『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』エスピラール・ロタシオン役 三木眞一郎さんインタビュー【連載第22回】|エスピラールはすごく真面目で、かわいいし、不器用で、けっこうかわいいやつですよ
全世界シリーズ累計発行部数7,200万部超の大人気コミック『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(著・和月伸宏/ジャンプ・コミックス ※「北海道編」はジャンプスクエアにて連載中)の新作TVアニメが、7月6日よりフジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送スタート!
連載開始から約30年を経ての新作TVアニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』。色褪せることのない、王道にして普遍的な物語、登場人物たちの苛烈な信念を、今再び鮮烈に映し出す──。
アニメイトタイムズでは、それぞれの信念を抱え新しい時代を生きる魅力的なキャラクターを担当するキャスト陣らにインタビューを実施! 第22回は、エスピラール・ロタシオン役・三木眞一郎さんに、作品の魅力やキャラクターへの思いをお伺いしました。
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三木さんが感じる『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の魅力
――『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』という作品について、原作漫画を読んだ時の印象や感想をお聞かせください。
三木眞一郎さん(エスピラール・ロタシオン役/以下、三木):まず絵柄が好きでした。それから、「終わらねぇな」と思っていました(笑)。
次から次へと敵が出てくるじゃないですか。でも、それが本当に嫌な奴だったりもするけど、個人で胸に秘める思いがある人たちだったりもします。
原作漫画を読み進むと、そういった人が味方になったりもするんだけど、「ここまでやっても、次にまたこんな人が出てくるのか?」というのがあって、それで「まだこんな辛い思いをしなくてはいけないの?」という感想ではありましたね。
――三木さんが感じる『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の魅力を教えてください。
三木:ありきたりですけど、フィクションとはいえ、歴史を踏まえた上での細かいところであったり、生活している人たちの描写を含めてあったり、そこに出てくる人たちの思いがあったり、そういったものが複雑すぎない。
かといって、簡単に描かれているわけでは当然ないんですけど、複雑すぎると、一人一人たぶん放り込んで込んでいくのが難しくなってしまうかもしれないから。この作品はとてもいい塩梅で描かれている気がします。
――町の人たちが生き生きと描かれていますね。
三木:そうなんですよね。それがすごくいいなと思っています。そういうところがないと、登場人物の怖さや強さというのが周りの反応でわかってくる部分もあったりするじゃないですか。そういう町の人たちとか、そういった世故もちゃんと描かれているのがすごくいいのではないかなと思います。
三木さんとエスピラール・ロタシオンの関係
――三木さんから見たエスピラール・ロタシオンの印象や魅力をお聞かせください。
三木:不器用なんだろうな、と思います。日常生活は普通に送れているんだろうけれど、自分の求めているものに真摯に向き合っている時間が長い分、不器用になっている印象があります。
でもそれは周りが勝手に決めることで、本人は自分が不器用だと思っていないですし、僕からは不器用に見えるだけですので、人から見たら違うかもしれないです。人によって誤解が生じかねないですから難しいんですけど、僕の個人的な印象です。
僕は彼と仲良しなので、そう感じますけど、そうではない人から見たら、言い方は悪いですが、ちょっと気が触れている人に見えなくもないだろうなという気がします。
――エスピラール・ロタシオンに取り組む時には、気が触れている、狂気というのは意識されていますか。
三木:狂気の部分は特に意識していません。昔でいえば、吊木光(『KEY THE METAL IDOL』)やクリード=ディスケンス(『BLACK CAT』)というキャラクターをやらせていただいていますけど、彼らは別に狂気然として、狂気をやっているわけではないです。外側から入ると、絶対に失敗するんですよ。だって結果だけを追いかけて真ん中がないわけですから。
僕なりの解釈にはなりますが、そういう狂気という部分は、周りが当てはめているものだなと思っています。
僕から見たら、エスピラールはすごく真面目で、不器用で、けっこうかわいいやつですよ。
――真面目という感じがしますね。
三木:たぶんですが、出自は悪くないんじゃないのかと……。もしくはそうでなかったとしても、師匠にあたる人にきっちり育てられている部分なのかもしれない。それは見てくださる人の想像にお任せします。
――エスピラール・ロタシオンに共感できるところやご自身との相違点などがあればお聞かせください。
三木:彼のことはわかる気はしますよ。何かを求めていく部分というのは、僕もこの仕事をやらせていただく中で、自分のできることしかできないですけど、理想とする声優像があって、少しでもたどり着きたいとは思っているので、彼の持っている、求めている部分とは違うけど、わからないでもないなという気はします。
今でいうと、YouTubeで好きなものを見て、気が付いたら朝になっているみたいなこと。それは好きな時に発揮される集中力みたいなもので、持続力という部分に関しても同じです。
その時間に対しての密度というのは、少しずつ変化するけど、心の中にあるものとしては絶対変わらない部分があるという意味で、エスピラールの持っているものと、僕が自分で理解している自分の部分というのは似ているなと感じています。
どうして僕がそう言ったのかは、後編(第21話「第零幕 後編」)を見ていただくと、わかりやすくなるかと思います。ぜひ後編も見ていただくと、たぶん僕の今言ったことが伝わるかもしれないですね。
――三木さんから見た緋村剣心はどのような印象でしょうか。魅力を感じる点などがあれば教えてください。
三木:「もうちょっとリラックスできる時間を持った方がいいんじゃないの?」と……。物理的にも、気持ち的にもずっと張っているわけですから、なかなかそんな時間は持てないかもしれないですが、本当に大変そうだなと思います。自分でしんどいと気が付いていないようなので、いいんですけどね。
――それが日常なんですかね。
三木:だと思うんですよね。それを好きで選んでいるわけですからね。例えば、マラソン選手が当たり前にマラソンを走っているようなもので、通りすがりに「もうやめなよ」とは言えないでしょう(笑)。好きで選んだものを自分の意志で邁進している人たちですから。
ただ、とても大変だと思いますよ。そこは絶対に俺は憧れないと思います。嫌だもん、もう酒飲んでダラダラしたいもん(笑)。
――過酷ですよね。
三木:過酷ですよ。だからこそ、こんなに長い間、人に愛される彼にはなっていないと思いますよ。僕はエスピラールの声だけしかやっていないので、あんまり偉そうなことは言えないですけど。