『聖剣学院の魔剣使い』原作者・志瑞祐先生×近藤千昭プロデューサーインタビュー|「レオニスは魔王になったことで本来の自分を解放できた」【連載第5回】
累計発行部数200万部を超える人気シリーズ『精霊使いの剣舞』の著者・志瑞祐先生と、『ガーリー・エアフォース』のイラストレーター・遠坂あさぎ先生のタッグで送る『聖剣学院の魔剣使い』。本作は10歳の姿で蘇った魔王・レオニスと彼の覚醒の瞬間に立ち会ったリーセリアたちが織り成す学園ソード・ファンタジーシリーズで、TVアニメが10月2日(月)より放送中です。
アニメイトタイムズでは、本作のインタビュー連載を実施! 第5回は原作者・志瑞祐先生と近藤千昭プロデューサーに、アニメ化に至るまでの裏話や最終話の見どころなどについてお話を聞きました。
色々なことを想像させる筆力が志瑞先生作品の魅力
――志瑞先生は本作のアニメ化のお話がきたとき、どのようなお気持ちでしたか?
志瑞祐先生(以下、志瑞):私が書いた小説をアニメ化していただくのは2回目なのですが、やっぱりすごく嬉しくて。自分の描いた小説、登場人物が動いて喋ることに勝る喜びはないです。
近藤千昭プロデューサー(以下、近藤):ありがとうございます。最初に原作を拝見したとき、読者を飽きさせない工夫がすごいなと思って。例えば、レオニスがリーセリアを眷属にするシーン。あそこのモノローグでレオニスは、「俺は魔王だ。人間の命などどうでもいい」と言いつつも、最終的にはリーセリアを助けます。このように、右に行くのかなと思わせて左に振るというような一本調子じゃない展開が続いていくので、どんどん物語に引き込まれていくんですよね。
志瑞:ありがとうございます。
――そんな本作をアニメ化しようと思ったきっかけは?
近藤:プロデューサーそれぞれの意見があると思いますが、僕個人がアニメ化する際に大切にしていることのひとつは、1話の約20分の間で気持ちいいところまで描けるかどうか。本作は冒頭の霊廟のシーンから「第〇七戦術都市」に向かうシーンまでを綺麗に描けると思い、ぜひやりたいと手を挙げさせていただきました。
――先生からはアニメ化するにあたり、何かリクエストなどはされましたか?
志瑞:アニメ化する際、尺の都合上でどうしても原作からカットされるシーンがあります。特にコメディ描写などはカットされがちなのですが、尺の許す限りは入れて欲しいと脚本会議のときにお願いしました。
例えばレオニスがジェットバスに驚くシーンや、「将来、夜の魔王になっちゃうわよ?」っていうギャグが出てくるシーン。物語の進行上は特になくてもいいシーンかもしれませんが、ああいう積み重ねが味になっている作品だと個人的には思っているので、できれば入れて欲しいとリクエストしました。
――アニメ化するにあたり、近藤さんのほうでこだわった点も教えてください。
近藤:先生の作品の魅力は、キャラクターたちのかわいさやストーリーの面白さに加えて、一言で色々なことを想像させる筆力もあると思っていて。例えば、レオニスが過去に人類との間に何かあったという直接的な描写がなくても、「戦時下の国の空気は知っている」「人間は変わらないものだ」というような彼の一言から想像することができるんです。
世界観に関しても、具体的な描写がなくとも「すごそう」と思わせてくれるんですよね。読者の想像力を掻き立てる力がすごいと感じました。ただ、それをアニメにするというのは難しくて。というのも、アニメはどんどん映像が流れていってしまうので、小説と違って読者が立ち止まれる時間がないんです。
――小説や漫画だと、読むペースを自分で調整できますもんね。
近藤:そうなんです。なので、演出力のある方、しっかりとドラマや世界観を作り込める方でないと作品の魅力を損ねてしまうと思い、制作会社のパッショーネさんと相談してスタッフ陣を決めさせていただきました。
また、ドラマだけでなく、遠坂先生のキャラクターのかわいさも絶対におさえなきゃいけないと思い、パッショーネさんが別作品でもご一緒していた野口孝行さんにキャラクターデザインをお願いしました。そこがプロデューサーとしてこだわった点ですね。