アニメ『AYAKA ‐あやか‐』連載 第6回:上村祐翔(八凪幸人役)×寺島拓篤(沙川尽義役)|最終回直前!これまでの物語を声優陣が振り返る!
2023年7月より放送開始したTVアニメ『AYAKA ‐あやか‐』の物語は、いよいよクライマックスに突入! 連載最終回となる今回は、最終話直前に八凪幸人役の上村祐翔さんと、沙川尽義役の寺島拓篤さんに、これまでの物語を振り返り、たっぷりと語ってもらいました。
第11話までのネタバレを含むインタビューになりますので、必ず第11話までを見た上で御覧ください。
サブタイトルが尽義のセリフである意味とは?
――アニメの放送も終盤に差し掛かってきました。第6話までで印象的なシーンとして思い浮かぶのはどこになりますか?
上村祐翔さん(以下、上村):幸人が綾ヵ島に戻ってきた最初の頃は、まだ塞ぎがちなところがあったんです。でも尽義が引っ掻き回してくれたり、島の人たちに支えられて、海列車に乗るシーンあたりでは少年らしさが戻ってきて、少しずつ感情豊かになってきたんですね。そこでやっぱり大きかったのが、3人の弟子たちで。横のつながりとして、福分茶太郎(CV.梶原岳人)と天乃夜胡(CV.榊原優希)や一条いばら(CV.花澤香菜)の弟子ーズたち……。
寺島拓篤さん(以下、寺島):え? 弟子ーズって呼んでるの?
上村:そうなんです。以前、梶原さんと榊原さんと第4話の上映会をしたときに、弟子ーズと言っていて(笑)。
寺島:初めて知った(笑)。でも幸人は、弟子ーズと関わることで、変わったよね。
上村:変わりましたね。友達ができたことが大きくて、友達がどんなものか最初は分からなかったけど、親しみやすい空気感が彼自身を変えていったなと思いました。
しかも弟子ーズの中だと、幸人って意外としっかり者で、いばらと一緒に前向きに進んでいくんですよね。そこに茶太郎や夜胡が乗っかっていく感じというか。あの幸人がこんなに前のめりに行けるようになるなんて!って後半は思っていたし、成長したなぁって嬉しくなりました。
――個人的には第4話のお風呂シーンが良かったです。
寺島:おずおずとお風呂に入っていましたね(笑)。
――その4話で、幸人の能力のすごさが垣間見られたりもしましたよね。
上村:能力が止められないところで尽義が助けに来てくれて。それまでの尽義に対する思いは、どちらかというと「師匠選びミスったな」みたいな感じでしたけど(笑)、「まだこの人でいいかな」って思えたところでもありました。そしてこのあたりから、尽義もアンニュイな表情をし始めて。
寺島:わかりやすい感じでね。
上村:最後に「俺、上手くやれるかな」って言っていましたからね。幸人もですけど、尽義の奥に何があるのかというところも気になり始める話でした。
――寺島さんはいかがですか?
寺島:僕も第4話は印象的でした。幸人の成長や人間関係の変化を、僕は尽義を通して見ているところがあるので、どうしても「幸人、良いぞ!」って思ってしまうんです。そういう意味では第8話もすごく良くて、弟子ーズがみんなで浴衣を着て遊んでいるのは、見ていて微笑ましかったです。そりゃあ後ろから水風船をぶつけるのもやめるよなって思いました。ああいう尽義の雰囲気もいいですよね。
――師匠らしいですよね。
寺島:春兄には師匠然とした感じは苦手なんだよって言っていたけど、師匠というより、兄弟に近いところではあるんです。でも、いろいろ教えて彼が成長していく姿を見ていると、尽義が師匠っぽくも見えてくるというか。そういうところはお芝居をしていても気持ちが良くて、嬉しかったです。
あと映像的に『AYAKA ‐あやか‐』で重要だと思っているのが背景。島々で雰囲気が違うんですよね。基本的に自然豊かな島だけど、第8話のお祭りでは綾ヵ島って意外と若い子もたくさんいるんだなって思いました。
「この若い子たちは、都会的な一ノ島に住んでいるのかな?」とか「観光客も多いのだろうか」とか、いろいろ考えたりしたので、もっと島のことを見てみたくなりました。
――連載の取材時に榊原さんが、サブタイトルがほぼ尽義のセリフになっていることに対して、「これはフラグだと思う」と言っていたのですが、そのことは気になっていましたか?
上村:確かに! 現場でもずっと彼は考察していました(笑)。
寺島:僕自身は何でなのかは知らないんです。重要なセリフなのかな?と思ったけど、そういうわけでもなさそうだし、選んでるポイントが見えなかったんですよね。
上村:第11話に関しては、実際は幸人のセリフなんです。
寺島:第1話の「お前ちょっと飛んでみろ」が幸人の中で根付いていて口に出たセリフなのかな。そういう意味合いは絶対にあると思うんだけど。
――尽義のセリフであることに、大きな意味があったのかもしれないですね。
寺島:主人公が幸人であることは間違いがないんだけど、彼が主人公になるために尽義という存在が必要であることが、サブタイトルに表れているんだろうなとは思うんですけどね。
――ある意味、尽義が裏の主人公みたいなところはありますよね。
上村:確かに! 終盤にかけては尽義の思いが見えて、10話ではものすごい長台詞もあったので、その布石として、このサブタイトルがあったんでしょうね。幸人の成長物語ではあるけど、尽義の成長物語でもあるというか。
寺島:そう考えると『AYAKA ‐あやか‐』ってみんなが主人公になれるお話なんですよね。アニメでは幸人が主人公で、それに深く関わる尽義も主人公っぽい見え方をすることがあるというのは、分かります。
――メディアミックスされている漫画『AYAKA -あやか- Muzzle Flash Back!!』では、主人公が伊吹 朱になっていたりしていますからね。
寺島:そうなんですよ。視点が違うだけで見え方がこんなにも違うんだ!っていうのがありますよね。
――寺島さんは、尽義が命をかけて、という展開は、最初から知っていたのですか?
寺島:ちゃんとは聞かされていなかったです。でもそこは知っていても知らなくてもいいポイントで。尽義が何を見て生活してきたのかとかは知っておくべきだと思うんですけど、幸人がどうなってしまうのかは、この時点では分からなかったわけですから。
なので尽義と同じで、何かがあったら庇う、命懸けで助けるという気持ちはあったけど、死ぬかどうかを僕は知っていなくても良かったのかなって思います。結果的にああなったわけですけど。
上村:そういう意味で、サブタイトルが尽義のセリフであることは、全話見たあとに、すごく意味を持つものになるかもしれないですね。
寺島:そうかもしれないね。もう一回見たら感じるものはあるかもしれない。