「キミのために強く、強く。私は未来に向かって、まっすぐ前を向いて、走っていきたいと思います」ポップに、キュートに、タフに。斉藤朱夏が目一杯のラブを詰め込んだ『愛のやじるし』をしなやかに放つ|朱演2023 LIVE HOUSE TOUR『愛のやじるし』レポート
声高らかに「ウチらって最強じゃん?」
「声出し解禁になると、皆さんの返事がたくさんくるので、とってもありがたいです。この声!」と実感を伴った声色で伝えると、天井を突き抜けるかのような大きな声が上がった。バンドメンバーを改めて紹介しつつ、ツアーを改めて振り返り。
仙台ではプリクラを撮ったこと、福岡では地元のファミレスで〆パフェを食べたことなどを語り「すっごい思い出たくさん。めちゃくちゃたくさんの夏の思い出ができたんですけど、まだまだ夏の思い出つくりたいですよね!?」と語尾を強める。
「皆さん最強になりたいですか? 初めましての方は“最強ってなんだろう?”って思うかもしれないけど、だいじょ〜ぶ! だってウチらって……」
「最強じゃ〜ん!」と声をあわせ、ダンスナンバー「最強じゃん?」を披露。<いいじゃん>でコールアンドレスポンスしつつステージを駆け巡ると、今度は「way way ゲームのお時間です!」。スカチューン「Your Way My Way」で彼女の振る旗に合わせて青と赤のペンライトを上げ、「月で星で太陽だ!」と輝く“キミ”を眩しく照らし<We are happy!!>でピース。さらには「イッパイ遊んでいきましょう!」と、 「イッパイアッテナ」でファンとの密なコミュニケーションを楽み……と、“最強”にタフな斉藤朱夏を見せていった。
「さあ、皆さん最強になれましたか? てなわけで、最強になったんですけど、皆さん、もっと最強になりたいですよね? もっと最強に成るためにあるチェンジをしたいと思います!」と“銅鑼チャレ”のコーナーへ。
「僕らはジーニアス」の幕開けの銅鑼をオーディエンスが叩くという企画で、くじびきによって選ばれたファン2名がステージへと上がる。「緊張気味」というファンにポジティブな声がけをしつつ、初っ端の「僕らはジーニアース!」というオーディエンスの声に続いて、堂々とした銅鑼が鳴った。今村の力強いドラミングも光る。ハンズクラップをしつつも、ファンと目線を揃えるために、ステージ前方のギリギリまで近づき身体を低くする一幕もあった。
そこから続いたのは、新たに仲間に加わったPan(LIVE LAB.)が新しい風を吹き込んだ「伝言愛歌」。くるくると表情を変えながら、「ゼンシンゼンレイ」でファンを射止めて見せ、キュートな「ベイビーテルミー」へとつなげて、三者三様の歌を届けていった。ステージが自分の生きる場所として音楽を届けてきた斉藤朱夏の“キミへの思い”が、ステージ上から何度も何度も溢れ出した。
「ということで、たくさんたくさん遊んで嬉しいこと、楽しいこと、たくさん“はんぶんこ”できましたね。そんなここにいるキミに、嬉しいお知らせを」と12月に今回のライブが映像商品になることを発表。さらにフライングで、12月に開催されるファンクラブイベント(「朱夏学園〜授業参観〜」)がアコースティックライブになることも伝えた。「言っちゃいけなかったのかな? でも早く伝えたくて!」と笑う彼女がとても愛らしい。
葛藤と決意、ライブハウスで培った絆
「楽しい時間はあっという間ということで……」と伝えると、オーディエンスが両手をばってんにしたバツマークを掲げる。「伝言愛歌」の歌詞になぞらえて生まれた“僕とキミのサイン”で、「No〜!」と言えばファンが「No〜!」と叫ぶといった具合のコールアンドレスポンスも誕生。このサインはライブ中にも繰り出されており「ポーズ、バッチリ!」とはなまるをつけていた。
「これもライブハウスツアーで自然と生まれたコールアンドレスポンスです。たぶん、きっとこれからも一生やりつづけるであろうコーレスだよね(笑)。すごいよ、本当に。楽しくて、まだまだやっていたいけど……残り2曲となりました。本当にライブってあっという間で、もう8公演目。ライブ初日を迎えてから1ヶ月経とうとしています。とても早い時間だったなと思いつつ、今年の私の夏はここで終わりになります。今年もみんなと夏の思い出をたくさん作ることができました」
「ありがとうございます」とありったけの気持ちを伝えれば、客席からは「ありがと〜!」の声が響き、その光景に目を潤ませ「少し、私の話をしても良い?」と切り出した。「実はこのミニアルだったり、ライブをはじめる前だったり……私は歌と向き合うのが、とても苦しかった時期がありました」と心境を吐露する。
「自分の歌って、ステージってなんだろうって。キミと会う前、苦しくて、逃げたくなる瞬間がありました。私は自分の心の奥底にある気持ちを音楽に乗せて、キミにいつも届けています。だからこそ、自分の気持ちをメロディーに乗せて歌ったときに……向き合い方が分からなくて。ああ、こんな状況で私はキミと会うことができないなってとても思いました。
けど、ミニアルバムがリリースされて、ここにいるキミが、1曲1曲大切に聴いてくれました。そしてライブをしてみて、もともとあった楽曲、新しく生まれた5曲に対して“こうやって私は歌と向き合えばいいんだな”って。それに気づかせてくれたのは、ここにいるキミです。あの時一生懸命向き合った楽曲たちが、それ以上のモノに色が変わって。この楽曲たちを届けることができて良かったなって、ここに来てすごく思っています」
そして、ライブでのキミの声がアーティスト・人間・斉藤朱夏を強くさせたことを伝えていく。
「ライブでたくさんキミが教えてくれます。そして、なにより、自分が体調を壊してしまったとき、キミはたくさんの言葉をくれました。“朱夏のペースで良い”“僕たち・私たちはずっと待ってます”と。その言葉を聞いて、私はどんな姿でも、もし体調が良くなくても、キミに会いにいかなきゃいけないなって思いました。
“ずっと”っていつまで続くかわからないし、私はそれに甘えることはできないなって。キミが待っている間、もしかしたら苦しいことがあるかもしれない。仕事や人間関係でつらいことがあるかもしれない。その時に私が、寄り添うことができないのがすごく嫌だからです。私はキミの毎日に、1秒でも良いから寄り添っていたいなって、毎日思っています。
だからこそ歌と向き合えなくなって、わかなくなって、ぐしゃぐしゃになってしまったけど、キミのおかげで、自分自身を取り戻すことができました。本当にありがとう!」
名残惜しそうにしつつ「こんなにも夏の終わりを寂しいと思ったのは初めてかもしれません。まだまだ今年の夏がもっと続いてほしい。寂しい。まだまだキミと遊びたい。そんな気持ちになれたのも、毎年、キミがたくさん遊んでくれるおかげです。来年もキミと一緒に夏を過ごしたいんだけど、いい?」と呼びかければ大歓声。
そして顔を上げて「私は未来に向かって、まっすぐ前を向いて、走っていきたいと思います。キミのために強く、強く。これからも一緒に笑っていきましょう。では最後、皆さんたくさんの声を聴かせてください!」とクライマックスへ。
光を追いかけながら成長していく「ひまわり」に、自分の“今”を重ねて歌い、ファンからたくさんの思いが注がれ大きな花が咲く。間奏で「今日も、今という一瞬を私と一緒に生きてくれて、本当にありがとうございました!」と叫び、アウトロではみんなでシンガロング。「もっともっと聴かせて!」「もっと!」「まだまだ!」と呼びかければ、声はひときわ大きくなった。
「たくさんの声を聴かせてくれて、本当にありがとう!」と強く笑い、最後にリードトラックであるポップなナンバー「愛してしまえば」を贈って互いに愛の矢を放った。「今年の夏もたくさんの思い出ができました! ありがとう! これからもたくさんの思い出を作っていくよ、OK!?」とゆびきりしてジャンプ。