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アニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』Reolインタビュー

「“お守り”のような楽曲に育ってほしい」──アニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』EDテーマアーティスト・Reolさんインタビュー

 

剣心にインスパイアされた「切っ先」の歌詞

──EDテーマ「切っ先」はどのように制作を進めていったのでしょうか?

Reol:『るろうに剣心』で描かれていること、(和月伸宏)先生が一番描きたかったこととは一体何かを読み解くために、まずは原作を3周くらい読むところから始めて。

『るろうに剣心』って人との出会いと別れ、時の流れによって覚えていくことや忘れていくことが描かれていると感じたんです。そんな別れや忘れてしまうことは悲しみだけではなく、ちょっと救いになる瞬間がある。そういう人や時などの“流れるもの”にフォーカスして曲を書いていこうと考えました。

そこから曲の土台となるメロディをつくって、絶対に使いたいキーワードや表現をすり合わせて落とし込んでいくという流れで進めていきました。トラック自体は歌謡曲的でダンサブルでありつつ、歌詞の内容は人間の血生臭さと共に刹那的な側面が色濃く出た楽曲に育った感じがあります。

 

 

──使いたいキーワードや表現には、どのようなものがあったのでしょう。

Reol:剣心にインスパイアされた部分が大きくあります。歌詞を見てもらうと剣心から落とし込んでいることが伝わるかと思いますが、私の中で『るろうに剣心』のイメージカラーとして“赤”や“朱”があって。

それは剣心のコスチュームからくるイメージなのか、髪の色からくるイメージなのか……もっと辿ると人の血からくるイメージなのかもしれません。そういうところから歌詞に落とし込んでいきました。

『るろうに剣心』を好きな方にも楽しんでいただける歌詞になっているのではないかと思います。

また、私は言葉が持っている韻をすごく大切にしていて。例えば、1番と2番で言葉の韻をちゃんと揃えたいと意識しています。

ポエムにならない言葉のライン、語感が耳に気持ち良いと感じるワードを選んで音楽をつくりたい。その意識と共に、『るろうに剣心』を彷彿とさせるワード探しを頑張りました。

──アーティストコメントでは「『るろうに剣心』と、自分の音楽が一番呼応し合うところを探しながら、そしてどこか導かれながら流れるままに作る日々でした」とのことですが、楽曲を制作する中で一番呼応した部分はどこだと感じますか?

Reol:自分が10代の時に大切な人との別れを経験したことがあって、そこが剣心のバックボーンとシンクロした部分でした。

『るろうに剣心』という作品に対して曲を書きたいのはもちろんだけれど、Reolという媒介を通して届けるとなった時、一番訴えかける説得力を強く持つエピソードやストーリーをギュッと凝縮したいと考えたんですね。

そうした時に、「別れはつらい経験だけど必然的に訪れてしまうもの」という、別れの非情さや無常さを歌うべきなのかなと思いました。

 

 

──「切っ先」というタイトルに込められた意味とは?

Reol:剣心は刀を振るうキャラクターだけど、決して人を切りたいとは思っていない。だから、剣心の持つ逆刃刀を曲の中では描きたいなと考えた時、剣心は切っ先で人を傷つけることは臨んでいないけれど未来を切り開いていきたいと思っているのではないかと感じて。

剣心は切っ先に何を映したかったのかに重心を置いて考えた結果、「切っ先」というタイトルになりました。

 

『るろうに剣心』の引力の強さから“歌謡曲”テイストに

──Reolさんはアニメの楽曲を多く手がけられていますが、アニソンを作る上で意識していることはありますか?

Reol:意外とないかもしれないです。自分のバックボーンにあるのが、日本独自の成長を遂げたガラパゴス的なインターネット文化だったことが大きいのだと思います。

アニメとたまたま親和性がある文化だったので、アニソンをつくる時もそんなに意識することはありません。

ただ、「切っ先」に関しては『るろうに剣心』という作品の持つ引力がすごく強かったんですよね。過去の(アニメ『るろうに剣心』の)楽曲を拝聴して、私が思う『るろうに剣心』を描いた結果、少し歌謡曲的なテイストになりました。

──いつもとは少し違うアウトプットになったんですね。

Reol:そうですね。アニメ尺で流れる部分は89秒なんですけど、その後の展開は今までにやったことのない手法を取り入れることができて。楽しく作りました。

──先日TwitterでAyaseさんとReolさんが交流されているのを拝見しました。AyaseさんとR-指定さんが手掛ける『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』のOPテーマ「飛天」の印象もぜひおうかがいしたいなと。

 

 
Reol:AyaseさんとR-指定さんが組むとこういうリズミカルな楽曲に仕上がるんだと感じたと同時に、サビで一気に開けるような楽曲になるのが「すごくAyaseだな!」と思いました(笑)。

同じ作品からインスパイアされて各々が楽曲をつくって、これほどまでに違うアウトプットになるのは面白いところだなと感じましたね。

彼らだけに見えている『るろうに剣心』があると思うし、私にも私が書くべき『るろうに剣心』があったと思うので、オープニングとエンディングの両方を聴いて、視聴者の皆さんの想像がさらに膨らんでくれたらいいなと思います。

──ありがとうございます。それでは最後に、「切っ先」が『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の視聴者の方にどのように伝わってほしいと考えているかお聞かせください。

Reol:一番は「『るろうに剣心』に合っているな」と思っていただけたら、音楽冥利に尽きます。また、視聴者の皆さんにもそれぞれの人生があって、それぞれ自分のストーリーの登場人物だと思うんですね。

『るろうに剣心』に出てくるキャラクターたちにシンクロしたいなと「切っ先」をつくったのですが、作品を視聴してくれる皆さんの人生にも共感していただける一節が「切っ先」という曲の中に見つかったらいいなと思います。

出会いと別れの中に忘れられないつらい記憶があったとしても「前に進んでいこう」と思える“お守り”のような楽曲に、皆さんの中で育ってくれたら嬉しいです。

 

 

TVアニメ「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」作品情報

放送情報

2023年7月6日より毎週木曜24時55分~ フジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送

スタッフ

原作:和月伸宏『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(集英社 ジャンプコミックス刊)
監督:山本秀世
シリーズ構成・脚本:倉田英之
シリーズ構成・脚本協力:黒碕 薫
キャラクターデザイン:西位輝実、内田陽子
衣装デザイン:なすか
プロップデザイン:小菅和久
メインアニメーター:北尾 勝
アクションアニメーター:菊地勝則
音楽:髙見 優
音響監督:納谷僚介
音響効果:小山恭正
色彩設計:篠原愛子
美術監督:齋藤幸洋
撮影監督:髙津純平
編集:長谷川舞
3DCGI:ライデンフィルム
アニメーション制作:ライデンフィルム

主題歌

オープニング・テーマ:「飛天」Ayase✕R-指定
エンディング・テーマ:「切っ先」Reol

キャスト

緋村剣心:斉藤壮馬
神谷 薫:高橋李依
明神弥彦:小市眞琴
相楽左之助:八代 拓
高荷 恵:大西沙織
四乃森蒼紫:内田雄馬
斎藤 一:日野 聡

公式サイト
公式ツイッター(@ruroken_anime)

原作情報

『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』は、1994年から1999年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載され、1996年に初のTVアニメ化、1997年に劇場版を公開、そして1999年以降3作のOVAが発売され、5度にわたるアニメ化を果たした。現在、続編である『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚・北海道編-』が「ジャンプスクエア」(集英社)にて連載中のアクション時代劇の金字塔作品。

 

(C)和月伸宏/集英社・「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」製作委員会
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