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『ひきこまり吸血姫の悶々』南川達馬監督が第8話までを振り返る/インタビュー

烈核解放シーンは撮影部の技術の結晶――『ひきこまり吸血姫の悶々』南川達馬監督が第8話までを振り返る|サクナの部屋はEDアニメーション1本分の労力!?/インタビュー

監督が見てほしいシーンはサクナの“ヤバい部屋”!

――後半では、新キャラクターが多く登場します。キャストもとても豪華でした。

南川:そうなんですよ! 敵役なども、ものすごい方々に演じていただけて、本当にありがたかったです。何で受けてくれたんだろうって思いますが、おかげさまでこちらはラクできています。

――まず女性の新キャラクターから伺いたいのですが、コマリとヴィルが主軸としてありつつ、第5話からはサクナ・メモワール(CV.石見舞菜香)が出てきました。女性キャラクターの魅力を、どう描いていきましたか?

南川:キャラクターは原作で見事に描かれていまして、それを動かして、表情や声が付くのがアニメが初めてということになるんですが、どの新規の女子キャラクターも、ファーストインプレッションが分かりやすく、他と似ているものがない差別化されたキャラになっているんです。

でも、この作品の不思議なところは、みんな裏の顔があって、それが結構激しいんですよね(笑)。サクナも、最初はおとなしい系かなと思っていたら、秘めたるものや……みたいな感じでしたし。

そんなギャップを見事に演じてくれていたので、表情を作る作画も、声に負けないようにするのが大変でした。声に関しては皆さん100%間違いないっていうくらい、いい感じのキャラクターになっていたので、見ていて楽しかったです。

――作業の順番もあるとは思いますが、声も意識しながら作画ができたところもあったんですね。

南川:そうですね。やっぱり声と表情はズレないほうがいいので。サクナはキャストも濃くて、声も唯一無二だし、緩急だったり感情の表現だったりの演技力も素晴らしかったです。

特にコマリとヴィルというメインがいる中、あとから入ってくるので、そこにすぐに馴染んでバランスを取らなければいけないと思うんですが、そこの感覚も素晴らしかったので、何の問題もなかったです。

――確かにサクナも、かなり表と裏がはっきりしていましたからね。ちょっとストーカーなところとか、脅されているとは言え、少し怖い部分も見事に演じられていて。

南川:サクナはシナリオ的に、普段とのギャップの振れ幅が大きければ大きいほどキャラが立つ感じだったので、どこまで行けるのかというところだったんですが、石見さんは120点の振れ幅だったので、「こんなに差って出るんだ!」と驚きました。すごかったです。

――第7話で七紅天闘争がありましたが、ここも大変そうですよね。

南川:ここは大変でしたね(笑)。各勢力が広大な土地で戦うという局面だったので、軍隊もいっぱいあるし、アニメでやるのは大変なんです。作業のカロリーコントロールはしつつ、でも(視聴者には)伝わらなければいけないという……。コマリとヴィルに関しては、騎獣に乗ってずっとパカラパカラ走っていましたからね(笑)。「騎獣」と言っても足の運びは馬と同じなので描くのが難しいんですよ。そこはシナリオ段階で分かっていたので、馬の動きなどを描くのに定評のある方がやってくれていたりします。あとはモブたちがウワーっと動いていったり、爆発とかもしていたので、カットも多めに割って、退屈しない感じにはなったのかなと思います。

――第9話以降は、どんなところが見どころになっていきますか?

南川:コマリのいるムルナイト帝国から別の国まで出張するような感じになるんですが、そこでも新キャラが追加されて、また新たなヒロインたちが出てきますので、その子たちの掛け合いやしゃべりが面白いところですね。

あとは敵の強大さですね。戦場がえらいことになりますから。大群が出てくるし、建物も倒れるので、このあたりにマックスを持ってこれるように、コントロールをしているところです。

――キャラクターの見どころはやはりネリア・カニンガム(CV.ファイルーズあい)とアマツ・カルラ(CV.島袋美由利)になりますか?

南川:そうですね。ガートルード(CV.日高里菜)も加えた3人がコマリたちと絡むので、このあたりも途中から参加する演者の難しさみたいなところがあったと思いますが、問題なく素晴らしい掛け合いができていたので面白かったです。

あとはメルカ(CV.上田麗奈)とティオ(CV.水野朔)っていう新聞記者の出番も少し増えたりもするんです。この子たちも素晴らしいキャストさんがやってくれているので、セリフとしては少ないんですが、キャラが立っていたし、上手く馴染んでいたと思います。

――ネリアとカルラのお芝居はいかがでしたか?

南川:ネリアは基本気性が荒いんですが、活発なところから、この先でぐ#### ――んって沈むところがあるんです。そこでどれだけ沈めるかというギャップが必要なんですが、ファイルーズさんが見事に演じてくださいました。そこは作画でも丁寧に描くという前提で考えていたので、その感情線に演技もうまく乗せていただけて良かったです。しかもそのあとまた戻ったりするんですが、切り替えが見事で、間違いなかったですね。

カルラはコマリと対になるポジションで、同じようなところもあるんですが、バックボーンも違うので、コマリとは違う感じに演じなければいけないんです。そこの差別化も難しいし、4話でキャラを立たせなければいけないのでハードルも高かったと思うのですが、見事に定着する感じでパンチのある演技をしてくださいました。

この作品は、ひとりでもキャラが崩れたら終わりなので、皆さんすごく良かったですね。やっぱり声はあとから変えられないところなので。

――第8話のラストで出てきたマッドハルトは、井上和彦さんが演じているんですよね。

南川:もうとんでもない大御所の方なんですが、これは僕のわがままでもありました。音響監督さんと話しまして「このキャラなら、こういう感じの役者さんが来てくれると僕は感無量ですね」って笑って伝えたら、本当に来てくださったという。なぜ受けてくれたんだろうって思いましたし、アフレコでお会いしたときはやっぱりドキッとしちゃいました(笑)。

平均年齢が若い座組で、年齢が上でもアルマン役の福島潤さんくらいだったので、そこからグンと世代が上がった感じがしますよね。でも、その中に混ざって普通に会話をしている井上さんを見て、またドキドキしてしまうという……。

――皆さんが一緒に収録できていたのは、良いことですね。

南川:音響さんが皆さんのスケジュールを合わせてくれていたので、一堂に会して収録することができていたんです。あとからキャラクターが増えていく作品ですが、そこでコミュニケーションがちゃんと取れていたのが、良い連携に繋がっていたのかなと思います。

――特にコメディがあると、掛け合いの呼吸感も大事でしょうし。

南川:そうですね。最終的に敵側に渋い方が多く、レインズワースも岡本信彦さんで、他の作品だと主役をやるような方ですが、レインズワースは悪い奴なので、悪い奴の声をきれいに入れてくれていました(笑)。ネリアとの掛け合いが多く、そのあたりも際立っていました。

――キャストの豪華さは見どころになりそうです。

南川:ただ有名な方というのではなく、キャラクターにちゃんと合っている上で、確固たるものを持っている方が揃ってくれたので、確実に見どころになっていると思います。

――最後に、ここまでで監督のお気に入りのシーンはどこでしょうか?

南川:それぞれにあるんですよね。でも、今思い出しました。サクナの部屋ですね。あれはすごく苦労したんですよ!

――コマリだらけのオタク部屋ですね。もしくはストーカー部屋。

南川:ストーカーだから写真を貼りまくっているわけですが、アニメでやるとしたら、写真は全部違うものにしないといけないんですよね。あげくマネキンがいっぱい立っているから空間としても使いづらくて(笑)。カットごとに変化していたらホラーになるので、ちゃんと合わせなければいけなかったし。

――というか、写真が違うってものすごくないですか?

南川:そうなんですよ。あの部屋の背景は1枚で描くものではないんです。「壁に写真がいっぱい貼ってある」と原作で書いちゃっていたから、これはもう逃げられないなと(笑)。

描くに当たってはシチュエーションを決めて、10数パターンの盗み撮り風の写真を全部描いて、それを背景さんに貼り込んでもらっているんです。これはエンディングアニメーションをもう一つ作るくらいの労力がかかりました(笑)。

――シチュエーションを決めているのはすごい。

南川:自分で絵コンテを描いて、写真を描いてくれるアニメーターと打ち合わせをして、自分でチェックをしていたんです。サクナが日常のコマリを追っているとしたら、多分ここまで来ているとか(笑)。徐々に近づいていったりもしているんですよ。最初はドアの外から覗いているのが、次のカットを見たら、執務室で目の前で俯瞰から撮っているという、ゼロ距離まで近づいたストーカー写真もあるんです。それがランダムに貼ってあったりするので見てほしいです。すごく頑張ったので(笑)。本編とはあまり関係ないんですが、あの写真をグッズとかにしてほしいです(笑)。しかもエンディングの原画をひとりでやってくださった倉橋N濘さんが全部やってくれているから、クオリティもすごく高いんです。

[文・塚越淳一]

TVアニメ『ひきこまり吸血姫の悶々』作品情報

放送情報

★2023年10月より放送開始!
TOKYO MX:10月7日より毎週土曜22:30~ BS日テレ 10月7日より毎週土曜23:00~
MBS:10月10日より毎週火曜27:30~
AT-X:10月11日より毎週水曜22:00~
※リピート放送:毎週金曜10:00~/毎週火曜16:00~
※放送日時は変更となる場合がございます

配信情報

<独占先行配信>
ABEMA:10月7日~毎週土曜22:30より配信
※ABEMAプレミアムでは10月7日~毎週土曜12:00より先行配信

<その他プラットフォーム>
★10月10日~毎週火曜日24:00より順次配信
dアニメストア/Amazon Prime Video/U-NEXT/アニメ放題/FOD/バンダイチャンネル/ふらっと動画/TELASA/J:COMオンデマンドメガパック/auスマートパスプレミアム/milplus/HAPPY!動画/Hulu/Googleplay/ニコニコ/DMM TV/MBS動画イズム/TVer

イントロダクション

ムルナイト帝国の名門貴族ガンデスブラッド家の令嬢、テラコマリ・ガンデスブラッド。

吸血鬼なのに血が飲めないコマリは、魔法が使えない、運動ができない、背が伸びないという三重苦に悩まされ、3年間の引きこもり生活を送っていた。

しかし、ある日親バカの父がとんでもない就職先を見つけてくる。その名も『七紅天大将軍』! それは本来帝国の猛者しかなれず、3ヶ月に一度のペースで他国に戦争を仕掛け勝利しなければならない超ハードな役職。さらに部下たちは元犯罪者ばかりで将軍に就任したコマリに対して下剋上を狙う気満々......。

絶対に断りたいけど、皇帝直々の任命なので辞めることすら許されない。

本当の実力がバレたら即破滅なこの状況......それでもコマリはハッタリと可愛さを武器に己の任務を遂行する! 

「私がこれから為すことはな、単純極まりない覇業だ! すなわち、テラコマリ・ガンデスブラッドは――他の5カ国の大将軍を武力で全員ブチ殺し、ムルナイトの国威を全世界に喧伝してやるのだ!」

最強(!?)吸血姫による歴史に残る快進撃がここに始まる!

スタッフ

原作:小林湖底(GA文庫/SBクリエイティブ刊)
キャラクター原案:りいちゅ
監督:南川達馬
シリーズ構成:大知慶一郎
キャラクターデザイン:下谷智之
サブキャラクターデザイン:倉橋N濘・阿見圭之介
プロップデザイン:髙木あゆみ
アクション監督:髙木啓明
美術設定:高橋麻穂
美術監督:葛琳
色彩設計:林由稀
撮影監督:上條智也
編集:丹彩子
音響監督:高橋剛
キャスティングマネージャー:泊一平
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
音楽:椎名豪
アニメーション制作:project No.9

オープニングテーマ:fripSide「Red Liberation」
エンディングテーマ:MIMiNARI「眠れない feat.楠木ともり」

キャスト

テラコマリ・ガンデスブラッド:楠木ともり
ヴィルヘイズ:鈴代紗弓
サクナ・メモワール:石見舞菜香
ネリア・カニンガム:ファイルーズあい
アマツ・カルラ:島袋美由利
カレン・エルヴェシアス:日笠陽子
ミリセント・ブルーナイト:雨宮 天
ガートルード:日高里菜
峰永こはる:木野日菜
メルカ・ティアーノ:上田麗奈
ティオ・フラット:水野 朔
カオステル・コント:花江夏樹
ベリウス・イッヌ・ケルベロ:水中雅章
メラコンシー:畠中 祐
ヨハン・ヘルダース:小林裕介
アルマン・ガンデスブラッド:福島 潤

公式サイト
公式ツイッター(@komarin_PR)
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原作情報

小説

『ひきこまり吸血姫の悶々』
SBクリエイティブ GA文庫刊 1~12巻好評発売中
著:小林湖底 イラスト:りいちゅ、
原作公式サイト

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コミカライズ

ビッグガンガンコミックス
既刊1巻~3巻好評発売中
原作:小林湖底(GA文庫/SBクリエイティブ刊)
キャラクター原案・漫画:りいちゅ

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