この記事をかいた人
- 胃の上心臓
- 拗らせ系アニメ・ゲームオタクのライター。ロボットアニメ作品やTYPE-MOONの作品を主に追いかけている。
そして、本作で描かれた「プリキュアとは何か」というテーマに辿り着いたきっかけを田中監督に語ってもらう場面も。
本作のアイディアを考えはじめた時に、自分の中でプリキュアの定義がわからなくなってしまったのだそうです。最近では女の子だけでなく妖精や男の子もプリキュアになっており、そこで「プリキュアとは何か」と悩んだことから本作のテーマになっていったのだとか。
この悩みには毎年新番組の企画をスタートさせる時にも向き合うことになるとのことで、村瀬さんや田中昂さんもシナリオ打ち合わせで悩むと田中監督に共感を示していました。
78人のプリキュアを登場させる上で大切にしたことについては、田中仁さんが回答。『Go!プリンセスプリキュア』でシリーズ構成として声優さんたちと直接話したりオーディションを目の当たりにしたことから、声優さんたちがプリキュアにかける想いが身に染みたそう。
そして、その際に自分の役に全てをぶつける声優さんたちに負けないように、キャラクターひとりひとりの想いを描かなければいけないと思ったことを明かしてくれました。しかし本作はそれが78人分もあるということで、本当に大変だったとしみじみ振り返る場面も見られました。
改めて本作を見返す際に注目して欲しいポイントも語ってもらうことに。
最初に飛び出したのは、キュアシュプリーム初登場時の紹介で映し出された架空の番組ロゴについて。この番組ロゴは実は読めるものになっているようで、田中監督によると元々はキュアシュプリームが主人公の『〇〇プリキュア』を仮定したものとしてデザイナーに発注したとのこと。
“プリキュア”という単語だけは読めるものの、ほかの言葉に関しては元の単語を崩してデザインされているそうです。ひらめきがあれば読めるというそうなので、Blu-rayなどが発売されたら挑戦してみてはいかがでしょうか。
お次はキュアシュプリームの足音について。これは監督が効果音の打ち合わせの際に足音に特徴を付けたいと要望したことから、作中の印象に残る音になったそう。キュアシュプリームのキャラクターのテーマに異質さがあり、実は足音だけでなく衣擦れの音などにも加工がかかっているのだとか。再度鑑賞する際はキュアシュプリームの出す音にも注目です。
また、ラストシーンについても田中監督が解説。キュアシュプリームは異界から来た神様や上位存在のようなイメージで考えており、プリキュアたちと戦うことで生まれ変わったことを表現したかったと語りました。そして、そんな完璧な存在が自身からプーカという他者を生み出したことで、不完全な存在になったとも。
そしてキュアプーカとあわせて黒と白のプリキュアになるのですが、これは最初から考えていたのではなく、途中で上手くハマるような形でこのような結末になったとのこと。
そろそろイベント終了の時間が迫り登壇者からのメッセージがありました。
田中昂さんは20周年イヤーの後半戦やTVアニメ『キボウノチカラ~オトナプリキュア'23~』、そしてプリキュア関連ライブイベントへの期待を煽りました。また、“2月のアレ”についての発表がもう間もなくといった気になる発言も。
板岡さんはここで、プーカのグッズが欲しいけれど売店に行ってもないとして、会場に集まったファンのみなさんに「プーカのぬいぐるみやプリムのパーカーを作ったら欲しい?」と質問。すると「欲しい!」との熱烈な声が上がりました。
最後に田中監督は、本作がファンのみなさんに温かく受け入れられている手ごたえがあると語り感謝を述べました。また、シナリオの都合でプリキュアたちに一度勝利してしまっているキュアシュプリームにも心配があったそうですが、受け入れられて嬉しかったとのこと。
そしてこの仕事に入ってから10数年の総決算が本作だったと話し、色々な人の力を借りて20周年イヤーの大きな部分を担う映画を成功させられたと作品への自信を露わにしました。
まだまだ上映中の本作。10月13日(金) にはイベント「“F”ナイト【応援上映】」が47都道府県で開催されますので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
[取材・文/胃の上心臓]
拗らせ系アニメ・ゲームオタクのライター。ガンダムシリーズをはじめとするロボットアニメやTYPE-MOONを主に追いかけている。そして、10代からゲームセンター通いを続ける「機動戦士ガンダム vs.シリーズ」おじ勢。 ライトノベル原作や美少女ゲーム、格闘ゲームなども大好物。最近だと『ダイの大冒険』、『うたわれるもの』、劇場版『G-レコ』、劇場版『ピンドラ』がイチオシです。