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- 逆井マリ
- 神奈川県横浜市出身。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。
——共演が決まった時のお気持ちはどうでしたか? また、お互いにどんな印象を持たれていますか?
幾田:主人公のふたりって仲良しの親友でお互いに大事な存在なんです。あのちゃんとのタッグが決まった時、最初はどのようになるか想像が付きませんでした。あのちゃんは凰蘭にピッタリだなと思っていたんですけど、ふたりで掛け合いをした時にどんな風になるのか楽しみで。
共演が決まった時から、これまでリリースされている楽曲や、出演されている番組をチェックして、あのちゃんはどんな方なのかな、どんな凰蘭を演じられるのかなと想像していました。
作中でも門出は凰蘭と出会ってから人生が変わっていって、影響を受けていくので私もあのちゃんに大いに影響を受けよう!と思って沢山調べました(笑)。実際にあのちゃんに会ってみると、テレビの画面で見ていたそのままだなと思いました。そして、楽曲を聴くと音楽と真摯に向き合っている方なのが伝わりました。
「THE FIRST TAKE」を見て衝撃を受けましたね。2曲歌唱されていたのですが、2曲とも違うアプローチでパフォーマンスをされていて、心の弱い部分もさらけ出して歌ってくれる!って感じた時に凄いシンガーだなと。同じアーティストとしてそこに惹かれました。
あの:決まった時は、アーティストふたりが主役なんだ、と思いました。印象としてはイメージがしっかりしている方というか、すぐに正解を叩き出す人だなって。アーティストとしてもそうですけど、詩を歌に乗せるのが凄く上手な方で、だからこそ詩が色んな人の心に届いているんだろうなと思います。
だから、声優も得意なんだろうなと思っていて、初めて幾田さんの門出を聞いた時に「門出だ」ってなって。言って良いのかわからないんですけど、実は色んな門出の声を聞いていたんですけど、幾田さんがダントツで門出だった。
幾田:嬉しい。
あの:めちゃくちゃナチュラルなのに門出になっているから、やっぱり運動神経が良いだけあるなって(笑)。
幾田:前にちょっとその話をしたんだよね(笑)。
あの:本当に器用な方なんだなって思いました。
——アフレコがまだ終わっていないとお聞きしたんですが、おふたりの相性はどうですか?
幾田:お互いの共通点が「運動神経がわりと良いほうだよね?」ってことだったんです(笑)。ちょっとずつお互いのことも話すようになってきましたし、別々でのアフレコが多かったのですが、最近はふたりでのアフレコも増えてきて。どんどん息があっていると思います。ふたりでやるとまた空気感が違って楽しいです。
あの:本当にそう。全然違いました。
——本作で、特に見てもらいたいポイントはありますか?
あの:全部見て欲しい……。
幾田:(笑)。
あの:やっぱりふたりの掛け合いですかね。他愛もない会話なんですけど、相当大事な気がしているので、楽しんで見て欲しいです。
幾田:私もあのちゃんと同じです。まだアフレコ途中なんですが、いつまでもこんなふたりの掛け合いが続いたら良いのになって思うんですよ。ふたりが幸せで、ハッピーで、いつもお茶らけて、戯れあっていて欲しいと思えるくらい、揺るぎない「絶対」の関係なんです。そこを注目して欲しいですね。
——おふたりが演じられているキャラクターの魅力もお聞きしたいです。ご自身が演じているキャラクターと、お互いが演じているキャラクターについての印象をお聞かせください。
幾田:自分が原作を読んだ時の門出は、クールな一面もあるけどコミカルで可愛らしい女の子。凰蘭によって性格が明るい方向に変わっていったキャラクターですよね。色んなことを諦めながらも、その中に小さな希望を持っているなと思います。あと、発する言葉全てが可愛いです!
でも、周りとの関わり合いのなかでいろんな感情を持っているキャラクターなので、演じながら「この人が報われて欲しい」と思ってしまいます。
あの:幾田さんが言っていた、話しているけどどこからフィルターがかかっていて、本当の感情や言葉が隠れていて、凰蘭はそれすらも見えている。それはお互いに見えていると思います。門出の方がちょっとだけ大人びているけど、弱い部分があるし、そこも愛せるキャラクターだなと思います。
——凰蘭の魅力もぜひお聞かせください。
あの:凰蘭も凰蘭で、壁やフィルターを作っている子で、普段はテンションが高かったり、ヘンテコなことばっかりやってて。その中にある揺るがないものがあって、そこに自分も共感してしまうというか。キャラをつけて本当の気持ちを隠していく部分に共感しましたね。みんなが愛おしく思うキャラクターだから、プレッシャーも感じたけど、本当に素敵だなと思います。
幾田:凰蘭は本当にみんな大好きだと思います。話が進むに連れて、どんどん愛おしくなるし、いつもヘンテコで騒いでいるように見えるけど、確固たる意思を持っていて。それがあるからこそ、彼女の人格が出来上がっていると思います。私の周りにも凰蘭みたいな人がいたら良いのになって思います。
——最後にこの作品自体にある魅力をお伺いできればなと思います。
幾田:作品の魅力を一言では伝えきれないのですが、フィクションでありながらも、ありえない話じゃないというか。読者に身近なお話でもありますよね。いろんな人の視点で、この物語を楽しむことができますし、いろんなキャラクターの視点が描かれているからこそ、自分と世界の関係を見つめ直すきっかけになるんだろうなと思います。
あの:この8年の連載期間を経て、現実の世界でもありえない話じゃなくなってしまっているというか。このタイミングで作品と関わることができて良かったと思うし、見ている人も、当たり前のように流れている時間のこととか、普段の生活のことを見つめ直したくなるような刺激を与えてくれる作品なんだろうなと思います。
作品の雰囲気や絵はめっちゃ可愛いのに、どことなく怖くなる時があって、それは現実の生活にも当てはまりますよね。どうしてもこの作品からは可愛さだけじゃないものを受け取るし、怖さのほうが多いかなと。ぼくはそういう作品が凄く好きだし、グッと世界観に入り込んで楽しめると思います。
あと、ぼくは中川ひろしがめっちゃ好き。
幾田:私も一番好き! 一緒だ。
あの:ひろしも本当に現実に居て欲しいなって思うキャラクターだと思う。
幾田:導いてくれそうだよね。
ヘアメイク(幾田りら): nari
スタイリスト(幾田りら、あの):神田百実
●衣装クレジット
keisukekanda (あの)
LA BELLE ETUDE (幾田りら)
[インタビュー/逆井マリ]
神奈川県横浜市出身。既婚、一児の母。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。パンクからアニソン、2.5次元舞台、ゲーム、グルメ、教育まで、ジャンル問わず、自分の“好き”を必死に追いかけ中。はじめてのめり込んだアニメは『楽しいムーミン一家』。インタビューでリアルな心情や生き方を聞くことが好き。