。まるで正宗と睦実かのように私は榎木さんと向き合っている状態で、そのふたりを見つめるようなちょうど三角形ができる位置に五実役の美咲ちゃんがいる形で収録しました。それが本作の一番の山場といえるシーンだったのですが、今から思うとかなり効果があったと思います。向かい合うことで相手の存在を感じるといえばいいのでしょうか。
相手の存在を感じるからこそのお芝居を、榎木さんがしてくださったんです。だからそんな正宗につられて、睦実も気持ちを抑えなければと思っていたのにどんどん絆されてしまう。その感じがより強く出たなと思っています。
そして、そんなふたりのやり取りを見ていた美咲ちゃん演じる五実の叫びが、もう聴いている方も苦しくなるくらいで。本当にとてもいいテイクが録れたし、だからこそ一番印象に残っています。
――収録時にスタッフ陣からのディレクションで印象に残っているものはありますか?
上田:終盤のあるシーンで(※岡田)麿里さんが、テストを聴いて「すごい泣いちゃった」とおっしゃったんです。けれどその上で「もう一回収録していい?」と言われまして。テストでは優しく諭すかのようなお芝居にしていたのですが、麿里さんから諸々ディレクションをいただいてからは、五実に対する睦実の覚悟とか、そういったものがお芝居に現れるよう何度もリテイクを重ねました。演じているといっぱいいっぱいになってどうしようかと悩むこともありましたが、それだけ睦実が五実に対して抱いている感情と、その上での立ち振る舞いのバランスが難しかったんです。求めているものに対して妥協せず、時間をかけて「もう一回やってみよう」と言ってくださったことが本当に嬉しかったです。
――最後に本作へ期待しているファンのみなさんへのメッセージをお願いします。
上田:決して爽やかではないひりついた青春の中で、胸が苦しくなったり、共感したり、応援したくなったり、色々な気持ちが生まれると思います。
私はこの作品を通じて、恋って良いなと思いました。睦実は恋と愛、どちらにも触れているキャラクターだと思うのですが、私自身は年齢を重ねるごとに愛のほうが馴染みがあると思うようになってきていて。そんなタイミングのこの作品で14歳の恋に触れてしまったので、その爆発力や強烈なパワーに惹かれて、良いなって思わされました。
好きだからこそ痛いっていう感情を強烈に浴びることができる作品だと思うので、ぜひスクリーンという没入感たっぷりの状態でこの痛みに触れていただきたいです。
また、何度も見返すことで細かい発見が増えていく作品だとも思います。考察も捗る作品ですので、その辺りも含めて楽しんでもらえたら嬉しいです。
拗らせ系アニメ・ゲームオタクのライター。ガンダムシリーズをはじめとするロボットアニメやTYPE-MOONを主に追いかけている。そして、10代からゲームセンター通いを続ける「機動戦士ガンダム vs.シリーズ」おじ勢。 ライトノベル原作や美少女ゲーム、格闘ゲームなども大好物。最近だと『ダイの大冒険』、『うたわれるもの』、劇場版『G-レコ』、劇場版『ピンドラ』がイチオシです。