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『聖剣学院の魔剣使い』志瑞祐先生×近藤千昭プロデューサーインタビュー【連載第4回】

『聖剣学院の魔剣使い』原作者・志瑞祐先生×近藤千昭プロデューサーインタビュー|「レオニスは魔王になったことで本来の自分を解放できた」【連載第5回】

 

霊廟から出て「第〇七戦術都市」がパーッと広がるシーンはワクワクしました

――アニメもいよいよクライマックス。ここまでの物語を振り返ってみての感想をお願いします。

志瑞:最初に映像を見せていただいたとき、第1話の映像が美しくて圧倒されました。冒頭でレオニスと六英雄が戦闘するオリジナルシーンが描かれていたのですが、その迫力がすごくて。あとはキャラクターの目のデザイン。遠坂先生の味をすごく表現してくださっていると感じたんです。劇伴の音楽や声優さんたちの演技も含めて、総合的に小説では描けなかったことが映像になって、パワーアップしたなと思いました。

 

 

――特にこれは小説では表現できなかったと感じた部分は?

志瑞:アニメならではだと、やっぱり魔法のエフェクトですかね。小説を書いているときは頭で抽象的に想像するだけでしたが、実際に映像になって解像度が上がりました。「力場の障壁」とか、重力系統の魔法とか、作者本人のはずなのですが、「こういう魔法だったんだ!」と驚きっぱなしでしたね(笑)。ハイペリオンも、戦艦とクルーズ船の間という現実には絶対にないようなデザインなんですけども、完璧に形に落とし込んでいただいていて、ありがたかったですね。

――近藤さんはアニメをご覧になっていて、いかがですか?

近藤:後半の話数で驚いたのは、ヴォイド・ロードであるティアレスのシーン。巨大な敵なんですけども、それが登場してビルを壊すところは、小説を読んでいるときに映像化は無理だろうなと思いました。というのも、実は怪獣映画のような巨大なものが街を壊すようなシーンの絵作りって、ちょっと難しくて。どうしても巨大感が上手く出なかったり、チープになってしまったりしがちなんです。ここは違う表現の仕方にしたほうがいいのではと個人的に思っていたのですが、制作スタッフのみなさんが「極力原作の形を変えたくない。できる」と言ってくださって。実際、アニメを見たらしっかりと重量感が出ていました。あそこは監督を含めた制作陣の力が光るシーンでしたね。

 

 

――その他、本作のなかで印象深いシーンを教えてください。

志瑞:第1話の最後で霊廟から出て「第〇七戦術都市」がパーッと広がるシーンは印象的でしたね。朝日が昇って、ファンタジーの世界からSFの世界へと移行するようなあの描写は、非常にワクワクしました。あとは第8話でリーセリアがミサイルから出てくるシーン。「なんであそこから人が出てくるんだよ!」というツッコミどころ満載のシーンですが、メチャクチャカッコよく演出されていて。タイミングも完璧でした。その他、パッショーネさん渾身のお色気にも拍手です(笑)。

近藤:ですね(笑)。私も色々と印象に残っているのですが、制作時の話も含めると、魔王・レオニスの根城である黒の要塞<デス・ホールド>ですね。ファンタジー作品の中世の城って、土台があって、その上に第2、第3階層があって、何となく三角形という感じのものが多い気がしていて。一方で、今回の<デス・ホールド>はタワー状で、細かくドクロが配されたゴシック建築的だけどもちょっと違う雰囲気を醸すディテールのもので。確か美術・背景設定の初期段階で線画が上がってきたのですが、度肝を抜かされました。制作スタッフのみなさんがオリジナリティを出そうとしていることが伝わってきて、とても印象に残っていますね。

 

 

どや顔して「俺が魔王だ」みたいなことをしているのが本来のレオニス

――今回の連載のなかで、キャスト陣から「レオニスはいい上司という印象がある」という話が挙がりました。先生はレオニスをどういう人物として描いてきましたか?

志瑞:レオニスはもともと人間の勇者であったものの、裏切られて魔王になります。ただ、魔王になった後も特に人間を恨んで戦っているという訳でもなくて。実は魔王になったことで、本来の自分を解放できたキャラクターなんですよね。勇者のときは無理をしていたというか。敵を目の前にしてもどや顔して「俺が魔王だ」みたいなことをしているのが、本来のレオニスなのかなと。子供の演技をしているときも何だかんだ楽しみながらやっているんじゃないかな。

――勇者の頃のレオニスは、どちらかというと求められているからそういう行動をしていた。

志瑞:はい。経緯自体は人間に裏切られてということですが、本当は最初から魔王に向いていたのかもしれません。

――そんなレオニスは、仲間や自分のテリトリーは必死で守るという一面も見せます。

志瑞:ファミリー重視ですよね。身内がやられたらやり返すみたいな。身内には甘く、敵には厳しいマフィアのドンみたいなタイプなのかなと。

 

 

――リーセリアについてはいかがでしょうか?

志瑞:リーセリアは悲劇的な過去がありながらも一生懸命に頑張っている子で、面倒見もいい理想的なお姉さんです。とは言え、まだ15歳でまっすぐゆえの未熟さもあって。しっかり者なんだけれど、ポンコツなところが結構あるんですよね。そういうところがかわいらしいキャラクターだと思います。

――キャスト陣からは、「強くあろうとする女の子」という話が挙がっていました。

志瑞:彼女は聖剣が発動しないというコンプレックスを抱えています。それでも、例え聖剣がなかろうとも戦っていくという心の強さは描きたいなと思っていました。

――リーセリアは眷属になった事実を知っても、それほど戸惑う素振りを見せませんでした。個人的にはああいう姿もすごく印象的で。

志瑞:リーセリアにとって大事なのは、自分がまだ人類のために戦えるかどうか。自分が死んでいようが吸血鬼になろうが、それを達することができるなら問題ないんですよね。受け入れるのが、人よりも早過ぎる人物ですよね。そういう意味では、ちょっと変な子でもあります。

――個人的には、レオニスに仕えるメイドのシャーリ・シャドウアサシンが、物語のなかでいいアクセントになっていると感じました。

近藤:そうですよね。

志瑞:シャーリは忠誠心が高い眷属のひとりです。レオニスに雑な発言をしたり、不遜なことを言ったりするのですが、本来の忠誠心はすごく高いんですよね。

 

 

―― 一方でブラッカスは、忠誠心の高さも感じられつつ、どちらかというと戦友ポジションのように感じます。

志瑞:ブラッカスは配下ではなく友人、同盟者なんです。シャーリとは立ち位置が違うんですよね。シャーリとブラッカスが並んでいることが多いので、助さん・格さんみたいに見えがちですが、地位に関してはシャーリよりもブラッカスのほうが遥かに上。戦闘能力もブラッカスのほうが高いです。シャーリ的にはブラッカスは上司にあたる感じですね。ブラッカスとレオニスは友達みたいな感じです。

近藤:アニメのCパートのせいで、横並び感が少し強くなってしまったかもしれないですね……! あそこはパッショーネさんのプロデューサーからやりたいと提案いただいたものだったのですが、SNSでの反応などを見ると評判がよくて。先生に怒られるんじゃないかとひやひやしていましたが、やってよかったと安心しています。OKしていただき、ありがとうございました。

志瑞:すごく面白くて、毎回楽しみにしています(笑)!

 

 

(C) 志瑞祐・遠坂あさぎ/KADOKAWA/聖剣学院の魔剣使い製作委員会
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