『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』第7話放送後インタビュー:伊藤健太郎さん(六田勝役)×福島潤さん(五味川清役)|てんちょーの人間らしさがにじみ出た第7話。90年代にデビューしたお二人ならではのゲーム・声優業界トークも!?【連載第8回】
若木民喜さん、みつみ美里さん(アクアプラス)、甘露樹さん(アクアプラス)が原作の同人誌『16bitセンセーション』をベースにオリジナル要素を加え、新たな物語にしたTVアニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』。アニメイトタイムズでは、現代と過去が入り交じるSF要素が加わり、生まれ変わった本作について語るインタビュー連載を実施中!
連載第8回は、アルコールソフトの社長であり、六田守(CV:阿部敦)の父親でもある、“てんちょー”こと六田勝を演じた伊藤健太郎さんと、アルコールソフトのシナリオライターで、いつも謎のレスラーマスクを被っている“キョンシー”こと五味川清を演じる福島潤さんが登場。90年代のゲーム・声優業界のお話や、第7話の感想などでたくさん盛り上がってくれました。
オーディションの思い出と、てんちょー&キョンシーの印象は?
――シナリオや原作を読んだ印象を教えてください。
福島潤さん(以下、福島):原作漫画の情報しか知らなかったので、「おかしいな、読んだはずなのに知らないキャラが出てくる」って思っていて(笑)。
伊藤健太郎さん(以下、伊藤):しかもそれが主役だなぁ〜って?(笑)
福島:「ほっちゃん(堀江由衣さん/メイ子役)が主役じゃないの?」という戸惑いの中で始まったんですが、台本を読んだらオリジナルの部分が非常に面白くて! なので「これからどんな事が起こるのかな?」みたいな予想をキャスト陣でするのも楽しかったです。懐かしい感じだけでなく、SF要素も入ってくるので、怒涛の展開でした。
――キョンシー役はオーディションだったのですか?
福島:オーディションだったんですが、スタジオオーディションはなくテープオーディションだけで……。
伊藤:僕もテープを送っただけだよ。
福島:そうですよね! キョンシーはマスクをしていて、いつもタバコをプカプカしているってだけで面白かったので、タバコを吸いながらの言い回しにこだわってオーディションを受けた記憶があります。
――伊藤さんは、物語に触れたときの印象はどんなものでしたか?
伊藤:物語に最初に触れたのがオーディションのときで、資料を見て「業界モノ、仕事モノなんだ」という感じだったんです。てんちょー役に決まってから、じっくり読もうと思って原作を買ったんですね。で、読み始めたら「俺の青春時代の話だ!」みたいな(笑)。で、美少女ゲームの歴史というものを描いている。
まさに僕が学生の頃は、お金持ちの先輩んちじゃないと、PC-88や98は持っていなくて。そういう機会がなければ、美少女ゲームもできなかったという、青春時代の原初のリビドーが詰まっていたんですよね(笑)。話の内容を把握してワクワクが止まらなかったんですが、同時に「どうアニメ化するんだ?」と思いました。
でも潤くんと一緒で、そうかそうか、今を生きている新たなヒロインがタイムリープをして、僕らの時代に来ることで物語ができてくるんだっていう、アニメと原作の二重構造の世界観で深掘りしていくというのは非常に面白いなと。すごくノスタルジーを感じつつ、新しさも感じるタイトルだなと、台本を読んで確信しました。
――このアイデアは、もはや発明だなと思いました。
福島:キャストの世代もしっかり分かれているのも特徴的ですよね。
伊藤:いや、そこなんだよね(笑)。最初に香盤表をもらって顔ぶれを見たとき、特にほっちゃんとか川澄(川澄綾子さん/かおり役)に関してはすごく嬉しかったし、他の子たちで出せる空気感ではないだろうなって思いましたね。
福島:コノハ役の古賀ちゃん(古賀葵さん)に関しては、完全にタイムリープして、僕らと一緒にアフレコをやっていましたしね。
伊藤:キャスティングの妙として、第1話から古賀ちゃんの演じるコノハのしゃべり方やテンション感を、現代の若い人のような演技に極端に振る演出が多かったんです。これには何か意味があるんだろうなと思っていたら、我々アルコールソフトの芝居感から、世代を浮かすという意図がしっかりあって、そういうところも含めて、時代を逆行していく空気感を作ろうとしていたんだなって感じました。そういう作り手の思いを感じると、こっちもやる気が出るんですよね(笑)。
福島:それでみんな、アクセントに困っていましたけどね(笑)。
伊藤:「カタカナ読みが平板化したのって何年頃だ?」ってね。
――その時代を生きていても、いつから変わり始めたのかって覚えていないんですよね。
伊藤:確かに。ポケベルや携帯電話とかのギアの変化や、秋葉原の街並みの変化とかはリアルに追っているから把握しやすいんですけどね。でも、なんとも言えない懐かしさがありました。
福島:世代が上の人は懐かしく見られるし、若い人は主人公目線で、タイムリープをして、「こんな時代があったんだ!」って楽しめるから、幅広い世代の方に楽しんでもらえる。本当によくこんな設定を思いつきましたよね(笑)。
――若い人はどう思うんですかね。90年代って結構ヤバかったですよね。いろいろと。
伊藤:今は、あんなに人がいる中でタバコを吸えないですからね。
――昔は、駅のホームで普通に吸っていましたし、職場でもその場で吸っていましたからね。副流煙を吸わされ続けた記憶があります。少し話が逸れましたが、伊藤さんはてんちょーについて、どんなキャラクターだと思いましたか?
伊藤:オーディションの原稿に、もう皆さんもご存じの、彼が大きくやらかしてしまうくだりがあったので、どんな人なのかは分かりやすかったんです。でも、調子に乗ってやらかすというあの流れは、自分的にも胃が痛くなる思いがあって。僕も小さいながらも劇団という組織をやっていた頃に、自分の城を回そうとしながらも、周りのスタッフにジェラシーを感じたりしていたので、「俺だって頑張ってんだよ」みたいなセリフは、ジャンルは違えど、正直「分かるよ!」っていう思いがありましたね。なので役に決まって嬉しかったです。
――実は共感できるキャラクターでもありますよね。
伊藤:そうなんですよ。実はこの中では一番人間っぽい部分が見えてくるキャラクターなので、そこを僕も人としてしっかり演じようと思いました。
――お二人のお芝居の良さというのは他作品で知っていますので、楽しみだなと思っていました。
伊藤:でも、ダイレクトな絡みはあまり多くなかったよね?
福島:そうですね。しっぽり大人同士の会話とかもやってみたいです(笑)。
伊藤:全然そんなシーンはなさそうだけど。
福島:原作ではあったんですけどね。