「わからない」が秘める可能性。“あえてカッコつける”ことが良い味になる――ラジオ『ANISON INSTITUTE 神ラボ!』冨田明宏さん&岡咲美保さんインタビュー【PR】
初心に帰ってアニソンの素晴らしさを伝える場所
――収録にあたって心がけていることを教えてください。
冨田:情報の確かさに加えて、誰が聴いても「そうだよね」と思えることと、「冨田の目線ではそうなんだ」という考えを混ぜるようにしています。最近はインターネットやSNSですぐに情報が出てくるので、“僕はこういう観点でこの人・この曲を聴いている”、“この作品を捉えている”という部分を半分は混ぜないと、ただの情報番組になってしまうんです。
あと、番組が始まった当初、「楽しい」には面白いことや笑えるだけではなく、興味深いという意味の“interesting”も含まれているんじゃないかと考えていて。そして、その“interesting”な部分が僕の目線であったり、語り口に繋がるんじゃないかなと思い、意識するようになりました。
――事実と冨田さんの観点、そしてどんな話題を取り扱うかのバランス調整も大変そうです。
冨田:大変ですね。結局、“どの曲・アーティストを取り扱うか”という部分で、すでに番組として、メディアとしての目線が入っていて。多数の楽曲やアーティスト、長い歴史があると全ては扱えないからなおさらですよね。
でも個人的に「『神ラボ!』はこのアーティストを紹介している」というひとつの目線が反映されているのは大事だと思っているんです。大変ではありますが、その調整は楽しいところでもあります。そもそも僕の仕事は“人に良いものを紹介したい”という気持ちから始まっているところがあって。
アニソンって今では皆が聴いていますけど、僕がアニソンを仕事にした17、8年前はまだまだ不遇な時代で、音楽として認めてもらえない時期が長かったんです。でも僕は「アニソンは音楽として素晴らしいでしょ?」と伝えたくて今の仕事を続けていて。『神ラボ!』では毎週、そんな初心を胸にお話させていただいています。
――冨田さんにとって初心に帰れる場所なんですね。
冨田:やっぱり好きなものや良いものは伝えたいですから。そして、ありがたいことに、そういう場所をいただいているんだという感覚は常にあります。
――岡咲さんはいかがでしょうか。
岡咲:私は、“カッコつけないこと”、“あえてカッコつけるべきこと”の見極めを意識しています。収録では、知識は冨田さんに絶対に至らないですし、知らない年代の話も出てきますけど、正直、「知らない」と言わなくても番組は成立すると思っていて。
でも、知ったかぶりをせずに「わからない」と言うことで、私自身の勉強になりますし、リスナーの皆さんにとっての知る機会であったり、好きに繋がるんですよね。そういう意味でも「知らない」という言葉は可能性を秘めていると思っていて。どうしてもカッコつけたくなりがちなんですけど、そこはカッコつけないようにしています。
――“あえてカッコつける”というのはどういう意味があるのでしょうか?
岡咲:声優やアーティストとしてデビューさせていただいてからは、冨田さんに同意することもあれば、私なりの見解を話すこともあります。そんなときに萎縮しないように、自分の思いを言葉に、あえてカッコつけるようにしていて。今となってはお互いの“立場が違うからこそ”の部分が番組の味になっているんじゃないかなと思っています。
冨田:ラジオって、知ったかぶりをしていたらバレるんです。だから今の話はすごく大事なことだと思います。実際、表現者としての目線でも話してくれるんですよね。
岡咲:ありがとうございます。冨田さんは「知らない」と言っても、快く、わかりやすく教えてくださるんです。正直、それに味をしめているところが……(笑)。
一同:(笑)
冨田:でも僕にもカバーできていないものはたくさんあります。特に、“岡咲美保世代”が見たり聴いたりしてきたものを知らなくて。『きらりん☆レボリューション』とかね。
岡咲:子供時代に見ていたアニメですね。『ミルモでポン!』とか。
冨田:そうそう。特に『ポケットモンスター』や『名探偵コナン』の特集などは世代によって好きな主題歌が全然違うからリスナーの反応もバラバラだったんですけど、そんなときは岡咲さんがいろいろな世代の話をしてくれて助かりました。やっぱり良い意味で年の差が噛み合っているのかもしれませんね。
岡咲:そうかもしれません。