『葬送のフリーレン』音楽・Evan Call(エバン・コール)さんインタビュー|劇伴の制作秘話はもちろん、編曲を手がけたED曲「Anytime Anywhere」や、お気に入りのシーンについてのお話も!
メロディやセリフなど、すべてがお気に入りのシーンとは?
――ここまで放送されたお話の中で、ご自身の音楽が流れたシーンで好きだったシーンは?
Evan Call:フィルムスコアリングで作った曲だと、勇者パーティーの4人が再び集まって、半世紀(エーラ)流星を見るシーンです。そのシーンで流れる曲「One Last Adventure」は自分でも気に入っています。
消えていく流星を見たヒンメルが「きれいだ」と言うところは、彼のセリフを受けてソロバイオリンが消えていくような感じにしていて、流星と同じようにヒンメルが消えていく様子を音楽でも表現しています。メロディも、表現方法も、シーン自体も、ヒンメルのセリフも、全部好きです。
フィルムスコアリング以外の曲では、アウラと対峙したフリーレンが魔力を解放するシーンが、とても迫力があってビックリしました。
あの時に流れる曲は、元々、フリーレンのバトルテーマとして作った曲で、千年以上生きた魔法使いをイメージして作ったので、派手なコーラスなどであふれ出る力を見せたくて。原作を読んだ時もカッコイイなと思っていましたが、アニメになったらさらにカッコよかったし、演出もすごくて。音楽もここまでうまくハマるとは思っていなかったので、改めて音響監督のはた(しょう二)さんはすごいですね。
――アニメが毎回オンエアされた後に、ご自身のX(旧ツイッター)で流れた曲の解説をしてくださっているのもありがたいです。
Evan Call:ありがとうございます。せっかくなので、裏話や使った楽器などを紹介できたら、『葬送のフリーレン』ファンの方にも喜んでいただけるかなと思ってやっています。
――アニメを観てから、Evan CallさんのXを見て、配信でもう一度音楽をチェックするという楽しみ方ができますね。
Evan Call:そうしてもらえたら嬉しいですね。音楽好きの方にも喜んでもらえたらいいなと思います。
――12月22日に厳選したサントラ12曲が先行配信中です。
Evan Call:珍しいことだと思いますし、嬉しいですね。アニメのサントラ盤が発売されるのは放送後が多いんですが、この作品は2クールあるので、1クールの中で印象に残った曲を、幅広いサウンド感で楽しんでもらえるようにセレクトしました。12曲通して聴いていただくには理想的なバランスになったかなと思っています。
ED曲「Anytime Anywhere」は、2クール目からのアレンジにも注目!
――miletさんが歌うED曲「Anytime Anywhere」の編曲も担当されていますが、受けたオーダーや、どのようなことを意識されたのか、お聞かせください。
Evan Call:作詞をmiletさん、作曲をmiletさん、野村陽一郎さん、中村泰輔さんがされていますが、最初にデモをいただいた時はバンドサウンドのアレンジでした。
アニメの制作サイドから「壮大なオーケストレーションをお願いしたい」と、レーベルサイドから「ライブでも楽しめるようにバンドのエッセンスをちゃんと入れたい」とそれぞれのオーダーがあったので、方向性がうまくミックスできればいいなというのがスタートでした。とはいえ、難しいとは思わず、楽しい挑戦になりました。
最初はピアノとオーケストラをメインにしたバラードとして作りましたが、微調整を重ねたら1コーラス目はオーケストラ、アコギとピアノがメインで、そこに少しずつバンドのエッセンスを入れていって形になっていきました。
――Aメロからアニメ本編のサントラと地続きのような雰囲気がありつつ、サビではしっかり盛り上がって、素晴らしいアレンジだなと思いました。
Evan Call:ありがとうございます。結構頑張ってアレンジしました(笑)。曲の後半に進むにつれ複雑になっていって、声の素材も多くなり、主旋を歌いながら、バックグラウンドのボーカルもかなりたくさん入っています。いかに声がぶつからないようにするか、苦労しました。オーケストレーションが忙しすぎると声の邪魔になるし、動くパーツが多すぎないように意識して微調整していきました。
――「Anytime Anywhere」は第1クールに引き続き、第2クールでもEDになっています。
Evan Call:最初からそのつもりでアレンジしていましたが、2クール目からアレンジも違っていますし、歌詞も違うので、ずっと聴いているのに新鮮さを感じてもらえると思います。曲が進化していると思ってもらえたら嬉しいです。2クール目よりEDの映像も変わるので、楽しみに待っていてください。
――1月31日にEPとしてリリースされますが、カップリングとして2時間スペシャルの特殊EDで流れた「bliss」も収録されています。
Evan Call:この曲は作曲と編曲を担当しています。「Anytime Anywhere」よりも劇伴のフィーリングに寄せています。悲しい曲ではないですが、表題曲より、せつなさが伝わるように意識しました。初回はせつないことが起きている話数なので、明るくし過ぎないように心掛けました。表題曲よりも民族楽器を多く使っていて、ティンホイッスル、フィドル、ハープなどを入れています。
――曲と映像が相まって、すごくせつなく、でも温かさを感じました。
Evan Call:私も何度もあのEDを見ているのに、見るたびにぐっときます。「ああ、もう見ることができない」って(笑)。
――「bliss」は第11話の中でも流れましたね。
Evan Call:あのシーンのために作ったわけではなかったのに、尺の中にちょうどハマっていて、いい音楽シーンになっていたし、いい演出だなと思いました。