求められたのは“昭和30年代の白黒映画”のテイスト――映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』関俊彦さん&木内秀信さんインタビュー|アニメーション的なデフォルメを払い、実写に近い芝居で作り上げた鬼太郎の父と水木の空気感
鬼太郎の父と水木、二人の関係がどんなふうに変わっていったのかを見てほしい
――お二人がお芝居をするうえで、心がけていること、大切にしていることをお聞かせください。
関:この世界に入ってから、一生懸命に自分の技術を磨いて、「いろんな人に自分を知ってもらいたい。自分の芝居を認めてもらいたい。認めさせたい」という気持ちで、しゃかりきになって、20代の頃からずっとやってきたような気がするんです。
でもこれからは、「自分が役者としてどうか」ということよりも、出会っていく役、自分が演じていいと許された役に寄り添って、「その役のことを大切にしてあげたい。愛してあげたい」という気持ちをたくさん膨らませて生きていけたらいいかなという気がしますね。あまりガツガツやらないで、空気のように役と触れ合っていけたらいいなと思っています。
昨年還暦を迎えたので、そのぐらいからちょっとそんなことも考えるようになりましたね。なので、今回の作品の役柄はとてもいいタイミングでしたし、そんなふうに思えるのも、鬼太郎の父と会って、彼の自然体で生きていく、その生き様に触発されたというところもあります。
木内:僕は「役の心がどこにあるのか」ということをいつも中心に考えています。たまに作品の中で、(自分としては)言いたくないセリフが出てくることもあるんですが、「この人がどういう気持ちになっているから、このセリフが言えるんだ」というところを探らないと、僕自身がそのセリフを言えなくなってしまうんです。
「この人の心は今どこにあって、こういう気持ちになってセリフを言っているんだろうな」というところをちゃんと大事にするように一つ一つを大切に心がけています。今回もオーディションだったんですが、自分のできるお芝居を精一杯すればいいかなと思って臨みました。「この役ほしいな」「この作品に出たいな」と思ってオーディションに臨むと、必ず落ちるんです(笑)。
関:(笑)。
木内:僕の場合は、なんですが(笑)。「こんな大きいタイトルは受かるわけないし、僕ができる範囲のお芝居をちゃんとしっかりして、帰れば満足だな」と思った時に限って受かります(笑)。なので、一つ一つのキャラクターの心を大事にして演じるようにしています。
――最後に、作品を楽しみにしているファンに向けて、メッセージをお願いします。
木内:大人が観てくださると、よりいっそう楽しめるのではないかと思っています。
関:また、今回の作品では、鬼太郎の父と水木の二人の交流が最初から最後まで描かれています。それが芯だと言ってもいいぐらいなので、二人の関係がどんなふうに変わっていったのかというのをぜひ見てもらいたいですね。あとは、エンドロールが上がっても、劇場を出ないでくださいね。劇場の灯りがつくまで帰らないでください!
木内:最後まで観てください!
――ありがとうございました!
[取材&文・宋 莉淑(ソン・リスク)/写真・二城利月]
作品情報
あらすじ
目玉おやじは、70 年前にこの村で起こった出来事を想い出していた。あの男との出会い、そして二人が立ち向かった運命について…
昭和31年―日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族によって支配されていた哭倉村。血液銀行に勤める水木は当主・時貞の死の弔いを建前に野心と密命を背負い、また鬼太郎の父は妻を探すために、それぞれ村へと足を踏み入れた。
龍賀一族では、時貞の跡継ぎについて醜い争いが始まっていた。そんな中、村の神社にて一族の一人が惨殺される。
それは恐ろしい怪奇の連鎖の本当の始まりだった。鬼太郎の父たちの出会いと運命、圧倒的絶望の中で二人が見たものはー
キャスト
(C)映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」製作委員会