大人のSNS=スナックネットワークサービス? 冬アニメ『スナックバス江』放送開始記念! ナレーションで参加した玉袋筋太郎さん、芦名みのる監督、スナックをこよなく愛するふたりが語り合う
『週刊ヤングジャンプ』で連載中の『スナックバス江』(原作:フォビドゥン澁川)のアニメ第1話がついに放送になりました。本作はスナックを舞台にバス江ママ&チーママの明美と、珍妙なお客さん達が織りなすギャグコメディ。第1話の導入で語り部を務めたのは、一般社団法人全日本スナック連盟会長でもあり、『スナック玉ちゃん赤坂本店』のオーナーでもある芸人・玉袋筋太郎氏。
本作の監督であり、現役の獣医師でもある芦名みのる監督とは本作をきっかけに出会い、今では玉袋氏が経営するスナック『スナック玉ちゃん』にも通うほど。今回のアフレコ現場でも、お互い和気あいあいとしたムードで収録は進みました。
アフレコ後のインタビューでは、スナック文化をこよなく愛するふたりだからこその名言が飛び交いました。スナックにいる気分で、おふたりの会話をお楽しみ下さい。
「ようやく時代が追いついてきた」
──今日のナレーションの収録はいかがでしたか?
玉袋筋太郎さん(以下、玉袋):アニメで言うと最初の掴みだからさ。失敗したと言われたら大変だよ、だから、ちょっと二日酔いのまま来ちゃった。専門外のことだからシラフじゃできねぇよなと(笑)。しかしね監督、ようやく時代が追いついてきたね。スナックが舞台だよ。
芦名みのる監督(以下、芦名):ですよ。っていうか俺、玉袋さん
玉袋:玉ちゃんでいいよ。
芦名:気を使ったのに(笑)。っていうかね、玉ちゃんと昼間に会うのは初めてですよね?。
玉袋:そうだよ。だってさ、照れくさいじゃん。目を合わせられねぇよ。俺たちお互いシャイだからさ(笑)。まあ、そういう属性の人がスナックに訪れることも多いと思うんだよ。なんつうか、スナックって人間動物園みたいなもんだから。さまざまな人種が集まって、ドラマが繰り広げられていて……。動物園だな。
芦名:わかる! あと、大人の保育園とかそういう感じ。
玉袋:そうそう。。で、時にはメンタルクリニックにもなる。スナックっていろいろな舞台になることができるから、そこら中に物語が広がっていると思いますよ。多いときは日本全国に15万軒あったスナックだけど、今は7万軒くらいにはなっちゃったんだよ。減っちゃったの。でもさ、7万軒あるってことは、一夜にして7万話が生まれるんだよ。だから原作者のフォビドゥン澁川さんは、ネタが枯渇することはないと思うね。
芦名:先生って6年間連載されていて、1回も休んだことがないんですよ。
玉袋:そりゃすごいね。
芦名:むちゃくちゃ真面目な方なんですよ。でも先生は「ギャグだから、実際のスナックと比べたらひどい話もあえて描いている。でも、本当にひどい事はメインのキャラクターには言わせないようにしている」っておっしゃってました。すごい考えられているんですよね。だから、キャラクターみんなが魅力的に感じられるし、演じている声優さんたちも自分が演じるキャラクターのことをみんな「良いなぁ」って言ってくれるんです。
玉袋:そりゃ良いことだよ。
芦名:ね。「スナックバス江があったら通いたい」ってみんな言ってくれて、場末になってませんが(笑)。
玉袋:スナックって水商売のど真ん中だと思うんだよ。そんなスナックをテーマにした作品で、あえて自虐的にバス江って言ってるところが良いじゃん。わきまえてる感じがね。そこがキャバクラとは違うところなんじゃないかな。
芦名:これ読んでる人の中にはキャバクラとの区別がつかない人もいるとは思うんです。
玉袋:キャバクラの場合はね、お姉ちゃんたちの間にノルマがあったり、色々売上的なものあるじゃない? まあ、場所によるだろうけど、いろいろ決まりも多いと思うんだ。でもスナックはノルマもマニュアルもねぇからさ。色々自由にやった結果、繋がっていられる。そういうずっと繋がってる感じが良いんじゃないかな。
芦名:わかります。スナックにハマってると、「最終的にスナックに帰ろう」って感じになるんですよね。
玉袋:そうそう。釣りと一緒でね。「鮒に始まり鮒に終わる」って言うじゃないですか。最終的に戻ってくる。それがスナックだと思いますよ。監督も俺もいろいろな場所で遊んできましたけど、最終的にはスナック。だから「おかえり」で迎えてもらえると「恥ずかしながら帰ってまいりました」と。
──人を育ててくれる場所でもあるんでしょうね。
玉袋:そうだね、スナックって人を育ててくれるところもあると思うよ。20代の時はレベル1。でも通うことによってレベルアップしていく。そうするとね、呪文を唱えられるようになるのよ。知らないおじさんの曲を聴いて、最初は分からないかもしれないけど、聴いてるうちにだんだんと覚えてくるから。そうすると、自分のレパートリーも増えていく。
芦名:その店のカラオケの履歴見て、よく歌われている曲だから歌っていいかと言うと、別にそうじゃなくて。「これは常連さんが楽しみにしている曲だろうから外そうかなぁ」とか考えてあえて外してみたりもしますよね。
玉袋:そうそう。そのセンサーを働かせてね。まず最初に入ったら、店の傾向を見てね。「この店でこの曲は歌っちゃいけねぇな」とか、そういうことがだんだんと分かるようになってくるんですよ。あれは水質調査みたいなモンだから。水商売だけにね。とにかくプロファイリングするゲームだから。そこから成長していくんですよ。その技術を持ったら、別の店に遊びに行ってみるのもいいと思うな。
芦名:そもそもあのお店の扉がダンジョン感がありますよね。知らない店に行ったとき、常連さんたちがガッとこっちを見るじゃないですか。「あ、俺入っても大丈夫ですか?」って。
玉袋:それは俺もあったな、巣鴨のスナックで。
芦名:(笑)
玉袋:短パンで行ったわけ。今どきの若者風でさ。だから、入ったとき「敵が入ってきた!」って感じで見られたんだけど、まずはカラオケの履歴をチェックして。周りの人は「どうせ流行りの曲でも入れるんだろ、米米CLUBでも入れるんだろ」って目で見るんですよ。でもそこで、懐メロを歌ったら一気に拍手されて、「こっちこいよ」って迎えられるから。それもひとつの呪文だと思うんだけどね。
芦名:本当、ゲーム的な面白さですね。