秋アニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』第3話放送後インタビュー:阿部敦さん(六田守役)|コノハに通じるところがある、守のPC-98に対する情熱【連載第4回】
若木民喜さん、みつみ美里さん(アクアプラス)、甘露樹さん(アクアプラス)が原作の同人誌『16bitセンセーション』をベースにオリジナル要素を加え、新たな物語にしたTVアニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』。アニメイトタイムズでは、現代と過去が入り交じるSF要素も加わり生まれ変わった本作について語るインタビュー連載を実施中!
連載第4回は、PC-98愛は誰にも負けない! アルコールソフト唯一のプログラマー六田守を演じる阿部敦さんに、作品の魅力やオーディションでのエピソードなどを語ってもらった。
とにかくよくしゃべコノハを演じる古賀さんに脱帽!
――原作や台本を読まれたときの印象を教えてください。
阿部敦さん(以下、阿部):まず原作の漫画は美少女ゲームを作っている方あるあるというか。そういう知識や、業界ってこういう感じだったよという裏側が描かれている作品だったんです。そこからアニメの台本になると、登場人物はほぼ同じだけど結構な様変わり具合で、最初はびっくりしました(笑)。
オーディション段階でいくつかセリフを読ませていただいたんですけど、原作にはないセリフがあったので、原作通りではないんだなとは思っていたんですけど。
――まさかのタイムリープものでしたね。
阿部:原作にはSF要素が皆無だったので、へ~そうなるのか!と思いました。ただ、やっているとSF要素を忘れがちというか(笑)。ゲーム作り大変だなぁっていうところにまず目が行くので、そういえばSFモノだったなって思い出す感じになっています(笑)。
――ほかにオーディションの思い出はありますか?
阿部:年齢が変わっていくというのがひとつあって、最初が中学生くらいで、そこから18~19歳くらいになる。そのあたりの年齢の差をどうやって出していこうかなと思いました。どこの年齢をメインでしゃべることになるかもまだ分からなかったので、お芝居をできる声帯の枠みたいなものは残しておかないとなと思って、オーディションをやっていた気がします。
――年齢差が3歳くらいだと、かなり細かい違いになりそうですが。
阿部:そうなんですよ。だからそこを意識しすぎるとそれはそれで違うと思うんですけど、ある程度分かりやすく変えていかないといけないという気持ちもあるから、そのあたりの調整は考えながらやっていました。
――六田守はアルコールソフトのプログラマーで、PC-98への愛情が深いキャラクターですが、演じてみていかがでしたか?
阿部:顔はいつも不機嫌そうというか。生真面目でこだわりが強いんですよね。最終的には愛すべき変態だと思っているんですけど、あまり不機嫌さみたいなものを乗せてしまうのも違うなと思っていたんです。実際に収録でもちょこちょこ「キツすぎる」とディレクションをいただきましたし。守くんって周りと積極的に関わるタイプではないので、不機嫌さと我関せずみたいなところのラインを、どこらへんにすればいいのかが難しいところでした。
――あの不機嫌さは思春期だからなんですかね?
阿部:それもありつつ、PC-98からWindows 95への切り替わりがあって、愛すべきものがなくなってしまうかもしれない瀬戸際だったと思うので、単純に好きなものがなくなってしまうのがイヤだという子供っぽさもあるんだろうなって思いました。
――コノハ(CV.古賀葵)はアニメでのオリジナルキャラになりますけど、どう思いましたか?
阿部:とりあえずよくしゃべる子だなと思いました(笑)。中の人の話になっちゃいますけど、古賀ちゃんがすっごく頑張ってくれていて、我々の3倍くらいあるセリフを、倍速でしゃべっているような感じなんです。それでもしっかりとメリハリ持ってやっているから、めっちゃ上手いな~、めっちゃいいな~って思いながらアフレコをしていました。登場キャラクターの中では守くんと同年代でもあるので、そういう意味では気の置けない、いい仲間になっていくのかなって思います。
――90年代に生きている人と現代人との違いみたいなのも出ているのかなと思いました。
阿部:それはあるんでしょうけど、どうなんだろう。90年代ってもっとガチャガチャしていて派手な時代ではあったし、コノハちゃんも令和っぽいキャラなのかと言われたらそうでもないと思うんですよね。ただ、若い子はこうあってほしいなという、自分たちから見た理想像でもあるから、がむしゃらにやってほしいなっていう意味で、すごく良い子だと思います。
――しゃべり方は今っぽいけど、マインド的には90年代にも馴染んでますしね。
阿部:僕が子供の頃、同級生でいたら「うるさいな~」って思ったかもしれないけど、今、このくらいの年齢になって見ると、こうあるべきだよな~って思っちゃう子かもしれない。
――第3話は96年が舞台になるお話ですが、阿部さんは90年代の思い出だと、どんなものがありますか?
阿部:僕は高校生くらいだったんですけど、だいたいこの頃は『ザ・キング・オブ・ファイターズ』というアーケードゲームをしていたと思います。めっちゃ好きなシリーズで、キャラクターがたくさんいて、それが3人一組のチームに分かれているんです。ちゃんとチームで全クリをすると、そのキャラのエンディングが見られたりしたので、それが見たくて結構ゲーセンに行っていました。1コインでクリアできるくらいではあったんですけど、90年代と言えば、ゲーセンのイメージはすごくあります。
――この頃って、暇さえあれば学生はゲーセンに行っていた気がします。
阿部:なんか熱さがありましたよね。あの頃独特のゲーセンのノリって、今思ってもあの頃だけだった気がする。
――格闘ゲームがすごく流行っていたのと、他にあまり娯楽もなかったので。
阿部:それもあるかもしれないですね。スマホもまだまだ先だし。あと何してたかなぁ。『マジック:ザ・ギャザリング』というカードゲームにも手を出していました。今も続くTCGの始祖みたいなものですけど、それで友達の幅が広がったりしました。演劇部にゲームに詳しい人もいて、『バイオハザード2』(98年)とかもちょうどこの頃出たんじゃないかな。個人的にはゲームが熱かった時代です。
――一方その頃、美少女ゲームも流行っていたそうですが、中高生だとなかなかそこへは辿り着けないんですよね。
阿部:そうですね。やっぱり単価が高いので高校生のお小遣いで買えるものではなかったし、そもそも買ってはいけないしっていう(笑)。
――アニメでは秋葉原の映像も流れそうですが、秋葉原のイメージは?
阿部:僕は栃木出身なので憧れはありました。行けなくはないところだけど、簡単に行けるところでもなかったので、年に1回とか、友達と東京に遊びに行くときに寄ったりする感じで、駅前に公園があったような気がするんですよ。そしてネオンがたくさんあって、独特の雰囲気だったなと。
――バスケットコートがあった気がしますね。
阿部:当時はアニメもゲームも好きで、結構オタクだったので、オタクと言えば秋葉原っていう感じでの当時の憧れもあり、それがどう映像で再現されていくのかは楽しみです。