“原作の第1話を読んで、アニメ化したいと思った”──本作への思いや「金曜ロードショー」が決まるまでの経緯をプロデューサーが語る! アニメ『葬送のフリーレン』プロデューサー・田口翔一朗さんインタビュー
種﨑敦美さんの演技に脱帽
──キャスト陣の演技をご覧になっていかがでしたか?
田口:まず、種﨑さんの演技がすばらしいです。フリーレンは1000年生きているので、彼女の気持ちを理解するのはかなり難しいことと思います。そんな中、種﨑さんはフリーレンのかっこよさであったり、切なさみたいもの、さらに可愛らしさをしっかりと表現してくださいました。
フリーレンがミミックに食べられそうになるシーンや寝起きのシーンは特にかわいいです!
実は『葬送のフリーレン』のアフレコ現場では笑いもよく起きていて。ギャグシーンだったり、フリーレンの演技の幅広さに対してスタッフたちが笑ってしまうことも多かったんです。あらためて種﨑さんの演技の精度とと幅広さに脱帽しました。
あと、小林さんには明るく面白く、シュタルクを演じていただいて、物語に良い緩急をつけていただきました。
──小林さんにお話を伺った際、シュタルクの登場で作品の温度感が上がれば良いなとおっしゃっていました。
田口:シュタルクの登場で相対的にそう見えるかもしれませんね。シュタルクが登場するまではおちゃらけたキャラクターがあまりいなかったので、シュタルクのおかげで世界観や物語の幅が広がるんじゃないかなと。「フリーレンってこういう一面もあるんだ」と気付くきっかけにもなります。
──市ノ瀬さんの演技をご覧になっていかがでしたか?
田口:素敵でした。フェルンはキャラクター的に、落ち着いたお母さんポジションではあるんですが、回を重ねるごとに愛らしさも増していて。やきもちを焼いたりもするんですけど、年相応の可愛さがありましたし、フェルンという女の子を非常に解像度高く演じていただいて、感謝しています。
──なるほど。フェルンは物語が進む中でシュタルクの登場で新たな一面が出てきますよね。
田口:フェルンだけに限らず、関係値の描き方はアニメでも気を使っている部分なので注目してほしいです。斎藤監督やシリーズ構成の鈴木(智尋)さんらがアイディアを出していただいて、原作になかったシーンもいくつか追加しています。原作の良さをさらに膨らませていただいているので、こちらも楽しみにしてほしいです。
「金曜ロードショー」で史上初の試み!
──今作は初回が「金曜ロードショー」での放送でした。決定までの経緯を教えてください。
田口:小学館さんより当初、このご提案をいただき本当に驚きました。この作品は性別年齢問わず、幅広い層のお客様に楽しんでもらえる作品にしたいという思いがあり、当初からそれを実現させるにはどういうテレビ局さんと組んだら良いのか考えていました。
なので初回で『金曜ロードショー』という大きな放送枠をご用意いただいた小学館さんと日本テレビさんには本当に感謝しています。
誰もが知っている国民的な「金曜ロードショー」ですし、ジブリ作品などが放送されていて、アニメとの親和性も高いと思いました。そして、TVアニメの初回枠を「金曜ロードショー」でやるというのは日本テレビさんでも史上初めての取り組みです。
本当に製作委員会各社が熱量高く、作品に注力していただいています。
──小学館、日本テレビ側からの打診だったんですね。
田口:はい。そして初回放送後は金曜のよる11時からのレギュラー放送枠をご用意いただいています。こちらもすごい時間帯を空けていただいたなと思います。
アニメ放送が近づくにつれて、原作読者の皆さんだけでなく、アニメファンをはじめ、中高生の皆さんなど幅広い層に広がりを見せていると感じました。マッドハウスさんも原作の良さをより引き出し、多くの方々に楽しんでもらえるような素晴らしいアニメーションを制作されているので、『葬送のフリーレン』を引き続き楽しんでもらえましたら幸いです。
──ありがとうございました。
【取材・文 MoA】
作品情報
あらすじ
千年以上生きるエルフである彼女は、ヒンメルたちと再会の約束をし、独り旅に出る。それから50年後、フリーレンはヒンメルのもとを訪ねるが、50年前と変わらぬ彼女に対し、ヒンメルは老い、人生は残りわずかだった。
その後、死を迎えたヒンメルを目の当たりにし、これまで“人を知る”ことをしてこなかった自分を痛感し、それを悔いるフリーレンは、“人を知るため”の旅に出る。
その旅路には、さまざまな人との出会い、さまざまな出来事が待っていた―。
キャスト
(C)山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会