「舞台の面白さを教えてくれたのがキヨさんでした。役者はいつか舞台をやりたくなるぞと言われたことがあったんです」81ACTOR'S STUDIO講師・鈴木清信さん、生徒・中島ヨシキさん、稗田寧々さん鼎談インタビュー【短期連載第2回】
稗田さんの思い出は発表会。題材は戦争を生きる少女たちの物語
ーー稗田さんの養成所の思い出というと?
稗田:養成所で様々なCMナレーションやアフレコをやって、どれも印象に残ってるんですけど……やはり「発表会」ですね。2学期の総まとめというか。題材にしている作品は年によって違うんですよね?
中島:そうだね。年によると思う。
稗田:「81オーディション」に合格して、私より先に通われていた先輩から聞いていたので、存在は知っていたんです。
鈴木:(稗田さんの年は)戦争を題材にした話だったんですよ。仲間が爆撃で死んでいく。悲惨な思いをしながらも生きていく子どもたちのお話です。
中島:養成所生がやる題材じゃないですよ!
鈴木:16〜19歳の設定の役がちょうど(養成所にいる生徒たちの)年齢的には合うので。背景を勉強しなきゃいけないけど、自分の声で感じたことを叫んだり、一生懸命やり取りすれば、上手いとか下手ではなく、共感できることもあると思います。そういう意味では、勉強しやすいし、作りやすいじゃんと。
稗田:発表会が終わったあとの当時の写真も残っています。(スマホの写真を見せて)天海由梨奈もいます。
鈴木:おお、よく取ってあったね。
中島:僕らのときはまだスマホじゃなかったので、集合写真は普通にインスタントカメラで撮っていました(笑)。多分、小林大紀が全部持っています。彼は物持ちがいいので……。
僕のときの発表会は5部構成で。男女の役の掛け合いが主になる作品だったので、クラスの男女ふたりずつ、群読という形で行いました。背景もみんなで動き回りながら作って、ナレーションを繋いでいって。
ーー稗田さんは発表会でどんな役を?
稗田:「父ちゃん、母ちゃん」って言っている子供の役をやりましたね。他のレッスンと比べて、長い期間をかけて、発表会のために一つの作品をみんなで作っていくという感覚でした。それが自分には新鮮で。
時間をかければかけるほど、役や作品への理解度も増しますし、題材も題材だったので、泣きの芝居など、今まで挑戦したことのない難しい表現もいっぱいありました。それができたのはすごく印象に残っています。
クラスのみんなと切磋琢磨という形ではありましたが、発表に向けての仲間意識もあったので楽しかったです。衣装をどうするか話し合ったり、打ち上げをしたり。私は人見知りというか、あまり養成所で友達を作れなくて……。
一同:(笑)
稗田:大学に通っていたので、演技以外の歌とかダンスといった他の授業にほぼ出られていなかったんです。
中島:そっちで仲良くなるもんね。
稗田:そうなんですよ。基盤となるクラスがあるんですけど、そのクラスで私はあまり友達ができず……。でもクラスの人たちとは、作品を通じて交流できて、仲も深められたので、とても楽しかったですね。